訪日外国人の調査結果~2016年4月~6月期~

先日平成28年4~6月期の訪日外国人消費動向調査の調査結果が観光庁から公表されました。
飲食店に関係のある部分を抜き出してまとめてみます。

漢字圏からの来訪者・消費が多い

中国・台湾・香港・韓国からの旅行者が全体の7割強を占めています(一部推定値)。人数だけでなく、消費額総計のシェアでもこの4国・地域で65%を超えています。旅行時の飲食費は消費の約20%を占めており、この4か国で1180億円(単純に考えて年間4000億円規模)の消費が行われています。全体の各国字が少し異なりますが、漢字圏からこれだけの旅行者が来ていることは、漢字表記の優位性を示唆しているように感じます。

飲食での満足ポイント

最も満足したジャンルの割合を国・地域別にみると、韓国は「肉料理」(26.4%)、台湾と香港は「ラーメン」(それぞれ27.7%、23.1%)、中国は「魚料理」(28.2%)、米国は「寿司」(25.2%)の割合が高いそうです。理由は「美味しい」がどの国・地域でも多く、魚料理やすしでは品質を評価する声も多いようです。旅行前に期待していたことの1位に「日本食を食べること」が上がっていることから、国ごとにメニューの好みはあってもやはり日本食とされるものが強いことが分かります。また、次回旅行時にもしたいことの1位にも「日本食を食べること」があげられているのもポイントです。

滞在中にあると便利な情報

無料wi-fiの接続ポイントが51%超、飲食店が31.5%と、お店付近での情報提供にも価値があることが示唆されています。

飲食店と訪日外国人のギャップ調査

2013年3月に「食に関する外国人客と飲食店とのギャップ調査」- 金沢のインバウンド観光のアンケート結果にみる実態と課題 -という調査が金沢大学 地域創造学類 香坂研究室と株式会社日本政策投資銀行北陸支店によって報告されています。こちらによると、@受け入れ側の飲食店が「言葉の壁」を意識しているのに対し、訪問者側の外国人客は、「店員との意思疎通」にそれほど不満を抱いていなかった。むしろ、味やおもてなしでの外国人客の満足度は極めて高く、飲食店としての基礎である「料理の味」と「接客」という点では、非常に高い評価を受けていた。(@からここまで引用)、そうです。外国人客は多くの消費を飲食店で行うと同時に、基本的には満足度が高いことが、こちらでも分かります。ですが、@「メニュー上の外国語表記」については、半数以上の飲食店が「重視する」「やや重視する」と回答したにもかかわらず、外国人客の満足度はそれほど高いものではない、といったマイナス面でのギャップがある(@からここまで引用)、とされるなど、接客よりも静的な情報提供に課題があることも分かりました。先の観光庁の調査でも、飲食店の情報が求められていることから、看板等からメニューまで、情報提供を行うことで訪日外国人の利用を促せると考えられます。一方で、多言語対応するには店頭では無理があることから、料理ジャンルごとに国ごとの好みがあることなどを参考に、ターゲットを絞ることも必要であると考えられます。

限られた面積でいかに情報提供を効率的に行うのか?まさにショルダーネームの考えと同じですね!訪日外国人向けのマーケティングを行う前に、是非(株)ネクストアクション様のサイトに寄稿した記事「ショルダーネームとは」を読んでいただければ幸いです!

儲かるお店に必要なこと

儲かるお店に必要なことは、成功しているお店の「数字」(各種経費率)を参考にしつつ個性を出すことです。残念なことに、多くの方は個性を出すことに集中しすぎているか、数字のみを追っているか、どちらか極端になりがちです。個性だけでは、お客様を集めることはできても、儲かるお店は実現できません。数字だけでは、計算上黒字の経営が見えたとしても、お客様を集めることが難しいです。

儲かるための「数字」は分かっています

飲食店は、既に非常に多くの方が挑戦されていて、もうけを残すために必要な「数字」が経験的に分かっています。もうけは後からついてくる、という方もいらっしゃいますが、それはそのような数字の把握も含めて経営に必要なすべてをやりきってからのことです。ご自分のお店の数字と一般的な数字を比較することで、お店の強みや弱みが見えてきます。

中小企業診断士が得意とする部分ですが、FQMサポートでもノウハウを持っています。今後のブログで紹介していく予定ですので、興味のある方は楽しみにしていてください。

ただし、数字については魔法はありません。みんながよく知る基本の話と、へー!と驚いた話が実は基本を応用しただけ、という種明かしの話がメインになります。

個性はショルダーネームから!

個性を分かりやすく伝えるための方法や、どのように個性を磨くかの方法も確立されています。それはショルダーネームを作ることから始まります。経験した方からは、従来のコンセプトワークよりは、実際の感覚に近くやりやすく、その後の効果も体験できた、と非常に好評な方法です。

ショルダーネームはあまり聞きなれない言葉だと思いますが、お店作りの中核にすべき一言宣伝法です。詳細は以下の私の記事を参考にしてください(ショルダーネームとは)。

お店の自己紹介に当たるショルダーネームで、お店に共感するお客様を集めて、共感してくれるサービスをアピールしていく。個性の構築とは、どうやってショルダーネームを作って、ショルダーネームにふさわしい店づくりをしていくかと言い換えることもできます。

この手法はお店全体だけでなく、商品単体にも通用する考え方です。私はこの手法で取引先からヒット商品として感謝された商品をたった1年で2つも開発しました。

ノウハウが気になる方は是非お問い合わせください。

原価を下げる方法~メニュー編~

原価を下げるには、メニューに関する以下のことも関係があります。
・メニュー開発
・調理法の工夫
・平均原価を下げるための販促

本当の原価を知る

特に上2項目については、原材料の本当の原価を知ったうえで行うべきです。本当の原価とは、食材の使用できない部分を除去したあとのグラム単位の原価です。たとえばピーマンであれば、ヘタや種を除くと平均的に全体の85%しか利用できません。つまりピーマン100gの仕入れ値にたいして利用できるピーマンは100g当たり1/0.85=1.176・・・と18%弱割高になります。もちろん、サイズによってもこの利用可能な部分の割合は変わりますので、感覚がしっかりつかめるまで、積極的に仕込み前後の重量は計るべきです。

レシピを作り同じ量を使う工夫をする

上では一般的な単位である100gで書きましたが、実際のメニュー開発・レシピ作成・調理時の原価表(日々更新は無理でもメニュー開発時には原価表は作りましょう)には10g単位で書きます。というのも、実際に使うのはこの単位に近いからです。塩など計量スプーンで計るものはそちらの単位に合わせて記入します。野菜等の下ごしらえ済みのものも、ポーションオーバーを避けるために、計量用の入れ物を用意するか、目分量だけでなく毎回同量つかめるように秤を使って練習してください。この努力が原価を下げるだけでなく、お客様の満足度を高水準で維持します。

そのうえで、メニュー開発時は男性向け500g、女性向け400gを目安に作成します。こちらはあくまでも平均的な1食当たりの食事量なので、コンセプトに合うターゲットをきちんと想定してお店としての1食当たりのグラム数は決めてしまいます。お店のコンセプト上、規格品を使うのはふさわしくない、という特例を除いて、魚であっても重量のブレは極力避けるべきです。せっかくつかんだ常連様は、サイズの変動が分かってしまうし、お店の評価はそのお客様にとってもっとも好ましくないサイズにおいて行われることを思い出してください。

原価を意識した販促を行う

最後に販促についてです。お店全体での原価があがってしまう理由の一つに高原価率の商品がよく売れてしまう、ということもあります。こちらは普段からメニュー当たりの原価を意識していないと把握が遅れて後の祭りになるので、前述した原価表は必ず作成してください。忙しくても日々売上に占める原価率は出すべきです。そのうえで、原価率が高いものが出過ぎているようであれば、原価率の低いもので調整できるように販促を行います。思わぬ変化は大抵急な相場変動や気候変動が原因です。それらを踏まえて、低原価率のものの「お客様視点」での良さを探してください。一般的に野菜は相場が下がるときほど栄養豊富になりやすい、という実験データもあります。そのような時は大抵、旬の時期ですので、こちらを販促に使ってみてください。他には、飲料のセットメニューを期間限定で出す作戦もあります。相場が上がったから量を減らす、というのだけは絶対NGです。そうしてしまうと1食当たりの重量が減ってしまって満足感を感じていただけなくなります。これらの工夫の範疇を超えている場合は、メニュー改定で対応するべきです。販促についてはお店のコンセプトに合わせて行うことがもっとも効果的です。

ショルダーネームにマッチした改善を!

初来店のお客様は多少なりともショルダーネームにひかれて来店されています。改革の結果、ショルダーネームに謳っているイメージとかけ離れてしまっては次回の来店が望めません。改善を行う際は、ショルダーネームにマッチしているか、確認をしつつ行うようにしてください。
改善に行き詰ったときはショルダーネームの見直しを行うことも効果的です。そのようなときは、新鮮な視点でお店全体を振り返ることでブレイクスルーが生まれます。このケースでは外部の協力が非常に有効です。是非、FQMサポートの無料相談サービスをご利用ください。

原価を下げる方法~ロス・廃棄削減編~

原価を下げるにはロス・廃棄を減らす方法もあります。

ロスの中には
☆オーバーポーション(調理・盛付時の過剰使用)
☆従業員による消費(まかないや持ち帰り)
・顧客へのサービス品の提供
などがあります。

廃棄の中には
☆使用期限が切れたことによる廃棄
・そもそも利用できない部分の廃棄(野菜の皮など、下ごしらえ時に除去・廃棄するもの)
などがあります。

どのようなコンセプトのお店であったとしても、☆をつけた項目に関してはきちんと管理するべきです。

オーバーポーションはサービスとはなりません

オーバーポーションをサービスと混同されているケースが見受けられますが、お客様の立場から見ると分かりにくく、通常量の時に「量が減った」という印象をもたれて顧客離れを誘発しかねません。量も含めてお店の提供するサービスの品質にはどうしてもぶれが生じます。お客様の評価は品質の振れ幅の一番下で決まる、また振れ幅が大きいほど評価が下がるということは大手カフェチェーン様との共同調査で明らかになりました。つまり、お客様にお知らせしないオーバーポーションは顧客離れにつながります。厳しく管理してください。見落としがちなのはタレ類など、ついレシピに「適量」と書いてしまうような原材料です。味のブレにもつながるので、「赤色スプーンですりきり一杯」など、量をきちんと書くことが大切です。

従業員への原材料配布はモラル維持に注意

従業員による消費についても、きちんと管理するべきです。余りそうなときに持って帰らせたりするようにしてしまうと、「きゅうりが欲しいから、余るように仕向けよう」、というようなことが発生します。最悪なのは発注担当が意図的に多めに発注してしまうことです。こうなると本当に新鮮なうちに使える割合が減ります。つまりメニューの質が下がります。従業員による消費については、金銭的な負担だけでなくサービス低下までまねきかねないことは頭に入れておいてください。きちんとルールを決めるだけでなく、思った通りに運用できているか、常に目を光らせてください。
発注量・使用量が適正か、常に現場の意見・状況を確認している姿勢を見せることで、原材料が会社の所有物という意識の徹底が実現できます。

使用期限を意識

使用期限が切れたことによる廃棄は、お客様へのサービスと直結するため、お店のコンセプトに収まる範囲のルール改善で減らすべきです。使用期限が過ぎてからの報告を求めるだけでなく、原材料ごとに、残り何日になったら報告する、というグレーゾーンの管理を徹底しましょう。使用量の少ない食材に関しては、数量や販売日を限定にして使い切りを図ったり、そもそもお店のコンセプト実現に必要か?という点を検証して、メニュー自体を見直すことで廃棄を減らせます。多くのお店では実践されていると思いますが、先入先出の徹底も重要です。下ごしらえ済みのものなども、面倒がらずにきちんと処理日・使用期限を書くようにしましょう。

これらの改善には従業員の協力が不可欠です。また過剰な削減は顧客離れを引き起こしかねません。ひとつひとつについて、お店のコンセプトと合っているか、確認しながら決定することが必要です。そうすることで、従業員への説明にもコンセプトの意識が反映され、従業員から提案が上がる店舗に変わります。そして、最終的には売れ続ける店舗につながります。
コンセプトがわかりにくい場合は、ショルダーネームに集約して説明しましょう。鮮魚・活魚と入っているのに、鮮度管理がいい加減では看板に偽りあり、と誰もがすぐにわかります。お客様にどのように楽しんでいただきたいのか、従業員も共感できるショルダーネームを作ることで、原材料の扱い方から変わってきます。

原価を下げる方法~仕入れ価格編~

飲食店の方に、原価を下げる方法を聞かれることが多いのでまとめてみました。
工場でも通じる部分があると思います。原価を下げるためとはいえ、気づかい・心配りも必要な点がポイントになります。

原価を下げる方法のひとつとして、仕入れ価格を下げる方法があります。

具体的には
・複数の業者から相見積もりを取る
・取引業者と価格交渉をする
・生産者(農家が漁業者など)から直接仕入れる
・実質的な品質に無関係の傷・規格外品などのB級品を利用する
等の方法があります。

相見積で下げる

一番簡単なのは相見積もりでとにかく安い業者から仕入れることです。多くの指南書でも言われていることですので何も考えずに実行する方も多いようです。しかし、高い頻度で相見積もりばかりとっていると、最終的に質の悪い業者とばかり付き合うことになりかねません。加えて、相見積もりもタダではありません。相手からは無料で提供されるでしょうが、手配・比較のために、少なからず人件費等のコストが発生することは意識しておくべきです。

価格交渉で下げる

次に取引業者との価格交渉ですが、単に下げてくれ、とお願いするよりも効果的な方法があります。それは、お互いにとって取引コストが下がる方法を探して、浮いたコストを折半=値下げのモトにすることです。みなさん意識はしていないとおもいますが、よく知られているのは仕入れ量を増やした際の値引き交渉です。取引量が増えると相手の固定費率は下がりますので、その分を値下げのモトにしてもらっているわけです。他に着目すべき点は納品タイミングです。飲食店であれば大体開店の時間は一律になります。ということは、品物を納品してほしいタイミングも一緒になりがちです。ここに交渉の余地があります。簡単に言うと、忙しい時間帯を外しても対応するからその分値下げしてね、ということです。他にも、お互いにメリットがある提案はいくらでも出てきます。それを値下げという形で実現するためにも、普段から取引業者の方々とは親密になっておくことが大切です。重大なミスは指摘して注意すべきですが、普段から細かいことでぷりぷり怒っていては二人で新しいことに挑戦する気分にはなれないです。是非、取引先はお客様、との発想で気配りを忘れないようにしてください。
価格交渉では多くの場合、物流費をいかにカットするかがポイントになりがちな点も要注目です。

直接買い付けで下げる

3番目は生産者からの直接買い付けです。こちらも最近注目されている手法ですが、とにかく手間と時間がかかります。また生産者に起こるアクシデントに弱いという、デメリットがあります。信頼できる生産者を複数見つけて、お互いにメリットがあるように上手に付き合うことが大切です。

規格外品で下げる

最後に、B級品の使用です。こちらは簡単なようで簡単ではありません。というのも、買いやすいB級品は既に大手に抑えられているからです。飲食店以外にも食品工場・スーパーなどが注目しているランクなので、こちらも取引先との親密さが大切になります。

ショルダーネームで仕入れ先もファンにする!

飲食店をはじめたからには、何年も続けていく覚悟ではじめていらっしゃるはずです。仕入れ先と一緒に成長していくつもりで、工夫のある仕入れ価格の値下げを実現してください。一度実現した工夫は仕入れ価格削減に長期間貢献します。
仕入れにおいても、自店のコンセプトが魅力的であることは共感を呼んで協力者を作ることに貢献してくれます。
コンセプトは多くの場合、わかりにくく伝わりにくいので、ぜひショルダーネーム(ショルダーネームについては別の場所で記事を執筆しております)に気持ちを込めてください。
私も、商品開発をしていたときは、コンセプトをまとめて、ショルダーネーム付きの想定商品名を仕入れ先と共有していました。
そうすることで、自分の知らなかったようなコンセプトにマッチする材料の提供を非常に多く受けることができました。
優れたショルダーネームは仕入れ先もファンに変えて、単純な価格だけでなく、品質・希少性の高い原材料をお手ごろな価格で仕入れることにも役立ちます。是非、挑戦してください。売れる店舗コムでは、一人ではなかなか難しい客観的なショルダーネームづくりのお手伝いもしております。ワークショップも定期的に開催しておりますので、ぜひお問い合わせください。

ジョッキにそそぐビールの量の測り方

ビールを注ぐときは黄色の液体部分と白色の泡の部分があって、体積では計量が難しいですよね?
でもポーション管理はしっかりしないといけません。
ではどうやったら正確に測ることができるでしょうか?
(この記事は主に飲食店向けに書かれていますが、工場で液体を配合する際の参考にもなります。)

体積の測りにくいものは重量で計るべし

飲食店で取り扱うメニューのうち、ビールや固形物の多いシチューなどは体積を正確に測ることは難しいです。
泡や具材が飛び出てしまったりなど、原因はすぐにお分かりいただけると思います。
そのような事情がないものでも、お皿が傾けば目安のラインはあてにならないですし、お皿も料理もどちらも色が濃くて計量用の線が透けて見えないようだとポーションオーバーしているかどうかも分かりません。
そのようなものでも正確に測れるのは重さです。

ポーション管理の訓練では、是非確認に重量を使ってください。
きちんとトレーニングをしておくことで、「少なくないか?」というクレームを抑制できます。
また、お店のオペレーションの透明性も向上します。1杯当たりの誤差が少ないほど、閉店後のチェックでミスがあったかどうか、分かりやすくなります。誤差が1割だと10杯か11杯か、なんとも言い難いですが、誤差が5%なら、実際にそそがれた杯数は容易に想像がつきます。

ちなみに、どろっとした液体も正確に測ることは難しいです。タレなどが該当しますが、味の濃さを決定するものが正確に測れないというのも困りものですよね。人によって癖があり、カンロレードルなどではスタッフ間の差が生じるケースも多くあります。終業時に重量を計量して、平均で何g使用していたのか、他のスタッフ平均と比較してどうなのか?を知ってもらうことで、ポーションが正確になっていきます。

オペレーション中にすべての重量を計ることはあまり現実的ではありませんが、計量カップで正確に同じ分量を取るためには重量でのチェックは欠かせません。

ビールの注ぎ方から始まりましたが、ポーション管理の徹底のためにも容量(体積)と重量を結び付けて正確に測れるように訓練を行ってください。

今日から始める品質管理

品質管理って何から始めたらいいの?理想の工場と現実があまりにも違うんだけど?
業務拡大に伴って、このような壁にぶつかる会社は非常に多いです。
かといって専門家を雇う余裕はない・・・では、どうしたらいいでしょうか?

改善点を見つける、記録する

知識がなくても品質管理の基本はできます。それは「改善点を見つける、記録する」という2つです。この2つの習慣を従業員が身に付けることが品質管理の第一歩となります。

まず改善点については
・やりにくい作業はないか?
・時間のかかる作業はないか?
・手間だ、と感じる作業はないか?
・コツが必要な作業はないか?
・普段掃除できていない場所はないか?
など、盛大な愚痴大会にならない程度に聞きだしてみましょう。そのような作業は改善の余地があります。上の質問で出てきた作業について、それぞれ
・やりやすくするにはどうしたらいいのか?
・時間短縮する方法はないか?
・手間を省くにはどうしたらいいのか?
・誰でもできるようにするにはどうしたらいいのか?
・掃除してみよう!
当事者以外も含めて考えてみましょう。赤の他人の方がいい意見を言えることもあるので、事務方も含めて考えてみるのもいいアイデアです。

改善案(掃除は実行案ですね!)が出てきたらとりあえず挑戦してみましょう!そして、ビフォーアフターの写真や実行の記録を付けていきます。

この繰り返しが工場に品質管理の基本的な考え方をすり込んでいきます。
是非めげずに繰り返してみてくださいね。

どうしても質問への回答が出ないようであれば、従業員の愚痴に耳を傾けるのも手です。大抵はそこに改善のヒントが隠されていますので。

解決案が出てこない場合は是非FQMサポートの無料相談をご利用ください。

仕入れの時に確認しておきたいこと

いざ原材料を使う瞬間に、品物があまりよくないことに気づいて戸惑ったことはありませんか?原因は納品時のチェックが出来ていないことがほとんどです。しかし、忙しい時には取引先が納品に来ても、ついつい「いつものところに置いておいて~!」と言ってしまう方も多いと思います。

このように、きちんと納品時に検品しないとトラブルの元にもなります。飲食店の場合は生鮮品を仕入れることが多く、仮に傷んでいたとしても納品後の保管が悪かったのか、納品時に傷んでいたのか、もめやすいのは、皆さんなら経験されていることだと思います。以前お話しした通り、納品の業者さんであっても、一旦前掛けを外せば潜在的にはお客様です。やはりもめごとは回避したいものです。

モノへのこだわりは相手にも伝わります

そこで、きちんと納品時に検品をするわけですが、悪い点はきちんと伝えましょう。
また、後日記事にしますが、飲食店のロスを減らすためには理論原価の計算が必須です。
できれば品質の確認だけでなく、重量の確認も目の前でするようにしてください。
重量当たりのコストパフォーマンスを意識していることが伝われば、お店の望む品質の中で、もっとも重量単価の安いもの、つまり、本当の意味で安いものが手に入りやすくなります。普段から重量を計る習慣がついていれば、野菜のサイズと重量で、仕込み後に実際に使える重量もすぐに頭に浮かびます。業務用のスーパーなどを利用した場合も、お店に帰ったときにきちんと重量の確認をしましょう。

仕入れ後は何を何個で合計何kg仕入れたのか、仕入帳に記載しておくことで、後々の店舗の改善に役立てることができます。
忙しいとは思いますが、やるかやらないかで結局原材料費が5~10%変わってしまうことが多いのです。
是非挑戦してみてください。

メニュー・商品リニューアルに必須!ABC分析とは?

メニュー・商品のリニューアルで必須なこと、それはお店・会社にプラスになる改定を行うことです。言葉にするのは簡単ですが、プラスになるかどうかはどう判断するのでしょう?その基準を明らかにしてくれるのがABC分析とクロスABC分析です。「これはよく出る」「これは面倒だからやめる」などと感覚に頼っていると、売上は維持できても利益率が下がったりと、思わぬ状況になりがちです。勝ち残るためには、苦手なことでも面倒がらずに挑戦していきましょう。

ABC分析とは?

さて、そもそもABC分析とはどんなものでしょうか?基本的な考え方は簡単です。ある基準を元に、上位から並べて、合計で7割を占めるグループをAグループ、7~9割を占めるグループをBグループ、残りをCグループとします。売上の多い順にメニューを並べて、それぞれの売上を足していきます。売上100万円のお店であれば、Aグループの売上合計は約70万です。Bグループは約20万で、AとB合わせて約90万です。また単月の分析ではぶれが大きいので、季節要因なども考慮しながら3か月程度をまとめて分析することをお勧めします。ここまでの分析でCグループが改定の対象になることはなんとなく感じて頂いていると思いますが、メニュー改定はそう単純ではありません。それに、ここまでであれば直感で「これは出てる、あれは出てない」と分類するのと大差ないですよね。直感とは異なるのはこの先の、クロスABC分析を行うことです。

クロスABC分析とは、売上以外にも別の基準でABC分析を行うことです。そして、2パターンのABC分析の結果をグループ分けします。もう一つの基準は、基本的には粗利高になります。そして、それぞれのメニューごとに売上のABCと粗利高のABCの記号を書きます。

分析の結果を検討しましょう
AAとなるメニューは優秀ですよね。磨きをかけることで更に利益に貢献します。販売数自体も多いなら、提供時間短縮の対象にも最適です。

CA(売上は低いが粗利は大きい)になったメニューは、売れればお店にとっては非常にうれしいメニューです。どうしたら販売数が伸びるのか、積極的に工夫をすることが望まれます。

AC(売上は大きいが粗利は小さい)になったメニューはお客様にとってはお値打ちの商品です。この場合の考え方は主に2通りになります。

・お店のコンセプト上、存在意義が薄く、粗利以外にも専用食材の存在・提供時間など、お店の負担になっている場合

売れてはいるものの、経営上は負担にしかなっていないです。思い切って削ることで、お店全体のサービス向上を図りましょう。

・意味のある商品の場合

集客用と位置付けてあるメニューならば、そのままにしておいても問題ありません。それでも売上Aに分類されるということは、数量は多く出ているはずです。ロスや提供時間の改善を行う候補にはなりますので、しっかり育てましょう。ただし、メニュー自体は必要でも、原価計算の間違いなどで意図せず粗利が低い場合は対応が必要です。適正な粗利が頂けるよう、値上げを検討してください。この対応は必須です。というのも、お店のコンセプトにない安売りを行ってしまうことは、客層の変化を起こすなど悪影響をまねくからです。

CC(売上も粗利も小さい)になったメニューは基本的にACと同じ対応です。意味がある商品であれば適切な告知が必要です。いわゆる松竹梅の松に当たる商品であれば、平均客単価の上昇に貢献します。その場合は、専用食材の排除など、過度なお店への負担を減らす検討が求められます。

以上のように、メニューのリニューアルだけでなく、オペレーションなどの改善対象の選択にもクロスABC分析は役立ちます。必ず経営の武器になりますので挑戦してください。

設備機器はトータルコストで判断を!

初期投資を抑える、このフレーズは多くの人から口を酸っぱくして言われることだと思います。
起業系のセミナーでもかなり頻繁に言われますよね。
もちろん、初期投資を抑えることは非常に重要です。
とはいえ、現在の日本においてはメンテナンス費用で利益を出す会社が増えてきていることに注意が必要です。
購入している厨房器具が壊れたとして、すぐに買い替えを検討しますか?しませんよね?
そこはもう、ビジネスチャンスになっています。いわゆるゆでカエル戦略ですね。
カエルは熱湯に入れるとすぐ飛び出ますが、水からゆでていくと熱くなったことが分からずに茹で上がるまで気づかないとかいうあれです。

本当に大事なのは、トータルコスト

簡単のためにご飯を炊く炊飯器のことを考えてみましょう。味や保存性など、コスト以外の点は全て同じだと仮定します。
5万円で1升炊くのに100円かかる炊飯器と、10万円で1升炊くのに50円かかる炊飯器、どちらがお得でしょうか?
1000升を超えて使うなら10万円の方がお得ですよね。
単純な光熱費だと、非常に分かりやすいです。ところが、現実には、必要な光熱費はごまかしもあります。
水温が高い夏を基準に測定した場合と、平均気温を基に測定した場合では違いがでるのはお分かりいただけると思います。
実際にはこれに、修理頻度・その際の費用も掛かってきます。
お店を長く続ける前提であれば、当然、お米1升を炊くのに実際いくらかかったのか、が大事になります。
表現を変えると、お米を炊くために5年・10年でいくらつかったのか、ということです。

例外は極力なくしましょう

従業員は意外と会社のコスト感覚に敏感です。普段から、コンセプト実現・強化のためにコストを削減しよう!削減分をお客様のために使おう!と言っていても、効果の不明な設備投資があると途端に士気に影響が出ます。判断に困ったときは、従業員に分かりやすく投資の理由を説明できるのか?という点を考えてみてください。このくらいいいじゃないか・・・、という感覚で例外を作ってしまうことで、お店のコンセプトに向き合う姿勢がぶれていきます。よりよいお店作りのためにも、例外は極力なくしましょう。コンセプトに向き合えば、自然とトータルコストで比較することになります。5年10年のスパンで考えたときに、トータルコストがどうなるのか、調査は骨が折れますが、お店のために是非しっかり調べてから、機器の選定をしてください。