原価を下げる方法~ロス・廃棄削減編~

原価を下げるにはロス・廃棄を減らす方法もあります。

ロスの中には
☆オーバーポーション(調理・盛付時の過剰使用)
☆従業員による消費(まかないや持ち帰り)
・顧客へのサービス品の提供
などがあります。

廃棄の中には
☆使用期限が切れたことによる廃棄
・そもそも利用できない部分の廃棄(野菜の皮など、下ごしらえ時に除去・廃棄するもの)
などがあります。

どのようなコンセプトのお店であったとしても、☆をつけた項目に関してはきちんと管理するべきです。

オーバーポーションはサービスとはなりません

オーバーポーションをサービスと混同されているケースが見受けられますが、お客様の立場から見ると分かりにくく、通常量の時に「量が減った」という印象をもたれて顧客離れを誘発しかねません。量も含めてお店の提供するサービスの品質にはどうしてもぶれが生じます。お客様の評価は品質の振れ幅の一番下で決まる、また振れ幅が大きいほど評価が下がるということは大手カフェチェーン様との共同調査で明らかになりました。つまり、お客様にお知らせしないオーバーポーションは顧客離れにつながります。厳しく管理してください。見落としがちなのはタレ類など、ついレシピに「適量」と書いてしまうような原材料です。味のブレにもつながるので、「赤色スプーンですりきり一杯」など、量をきちんと書くことが大切です。

従業員への原材料配布はモラル維持に注意

従業員による消費についても、きちんと管理するべきです。余りそうなときに持って帰らせたりするようにしてしまうと、「きゅうりが欲しいから、余るように仕向けよう」、というようなことが発生します。最悪なのは発注担当が意図的に多めに発注してしまうことです。こうなると本当に新鮮なうちに使える割合が減ります。つまりメニューの質が下がります。従業員による消費については、金銭的な負担だけでなくサービス低下までまねきかねないことは頭に入れておいてください。きちんとルールを決めるだけでなく、思った通りに運用できているか、常に目を光らせてください。
発注量・使用量が適正か、常に現場の意見・状況を確認している姿勢を見せることで、原材料が会社の所有物という意識の徹底が実現できます。

使用期限を意識

使用期限が切れたことによる廃棄は、お客様へのサービスと直結するため、お店のコンセプトに収まる範囲のルール改善で減らすべきです。使用期限が過ぎてからの報告を求めるだけでなく、原材料ごとに、残り何日になったら報告する、というグレーゾーンの管理を徹底しましょう。使用量の少ない食材に関しては、数量や販売日を限定にして使い切りを図ったり、そもそもお店のコンセプト実現に必要か?という点を検証して、メニュー自体を見直すことで廃棄を減らせます。多くのお店では実践されていると思いますが、先入先出の徹底も重要です。下ごしらえ済みのものなども、面倒がらずにきちんと処理日・使用期限を書くようにしましょう。

これらの改善には従業員の協力が不可欠です。また過剰な削減は顧客離れを引き起こしかねません。ひとつひとつについて、お店のコンセプトと合っているか、確認しながら決定することが必要です。そうすることで、従業員への説明にもコンセプトの意識が反映され、従業員から提案が上がる店舗に変わります。そして、最終的には売れ続ける店舗につながります。
コンセプトがわかりにくい場合は、ショルダーネームに集約して説明しましょう。鮮魚・活魚と入っているのに、鮮度管理がいい加減では看板に偽りあり、と誰もがすぐにわかります。お客様にどのように楽しんでいただきたいのか、従業員も共感できるショルダーネームを作ることで、原材料の扱い方から変わってきます。

投稿者: 小橋博士

FQMサポート代表 品質向上コンサルタント/農学博士 品質向上とコスト削減を同時に実現する新手法「グレーゾーン管理」の開発者 食品会社の経営経験有

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