HACCPの問題点

HACCP義務化が取りざたされていますが、実装には問題点があります。それは、HACCPの基本的な考え方が多くの会社で効果的に運用がされていないISO9001と同様にPDCAサイクルに依存している点です。世の中では当然のように「PDCAサイクルを回そう!」と言われていますが、現実はどうでしょうか?PDCAサイクルは本当に回るものでしょうか?(この記事は、小規模な会社でHACCPはコストがかかると感じている会社を主なターゲットにしています。従業員が複数いてQCサークル活動が行えているような会社を想定していません。)

PDCAサイクルで問題は解消しない

理屈としてはISO9001で会社の問題は解消する(もしくは解消のめどが立つ)はずです。HACCPなどと敢えて謳わなくてもISO9001さえ「理屈通りに動いていれば」、ある一定の時間はかかったとしてもすべての問題は解消します。

しかし、PDCAサイクルは機能しないことがほとんどです。だからこそ「PDCAサイクルを回そう!」と十年以上言われ続けているわけです。この原因についてはチェックが機能していないことがほとんどだ!と言われていますが、ここでも技術的な話ばかりで結局解決していないケースばかりです。

そもそもPDCAで問題解決できていないのに、それをPDCAで解決しよう、というのはおかしな話です。PDCAで問題解決できていない組織では、その状況をPDCAで解決することはできません。

モチベーションが鍵

では、いったいどうしたらいいのでしょうか?その鍵のヒントは活気のある部活動では何が起きているか、という身近な(身近だった!?)環境にあります。中学・高校時代、PDCAサイクルなんて知らなかった時代でも、あの時こうしていればよかったかも、じゃあできるように練習しよう!というような光景は珍しくなかったはずです。

多少乱暴な言い方になりますが、モチベーションさえあればPDCAなんて勝手に回るものなのです。むしろ、それは人間がこれほどの文明を築いてきたことを考えれば、人の本能といってもいいのではないでしょうか?

ということで、PDCAサイクルで問題を解決するための鍵はモチベーションである、と言えるでしょう。

以上を踏まえてPDCAが回らない環境を見直してみると、現場に近い方では「心(モチベーション)」への配慮不足、上位の管理者に近いほど「見える化」の不十分さがあります。

この二つを組み合わせると「従業員の心の見える化が不十分」というフレーズが出てきます。つまり、PDCAを回す鍵であるモチベーションの見える化が不十分なことが、問題解決にいたらない真の原因なのです。

見方を変えると見えてくる

以上のように考えると、PDCAが回らない=モチベーションが不十分もしくは引き出せていない、ということが分かります。たったこれだけで従業員のモチベーションが見えるようになりましたね!

会議の場では何とでも言えます。実際にPDCAが回っていない、ということは、すなわち問題解決に共感できていない、モチベーションが沸かないということなのです。

あとは問題解決することのメリットに、共感してもらうにはどうしたらいいかを煮詰めればいいだけです。私はこの方法で年商6億円の会社で3000万円の経費削減に成功したことをはじめ、複数の成功事例を有しています。

共感を引き出すためには、対等な立場での綿密なヒアリングが必要です。従業員の心の見える化はできたけど、改善方法が分からない、という管理者の方は是非、お問い合わせください。従業員の共感ポイント調査(ヒアリング)や実際に改善サイクルが軌道に乗るまでのお手伝いのサービス提供はもちろん、無料相談においてもノウハウの提供を行っております。

HACCPの肝であるPDCAサイクルをしっかりまわす基盤を作って、実際に効果のあるHACCPを組み上げましょう!

儲かるお店に必要なこと

儲かるお店に必要なことは、成功しているお店の「数字」(各種経費率)を参考にしつつ個性を出すことです。残念なことに、多くの方は個性を出すことに集中しすぎているか、数字のみを追っているか、どちらか極端になりがちです。個性だけでは、お客様を集めることはできても、儲かるお店は実現できません。数字だけでは、計算上黒字の経営が見えたとしても、お客様を集めることが難しいです。

儲かるための「数字」は分かっています

飲食店は、既に非常に多くの方が挑戦されていて、もうけを残すために必要な「数字」が経験的に分かっています。もうけは後からついてくる、という方もいらっしゃいますが、それはそのような数字の把握も含めて経営に必要なすべてをやりきってからのことです。ご自分のお店の数字と一般的な数字を比較することで、お店の強みや弱みが見えてきます。

中小企業診断士が得意とする部分ですが、FQMサポートでもノウハウを持っています。今後のブログで紹介していく予定ですので、興味のある方は楽しみにしていてください。

ただし、数字については魔法はありません。みんながよく知る基本の話と、へー!と驚いた話が実は基本を応用しただけ、という種明かしの話がメインになります。

個性はショルダーネームから!

個性を分かりやすく伝えるための方法や、どのように個性を磨くかの方法も確立されています。それはショルダーネームを作ることから始まります。経験した方からは、従来のコンセプトワークよりは、実際の感覚に近くやりやすく、その後の効果も体験できた、と非常に好評な方法です。

ショルダーネームはあまり聞きなれない言葉だと思いますが、お店作りの中核にすべき一言宣伝法です。詳細は以下の私の記事を参考にしてください(ショルダーネームとは)。

お店の自己紹介に当たるショルダーネームで、お店に共感するお客様を集めて、共感してくれるサービスをアピールしていく。個性の構築とは、どうやってショルダーネームを作って、ショルダーネームにふさわしい店づくりをしていくかと言い換えることもできます。

この手法はお店全体だけでなく、商品単体にも通用する考え方です。私はこの手法で取引先からヒット商品として感謝された商品をたった1年で2つも開発しました。

ノウハウが気になる方は是非お問い合わせください。

原価を下げる方法~メニュー編~

原価を下げるには、メニューに関する以下のことも関係があります。
・メニュー開発
・調理法の工夫
・平均原価を下げるための販促

本当の原価を知る

特に上2項目については、原材料の本当の原価を知ったうえで行うべきです。本当の原価とは、食材の使用できない部分を除去したあとのグラム単位の原価です。たとえばピーマンであれば、ヘタや種を除くと平均的に全体の85%しか利用できません。つまりピーマン100gの仕入れ値にたいして利用できるピーマンは100g当たり1/0.85=1.176・・・と18%弱割高になります。もちろん、サイズによってもこの利用可能な部分の割合は変わりますので、感覚がしっかりつかめるまで、積極的に仕込み前後の重量は計るべきです。

レシピを作り同じ量を使う工夫をする

上では一般的な単位である100gで書きましたが、実際のメニュー開発・レシピ作成・調理時の原価表(日々更新は無理でもメニュー開発時には原価表は作りましょう)には10g単位で書きます。というのも、実際に使うのはこの単位に近いからです。塩など計量スプーンで計るものはそちらの単位に合わせて記入します。野菜等の下ごしらえ済みのものも、ポーションオーバーを避けるために、計量用の入れ物を用意するか、目分量だけでなく毎回同量つかめるように秤を使って練習してください。この努力が原価を下げるだけでなく、お客様の満足度を高水準で維持します。

そのうえで、メニュー開発時は男性向け500g、女性向け400gを目安に作成します。こちらはあくまでも平均的な1食当たりの食事量なので、コンセプトに合うターゲットをきちんと想定してお店としての1食当たりのグラム数は決めてしまいます。お店のコンセプト上、規格品を使うのはふさわしくない、という特例を除いて、魚であっても重量のブレは極力避けるべきです。せっかくつかんだ常連様は、サイズの変動が分かってしまうし、お店の評価はそのお客様にとってもっとも好ましくないサイズにおいて行われることを思い出してください。

原価を意識した販促を行う

最後に販促についてです。お店全体での原価があがってしまう理由の一つに高原価率の商品がよく売れてしまう、ということもあります。こちらは普段からメニュー当たりの原価を意識していないと把握が遅れて後の祭りになるので、前述した原価表は必ず作成してください。忙しくても日々売上に占める原価率は出すべきです。そのうえで、原価率が高いものが出過ぎているようであれば、原価率の低いもので調整できるように販促を行います。思わぬ変化は大抵急な相場変動や気候変動が原因です。それらを踏まえて、低原価率のものの「お客様視点」での良さを探してください。一般的に野菜は相場が下がるときほど栄養豊富になりやすい、という実験データもあります。そのような時は大抵、旬の時期ですので、こちらを販促に使ってみてください。他には、飲料のセットメニューを期間限定で出す作戦もあります。相場が上がったから量を減らす、というのだけは絶対NGです。そうしてしまうと1食当たりの重量が減ってしまって満足感を感じていただけなくなります。これらの工夫の範疇を超えている場合は、メニュー改定で対応するべきです。販促についてはお店のコンセプトに合わせて行うことがもっとも効果的です。

ショルダーネームにマッチした改善を!

初来店のお客様は多少なりともショルダーネームにひかれて来店されています。改革の結果、ショルダーネームに謳っているイメージとかけ離れてしまっては次回の来店が望めません。改善を行う際は、ショルダーネームにマッチしているか、確認をしつつ行うようにしてください。
改善に行き詰ったときはショルダーネームの見直しを行うことも効果的です。そのようなときは、新鮮な視点でお店全体を振り返ることでブレイクスルーが生まれます。このケースでは外部の協力が非常に有効です。是非、FQMサポートの無料相談サービスをご利用ください。

原価を下げる方法~ロス・廃棄削減編~

原価を下げるにはロス・廃棄を減らす方法もあります。

ロスの中には
☆オーバーポーション(調理・盛付時の過剰使用)
☆従業員による消費(まかないや持ち帰り)
・顧客へのサービス品の提供
などがあります。

廃棄の中には
☆使用期限が切れたことによる廃棄
・そもそも利用できない部分の廃棄(野菜の皮など、下ごしらえ時に除去・廃棄するもの)
などがあります。

どのようなコンセプトのお店であったとしても、☆をつけた項目に関してはきちんと管理するべきです。

オーバーポーションはサービスとはなりません

オーバーポーションをサービスと混同されているケースが見受けられますが、お客様の立場から見ると分かりにくく、通常量の時に「量が減った」という印象をもたれて顧客離れを誘発しかねません。量も含めてお店の提供するサービスの品質にはどうしてもぶれが生じます。お客様の評価は品質の振れ幅の一番下で決まる、また振れ幅が大きいほど評価が下がるということは大手カフェチェーン様との共同調査で明らかになりました。つまり、お客様にお知らせしないオーバーポーションは顧客離れにつながります。厳しく管理してください。見落としがちなのはタレ類など、ついレシピに「適量」と書いてしまうような原材料です。味のブレにもつながるので、「赤色スプーンですりきり一杯」など、量をきちんと書くことが大切です。

従業員への原材料配布はモラル維持に注意

従業員による消費についても、きちんと管理するべきです。余りそうなときに持って帰らせたりするようにしてしまうと、「きゅうりが欲しいから、余るように仕向けよう」、というようなことが発生します。最悪なのは発注担当が意図的に多めに発注してしまうことです。こうなると本当に新鮮なうちに使える割合が減ります。つまりメニューの質が下がります。従業員による消費については、金銭的な負担だけでなくサービス低下までまねきかねないことは頭に入れておいてください。きちんとルールを決めるだけでなく、思った通りに運用できているか、常に目を光らせてください。
発注量・使用量が適正か、常に現場の意見・状況を確認している姿勢を見せることで、原材料が会社の所有物という意識の徹底が実現できます。

使用期限を意識

使用期限が切れたことによる廃棄は、お客様へのサービスと直結するため、お店のコンセプトに収まる範囲のルール改善で減らすべきです。使用期限が過ぎてからの報告を求めるだけでなく、原材料ごとに、残り何日になったら報告する、というグレーゾーンの管理を徹底しましょう。使用量の少ない食材に関しては、数量や販売日を限定にして使い切りを図ったり、そもそもお店のコンセプト実現に必要か?という点を検証して、メニュー自体を見直すことで廃棄を減らせます。多くのお店では実践されていると思いますが、先入先出の徹底も重要です。下ごしらえ済みのものなども、面倒がらずにきちんと処理日・使用期限を書くようにしましょう。

これらの改善には従業員の協力が不可欠です。また過剰な削減は顧客離れを引き起こしかねません。ひとつひとつについて、お店のコンセプトと合っているか、確認しながら決定することが必要です。そうすることで、従業員への説明にもコンセプトの意識が反映され、従業員から提案が上がる店舗に変わります。そして、最終的には売れ続ける店舗につながります。
コンセプトがわかりにくい場合は、ショルダーネームに集約して説明しましょう。鮮魚・活魚と入っているのに、鮮度管理がいい加減では看板に偽りあり、と誰もがすぐにわかります。お客様にどのように楽しんでいただきたいのか、従業員も共感できるショルダーネームを作ることで、原材料の扱い方から変わってきます。

原価を下げる方法~仕入れ価格編~

飲食店の方に、原価を下げる方法を聞かれることが多いのでまとめてみました。
工場でも通じる部分があると思います。原価を下げるためとはいえ、気づかい・心配りも必要な点がポイントになります。

原価を下げる方法のひとつとして、仕入れ価格を下げる方法があります。

具体的には
・複数の業者から相見積もりを取る
・取引業者と価格交渉をする
・生産者(農家が漁業者など)から直接仕入れる
・実質的な品質に無関係の傷・規格外品などのB級品を利用する
等の方法があります。

相見積で下げる

一番簡単なのは相見積もりでとにかく安い業者から仕入れることです。多くの指南書でも言われていることですので何も考えずに実行する方も多いようです。しかし、高い頻度で相見積もりばかりとっていると、最終的に質の悪い業者とばかり付き合うことになりかねません。加えて、相見積もりもタダではありません。相手からは無料で提供されるでしょうが、手配・比較のために、少なからず人件費等のコストが発生することは意識しておくべきです。

価格交渉で下げる

次に取引業者との価格交渉ですが、単に下げてくれ、とお願いするよりも効果的な方法があります。それは、お互いにとって取引コストが下がる方法を探して、浮いたコストを折半=値下げのモトにすることです。みなさん意識はしていないとおもいますが、よく知られているのは仕入れ量を増やした際の値引き交渉です。取引量が増えると相手の固定費率は下がりますので、その分を値下げのモトにしてもらっているわけです。他に着目すべき点は納品タイミングです。飲食店であれば大体開店の時間は一律になります。ということは、品物を納品してほしいタイミングも一緒になりがちです。ここに交渉の余地があります。簡単に言うと、忙しい時間帯を外しても対応するからその分値下げしてね、ということです。他にも、お互いにメリットがある提案はいくらでも出てきます。それを値下げという形で実現するためにも、普段から取引業者の方々とは親密になっておくことが大切です。重大なミスは指摘して注意すべきですが、普段から細かいことでぷりぷり怒っていては二人で新しいことに挑戦する気分にはなれないです。是非、取引先はお客様、との発想で気配りを忘れないようにしてください。
価格交渉では多くの場合、物流費をいかにカットするかがポイントになりがちな点も要注目です。

直接買い付けで下げる

3番目は生産者からの直接買い付けです。こちらも最近注目されている手法ですが、とにかく手間と時間がかかります。また生産者に起こるアクシデントに弱いという、デメリットがあります。信頼できる生産者を複数見つけて、お互いにメリットがあるように上手に付き合うことが大切です。

規格外品で下げる

最後に、B級品の使用です。こちらは簡単なようで簡単ではありません。というのも、買いやすいB級品は既に大手に抑えられているからです。飲食店以外にも食品工場・スーパーなどが注目しているランクなので、こちらも取引先との親密さが大切になります。

ショルダーネームで仕入れ先もファンにする!

飲食店をはじめたからには、何年も続けていく覚悟ではじめていらっしゃるはずです。仕入れ先と一緒に成長していくつもりで、工夫のある仕入れ価格の値下げを実現してください。一度実現した工夫は仕入れ価格削減に長期間貢献します。
仕入れにおいても、自店のコンセプトが魅力的であることは共感を呼んで協力者を作ることに貢献してくれます。
コンセプトは多くの場合、わかりにくく伝わりにくいので、ぜひショルダーネーム(ショルダーネームについては別の場所で記事を執筆しております)に気持ちを込めてください。
私も、商品開発をしていたときは、コンセプトをまとめて、ショルダーネーム付きの想定商品名を仕入れ先と共有していました。
そうすることで、自分の知らなかったようなコンセプトにマッチする材料の提供を非常に多く受けることができました。
優れたショルダーネームは仕入れ先もファンに変えて、単純な価格だけでなく、品質・希少性の高い原材料をお手ごろな価格で仕入れることにも役立ちます。是非、挑戦してください。売れる店舗コムでは、一人ではなかなか難しい客観的なショルダーネームづくりのお手伝いもしております。ワークショップも定期的に開催しておりますので、ぜひお問い合わせください。

ジョッキにそそぐビールの量の測り方

ビールを注ぐときは黄色の液体部分と白色の泡の部分があって、体積では計量が難しいですよね?
でもポーション管理はしっかりしないといけません。
ではどうやったら正確に測ることができるでしょうか?
(この記事は主に飲食店向けに書かれていますが、工場で液体を配合する際の参考にもなります。)

体積の測りにくいものは重量で計るべし

飲食店で取り扱うメニューのうち、ビールや固形物の多いシチューなどは体積を正確に測ることは難しいです。
泡や具材が飛び出てしまったりなど、原因はすぐにお分かりいただけると思います。
そのような事情がないものでも、お皿が傾けば目安のラインはあてにならないですし、お皿も料理もどちらも色が濃くて計量用の線が透けて見えないようだとポーションオーバーしているかどうかも分かりません。
そのようなものでも正確に測れるのは重さです。

ポーション管理の訓練では、是非確認に重量を使ってください。
きちんとトレーニングをしておくことで、「少なくないか?」というクレームを抑制できます。
また、お店のオペレーションの透明性も向上します。1杯当たりの誤差が少ないほど、閉店後のチェックでミスがあったかどうか、分かりやすくなります。誤差が1割だと10杯か11杯か、なんとも言い難いですが、誤差が5%なら、実際にそそがれた杯数は容易に想像がつきます。

ちなみに、どろっとした液体も正確に測ることは難しいです。タレなどが該当しますが、味の濃さを決定するものが正確に測れないというのも困りものですよね。人によって癖があり、カンロレードルなどではスタッフ間の差が生じるケースも多くあります。終業時に重量を計量して、平均で何g使用していたのか、他のスタッフ平均と比較してどうなのか?を知ってもらうことで、ポーションが正確になっていきます。

オペレーション中にすべての重量を計ることはあまり現実的ではありませんが、計量カップで正確に同じ分量を取るためには重量でのチェックは欠かせません。

ビールの注ぎ方から始まりましたが、ポーション管理の徹底のためにも容量(体積)と重量を結び付けて正確に測れるように訓練を行ってください。

言った言わないを避ける2つのポイント

たった2つのことに気を付けることで、「言った、言わない」という問題に遭遇する確率は激減します。一つは議事録等の記録をつけることですが、もうひとつはまさかのポイントです。最近話題の某ゴルフ場の規約の問題でも、言った言わないが取りざたされています。相手の肩書や地位がなんであれ、油断一つで深刻なトラブルになりかねない問題が発生してしまいます。そのような事態にならないように注意したい方は是非ご一読ください。

記録を付けよう

この問題を避けるにあたって、記録を付けることは非常に重要です。どのような案件(立ち話中のお願い)であっても、必ず確認事項とやるべきことを文章にして確認してください。

口頭でのやりとりは非常にいい加減なものです。微妙なニュアンスの違いは聞き洩らしやちょっとした油断でスルーしてしまいます。この問題点を排除するために、文章にすることは非常に重要です。

また、作成した文章は必ず関係者(指示者)にメール等で内容が正しいか、漏れがないか確認してもらってください。このように記録を付けた後に共有することで、初めて記録としての価値・意義が発生します。自分だけのためのメモには記録としての価値はまったくありません。それこそ言った言わない、君の勘違いで~~~~と問題が拡大する火種にしかなりませんので共有しなかった記録を証拠のように扱うことはくれぐれも回避してください。

期限をつけよう

言った言わないのトラブルが発生したときに、「証拠があるから、これを送りつけよう!」なんてやってしまうと変に話がこじれることが多いです。これを回避する秘訣は「確認を定期的にすること」なのですが、相手が上司や取引先の場合、定期的に確認することは難しいことが多いです。

そこで無理なく定期的な確認を実現するのが、やるべきことに期限をつけることです。記録の共有の際にこの期限を入れ込んでおくことで、相手が上司・取引先であっても

~~の件につきまして、進捗はいかがでしょうか?先日の御打合せの時に完了は〇月×日とさせて頂きましたが、期限が迫っております(過ぎました)。

~~の件につきまして、実施報告をさせて頂きます。

などのように、問合せや報告をすることができますよね。期限がないとこれが非常にやりにくくなります。このようなメールの効果は以前の決定事項を思い出させることにあります。記録として保存している文章の該当部分を切り貼りがもっとも効果的です。

それでもトラブったら?

経験上、ここまでしてトラブルになることは非常にまれです。それでも世の中にはいろいろな方がいるので、メールを読んでいなかった等の理由で逆切れ!?と思うような言いがかりに遭うこともあります。

まさにクレーマー・・・・、つまり、基本的な回避方法は「まずは謝ること」です。ですが、謝るポイントは確認が不十分でした、ということです

相手が勘違いした状態でいる、というのはまさに確認不足ですから、非を認めたとしてもある意味当然なのでOKです。ここを「お客様のご指摘の通りでございます」などのように受け流そうとすると、更なるトラブルを呼び込むことになります。というのも「ぼや~っと曖昧なことは、厳しく詰めればこちらの思い通りになる」という印象を相手に与えてしまうからです。

また、このような時に「何月何日のメールに添付した記録によると~」とやってしまってもよろしくありません。正論は時に相手を逆上させてしまいます。上にも書いたとおり、クレームを受けているわけですから、基本に忠実に謝罪することがベターです。

以上、言った言わないの回避のポイントは
・記録を取る
・期限をつけて、確認をとる
ということでした。みなさんが未然にトラブルを回避できることを願っております!

問題解決につながる会議の5つのポイント

会議を開いてもなかなか問題解決に結びつかない、そんな品質管理担当者の相談をよく受けます。特に小規模の食品工場では関係者を集めることも難しいところが多いですよね。実は、実施自体が難しい会議でも成功させるためのポイントがあります。そこで今回は、問題解決につながる会議実現の5つのポイントを確認してみましょう!問題解決のためのポイントは先日記事にまとめてありますので、そちらもご参考ください(問題解決のための3つのステップ)。

議題をリストアップする

まずやるべきは、議題にしたいことのリストアップです。そして、議題ごとに目的、関係者を明確にします。ここでいう目的は大きく分けて4つ、「連絡・報告」、「意見調整」、「意思決定・承認」、「検討・議論」、に分類できます。

この中で、会議にしたほうがいいのは検討・議論です。というのも、誰かの発した何気ない一言が新たな問題を明確にしたり、解決のための新しい発想につながることがあるからです。

意見調整については、揉めそうかどうかで経営者などの上席者同席の下で行った方がいいこともあります。

その他の議題については、本当に会議で行う必要があるのか、個別に連絡報告、承認を行うのでは代用が効かないのかを検討しましょう。関係者の意見を聞く必要はあっても会議でする必要はない、と判断したものは次の項目の通り事前根回しをしましょう。

必要最小限の議題にすることで、会議軽視を防ぎ参加すべき人がきちんと参加する会議にすることができます。

リストから外した議題の根回しをする

上の項目で会議の議題から外した件は、会議の開催決定の前に関係者に周知したり承認を得ておきます。このメリットは

・問題解決への共感の獲得
・予想外の課題の発見
・会議時間の短縮による参加率向上
・会議の話題が逸れることの防止

を通じて、より精度の高い会議が実現できることです。特に会議をしても問題解決につながっていない会社では問題の放置癖がついていることが多いです。この放置癖が問題解決に本気になれない、会議軽視、に繋がっています。

問題解決への共感を得て、とにかく必要な人には会議に参加してもらえるようにしましょう。

議題の組合せを検討する

次にすることは議題の組合せを検討することです。目的は「自分以外のメンバーののべ参加時間の短縮」です。参加者が全ての議題に関係するように、また長時間にならないように議題は1~2個に絞りましょう。会議の回数が増えたとしても、場所を選ばず開催できること、会議に取られる時間が減ること、の2つのメリットで会議の質が向上します。

事前に議題、参加して欲しい理由、他の参加者を告知する

会議の前には必ず議題、その会議でその人に求めていること、他の参加者を連絡しましょう。きちんと目的を明確にしてあげることで、参加者の意識も変化します。

特に個人ごとに「なぜ参加してほしいのか?」を伝えておくことで、それまで単に批判するだけだった方も、建設的な意見を言ってくれるようになることが多いです。

やっぱり、求められると応えたくなるものですよね!

総括をきちんと文章にする

会議で決まったことは、いつまでに、誰が、何をするか、その確認をいつ、どうするか、をきちんと文章にしましょう。その文章については掲示や配布等、適切に共有することが大切です。

いかがですか?上記を実施しようとすると自分の負担が増えるのは間違いないです。しかし、自分は変えられても他人を変えるのは難しいですよね。なので、問題解決につながる会議にするためには、自分が頑張るしかない!のです。

そして、ここまで丁寧にやるとこれまで聞けなかったような建設的な意見がたくさん聞けるようになってきます。やはり会議に参加してほしいような経験豊かな方は、モノの見方が違います。是非その豊かな経験が活かせる体験をしてみてください!

問題解決のための3つのステップ

品質管理を担当していると避けて通れないのは問題解決です。問題解決に当たっては必ず3つのステップを意識してください。そうすることで、今まで解決できなかった問題も解決できるようになります。

1.目標を設定する

問題解決のステップなんだから、解決が目標でしょ?と考えたそこのあなた!正解なようで正解ではありません。なぜなら工場で発生する問題の多くは、完全に解決することが難しいからです。

まずは、そもそもなぜ解決したいのか?目的を明確にします。目的意識を持てば、どの程度の改善で満足できるのか目標も決まります。加えて、いつまでに解決すべきなのか期限も明確になります。

目的の明確化(なぜ解決したいのか)→対象と目標の設定(何がどのような状態になればいいか)→期限を決める(いつまでに実行するか)

ここのステップでのポイントは3つです。

1.関係者と「明文化して」共有する
きちんと明文化して確認することが大切です。ここで「目的なんて、会社の人間ならすぐわかるだろう」と横着すると、思わぬ誤解が残っていて問題解決が遅れる原因になります。また、貴重な意見が提案されるタイミングを逃すことも多いです。

2.初めの期限を短く設定する
問題解決が一回の実験(対策)で成功することは稀です。期限を決めるときは、最終的に解決しなければいけない期限の1/3程度の期限にしましょう。その期限に一旦成果(何がどの程度変化して、目標に対してどの程度改善したか?)を確認するステップが必要です。

3.責任者を決める
責任者がいないと、せっかく対策を実行したのに評価もされず、うやむやに・・・というのはよくある事例です。責任者を決めて、対策の進行を管理しましょう。

2.対策を実行する

何をどうしたいのか決まったら、どのような対策を実行したらいいのか検討しましょう。先日の記事「。今日から始める品質管理」を参考に、対策を探してみてください。

ポイントは、
・工程を増やさない
・やりやすくする
・誰でもできるようにする
など、とにかく現場の負担を減らす方向で考えることです。

あれをしたらましになるんじゃないか?そんな考えで検討を重ねていくと、結果的に労力ばかり増えて、潜在的な不具合のポイントが増えて逆効果になることもしばしばです。

対策とはシンプルにすること、そんな発想で知恵を絞ってください。

3.効果を継続的に検証する

対策が効果を発揮したとしても、それは一時的なものかもしれません。食品工場の環境・原材料の多くは季節的な影響を受けやすいです。きちんと責任者が1年を通じて効果が認められるか、定期的に検証してください。

いかがでしたか?たった3つのステップで、言われてみれば当たり前に感じると思います。ですが、きちんと意識して共有すること、期限を切って責任者が実行を管理すること、など、実は多くの会社で出来ていないことだったりします。

当たり前のことを当たり前にやる、簡単なようですがこれが難しいです。是非意識して問題解決につなげてください!

品質管理もセカンドオピニオンをもらおう!

利害関係にある場合、人は自分に都合のいい意見しか言わないですよね。品質管理はあまり利害関係で語られることは少ないですが、実は関係者のエゴがむき出しになっているケースが非常に多いです。このようなケースでは第三者から意見「セカンドオピニオン」がより正しい状況判断に役立ちます。正しく状況をつかまないと思わぬ無駄な出費に繋がっていることも・・・。具体的にどのような利害があるのか見ていきましょう。

取引先品質管理・保健所の視点
彼らが重視するのは事故が起こらないことです。また、ほとんど関心がないのは検査等にかかる費用です。結果的に、可能な限り検査をして欲しいという要望になりがちです。

もちろん会社にとって、事故が起こるのは当然困るのですが、検査の有効性を考えずに過剰・不要な検査を要求される事例も多くあります。

また、取引量についてはほぼ考慮して頂けないので、売上に見合わない検査になることもしばしばです。

社内品質管理担当者の視点
行動を伴わない評論家のような視点になっていることが多く見受けられます。また、普段の業務についても数はこなしても改善まで考えていることはほとんどありません。資材の購入先の検討程度はしますが、本質的なコスト削減に無関心であることもよくある事例です。

セカンドオピニオンで品質管理体制のバランスを取ろう!

経営者は衛生的な品質に明るくない場合が多く、これらの偏向的な意見をまとめることしかできません。バランスが取れればそれでもいいのですが、経営者にとってうれしくない偏りが存在しています。それは「経費」という視点です。

衛生管理には終わりはなく、いくら費用を投じようとも事故は0にはなりません。これは日本有数の大企業であっても毎年何件も回収事例や事故事例があることから明らかです。安全は重要ですが、いくらお金を費やしても事故が無くならない以上、どこかで目標を設定する必要があります。

また、自社の品質管理体制が効果的か、改善の余地はないか、などはなかなか自社内からは意見が出てきにくいのは皆さんの方がよくお分かりだと思います。

そこで、有用なのが、社外の取引関係にない専門家からのセカンドオピニオンの利用です。自社の検査体制は過不足無く適切か、改善点は見当たらないか、意見を聞いてみましょう。その際、経費削減について関心の高い専門家であれば、より経営者に好ましい視点での意見が得られるはずです。

FQMサポートでもセカンドオピニオンの提供は可能です。品質管理の改善点探しのヒントに、是非お試しください。