簡単構築HACCP

こんにちは!小橋博士です。

HACCP構築でお金も労力もかけたくないメーカー様に最適な方法をご紹介します。そもそも食中毒が発生していない状況で過剰な対応をする必要はありません。HACCPの基本は既に会社に根付いている、というところからスタートしましょう!

※高度化を批判しているわけではない点はご留意ください。HACCPは12手順全て構築しないと機能しません。途中で止まるくらいなら、最低限でも完成させて、そこから少しづつレベルをあげましょう、という主旨です。

最低限何をすべきか?

そもそも足りていないのは、ずばり、「HACCP取組み宣言とチームを思い描くこと」です。「え?これだけ?」と思うかもしれませんが、これが実態です。次に12手順と現在の状況を照らし合わせてみていきましょう!

12手順と現状の比較

手順1.HACCPチーム編成

こちらは認識が必要なだけです。そもそもHACCPチームとは工程の衛生管理に当たるチームですので、消費者からのクレームに応じて工程改善を行う担当者チーム、すなわち工場内のリーダークラスと品質管理担当者に任せるのが妥当でしょう。ということで、この方たちがHACCPチームなんだ、という認識(とできれば告知)があれば手順1は終わりです。

手順2.製品説明書の作成

製品説明書なんて、一般的な食品には不要です。そもそも分かりにくいことは
食品表示法やPL法対応として、ラベル等への表示で対応済みのはずです。事例としては、消費・賞味期限、保存方法(涼しい場所に保管してください、要冷蔵、など)、加熱調理の必要性(必要ないものも多い)、アレルギー物質とコンタミの可能性の表示、などが該当します。表示、ありますよね!?こちらで十分な根拠としては、過去にクレームや問合せがないこと、を挙げれば問題ありません。

手順3.意図する用途や対象となる消費者の確認

こちらもほとんどのケースで表示不要です。というのも、こちらも食品ラベルを作る際に必ず記載している「名称」のみで、意図する用途や対象となる消費者は明確だからです。はちみつなど、消費してほしくない対象がある製品や、乳児用、機能性食品など、特殊な製品のみ対応すれば十分でしょう・・・。こちらも手順2と同じく、過去にクレームや問合せが無いことを根拠に対応済み、と考えて問題ありません。

手順4&5.製造工程一覧図の作成とその妥当性の確認

食品メーカーでプロセスフロー図がないところは、もうほとんどないと思います。本当にないんです!というメーカー様は、製品もしくは中間製品ごとに工場図面にモノの流れを矢印で書き込んで、作業記録を基に管理項目とその数値をかきこみましょう。プロセスフロー図がない会社では作成に不慣れで、HACCP事例で見かける書式では書き洩らしが多いです。添加物などの使用量が少ないものも全て保管場所から使用場所まで矢印を引きましょう!

手順6~8.危害分析、CCP決定、管理基準の設定

本当の基本は各種食品の衛生規範で認可が下りた時に確認済みのはずです。また、過去のクレーム対応で主要な危害の分析と対策は実施済みです。これは絶対やらないとだめ、と決めたものがCCPや管理基準になります。これには、明確でないものも含まれるかもしれません。そもそも賞味期限や消費期限を設定しているはずですので、「CCPや管理基準がまったくない」なんてありえません。明確に出来ていない会社様なら、作業上気を付けていることのリストアップをしてみましょう!その際に、「新人作業者に注意してほしい点」という感じでリストアップすると妥当性の高いものになります。仮にディシジョンツリーの結果と異なる管理を行っていた場合、本質的な改善点は手順10と11になります。そして、真っ先に行うべき改善処置は品質管理担当者の力量向上と賞味期限・消費期限の再確認になります。非常に深刻な事態なので直ぐに対応しましょう。専門家等の支援も絶対に必要です。

手順9.モニタリング方法の設定

CCPや管理基準が守られていることの証明をどのように行うか、がこちらになります。ある程度の規模以上の工場ではこちらも既に実施済みですね。記録が難しい組織であれば、燃料の使用量、消毒関係の薬剤の使用量、生産量と作業時間、など経営上管理しているような項目から統計的に推定することも可能です。とはいえ、6~9については、ある程度の知識がないと「妥当である証明」ができません。こちらについては記録の有無など関係なく、自社できちんと妥当性の証明ができるのか?納得してやっているのか?が大事になります。メーカー様それぞれのご事情もあるので、ここは自社で判断できなければ早めに外部専門家に相談するとよいでしょう。私もこちらの相談は既に何件も頂いております。

手順10.改善処置の設定

クレームが来た時にどうするのか?は既に生産をしている会社様であれば体制はできているはずです。対応を行う際に、HACCPの手順を参照するように、ということをHACCPチームに伝えておきましょう。

手順11.検証方法の設定

既に生産をしている会社様であれば、クレームによる、で十分です。

手順12.記録と保存方法の設定

クレーム対応で既に記録は取られていることと思います。手順6~9が怪しかった会社様は外部専門家に相談したときについでに記録の取り方も指導してもらうとよいでしょう。

ということで、既に何度もクレーム対応をしてきた会社様であれば、HACCPチームの任命と新しいクレーム対応時(と新商品生産のとき)にHACCP手順を参照すること、とするだけで、HACCP対応は終わりです。逆に、厳しいことを言うと、変化については妥当性を確認するべきです。つまり、新たにHACCP対応器具等を導入する場合はその妥当性の検証が必要です。何も考えずにやり方を変えてしまっている会社様は今一度HACCPの本当の意味を考えて頂ければと思います。

ご相談などはお気軽にコメント等で頂ければと思います!

以上、小橋博士でした。

MSC CoCの監査挑戦します

縁あって、ISO審査だけでなく、MSC CoCの監査もご依頼を頂きました。といっても、まだ試験に合格しただけでこれから訓練開始ですが。

これからもいろいろなことに挑戦しつつ、コンサルティング業務や審査での指摘事項などに活かせる知識の集積を継続していきます。

今後ともよろしくお願いいたします。

以上、小橋博士でした!