従業員はさぼってる?~その2~

指示したことが出来ていない・・・これはさぼりじゃないのか!?で始まった「従業員はさぼってる?~その1~」の続きです。

前回残ってしまった言い訳
・急な作業に時間を取られてしまった
・忘れていた
・無言、もしくは単に謝罪
・さぼり
を考察していきます。

急な作業に時間を取られた
このような言い訳の問題は、後回しするのに報告や相談が無い、ということです。しかし、この問題においても作業者に責任を求めるのは酷です。作業者側から見ると

・依頼をこなすために工程管理者等への根回しがされておらず時間が取れない
・重要性が理解できず、いつでもできそうな時でいいと感じる

品質管理上の依頼はどうしても付加的な業務という風に受け止められます。このような付加的な業務は、依頼する側がやってもらえる環境づくりに気を配ることが大切です。

作業者の評価につながるように、事前は当然のこと、事後には作業者の上司にも協力してもらった点についての報告・感謝は伝えるようにしましょう。できる環境、協力したことに対する会社としての評価が見える化されることで、このような言い訳に遭遇する事態は減っていきます。

忘れていた
忘れていた、というのも結構ありがちな事態です。このケースも上記の「急な仕事が入った」と同じように、やれる環境を作ることで半分は解決できます。

残りの半分は特別な作業のToDoリストを全作業員が確認できる形で整備することです。品質を向上させようという取り組みは、ほとんどの場合、イレギュラーな取り組みになるはずです。このような活動をきっちり進めるためには掲示板にきちんとスペースを確保してToDoリストを作成しましょう。

無言、謝罪
この場合、本当の原因は分かりません。しかし、品質管理上、意見や気持ちを伝えてくれないという事態そのものが非常に大きな問題です。

その1の「説明不足」に共通した問題点が根っこにありますが、そもそも個人を責めるべきものではなく、会社を改善することで作業者も利益を享受していくという価値観の共有が重要です。

このような場合は、是非改善活動に対する共感を得られるように話し合いをしてください。そして、共感できていない方がいるということは、工場の多くの方がまだまだ改善活動に共感していないということでもあります。

どのようにしたら共感を得られるのか、そのような視点での話し合いが大切です。間違っても説得してはダメですよ!人生はいろいろです。おそらく驚きの価値観に遭遇することも多いでしょう。それを全て包み込んでいけるような、改善の理念を熟成して、より多くの作業者の共感を得て行けるように努めてください。

さぼり
上記の「無言、謝罪」と紙一重な事案です。共感を得ることを模索しつつも、どうしてもダメなら配置換え等の対応をお願いせざるを得ない場合もあります。

以上、大抵の場合は根回し・環境作り不足が、お願いしたことが行われない原因です。仕事だからやるのが当然、良くなるんだからやるのが当然、などと思い込む前に自らを省みましょう。

なんでもやりやすいようにしていこう!この精神が品質管理をより貢献できる部門にする基本です。

以上、小橋博士でした!

従業員はさぼってる?~その1~

指示したことが出来ていない・・・これはさぼりじゃないのか!?リーダーになった多くの方が感じたことがある疑問・疑念ですよね。そしてそのまま追求・叱責に・・・というのもよく見る流れです。ですが、果たしてそれでいいのでしょうか?

怒る前に確認を!

指示していたことが出来ていない原因はなんでしょうか?
・能力的に不可能だった
・説明不足でやり方が分からなかった
・急な作業に時間を取られてしまった
・忘れていた
・無言、もしくは単に謝罪
・さぼり
どれも言い訳としてありがちで、そして一部は他人に責任転嫁しているようにもとれますよね。そしてただでさえイライラしてるのに怒りの炎に油を注ぐような言い訳です。しかし、これらの言い訳は全てペナルティに値するのでしょうか?

能力的に不可能
この言い訳については、きちんと確認をする必要があります。どの作業が能力的にできないのでしょうか?動作速度や操作が複雑すぎるなど、できない部分をきちんと把握する必要があります。その結果として

・実はできたのにできないと思い込んでいた
・本当に出来なかった

の2つのパターンが発生します。前者については、分かりやすく図解を多用した作業マニュアルを整備すべきだったと考えてください。そのうえで、マニュアル作成に助力をお願いするのがベターです。「あなたにも分かりやすく作るから、できたら分かるかどうか見てほしい」、こう伝えてモチベーションが下がった人は見たことがありません。

本当に出来なかった場合は、その工程の人員配置について再考の余地があります。

いずれにしても、この理由のケースでは相手を責めるよりも環境整備をすべきだったと考える方が後々の生産性は向上します。

説明不足
これの真の原因はなんでしょうか?
・ハイ分かりました、としか言えない雰囲気
・できそうならハイと言ってしまう性格
いずれにしても、出来ているはずのものが出来ていないと会社は困ります。会社の求めるものが、ハイというその場の気持ちよさではなく、正確な情報である、という価値観の共有を図ることが求められます。

見切り発車はせず、確認すべきことはきちんと確認する雰囲気を地道に作っていきましょう。

長くなるので本日はここまでです。
その2に続く

品質管理に役立つネットの情報

品質管理を行う(始める)上で役に立つ情報はインターネットから得られるでしょうか?答えは半分yesで半分noです。どうしてなのか、まとめていきます。

正確な部分を探そう!

インターネットで検索する場合、多くの方は「~~~すればOK!」という答えを探しています。記事を書く人は、それに応えて「~~~すればOK!」と記事をまとめてしまいます。ここが役立つ情報が得られるか?にnoと言わざるを得ない状況を生んでいます。

品質管理に役立つようなノウハウで、そのような記事が正確だったケースは政府系の記事を除いてほとんどありません。ケースバイケースなのに、分かりやすさだけを追求してしまって汎用性が著しく低い場合がほとんどです。さらに悪いのは二次的と思われる記事で、元の解釈が間違っているのでそもそも正しくないケースもあります。

上記のように不正確な記事・結論がまかり通っている状況でも、役立つ部分はあります。それは、問題解決のために使えるかもしれない方法論・考え方が見つかることです。

使えるのは方法論のピックアップ

ノーヒントで問題を解決するのと、ヒント有で解決に挑むのは天と地ほどの差があります。インターネットで解決したい事柄を検索したら、これさえやれば~~をうのみにしないで、その方法論を再検索してみましょう!

このように使えるかもしれない方法論をピックアップするのに、インターネットは非常に便利で強力なツールです。ピックアップした方法論の概略はネットで調べてもいいですが、最終的には学生が使うレベルの教科書を参考にしつつネットでかみ砕かれた情報が正しいか、検証する必要があることはお忘れなく。

新聞記者のように裏をとろう!

以上をまとめると、インターネットの情報はそのままでは使えないことがほとんどです。使う前にきちんと裏をとることが非常に重要です。もしうのみにして実行に移してしまうと、きちんと裏付けを取らない新聞記者の様に、いつかぼろが出て総すかん・・・なんてこともありえます。最悪大損害を出すことも!

このように注意と裏付けを取る手間は必要ですが、インターネットは非常に強力な検索ツールです。全否定するのでもなく、完全に肯定するのでもなく、上手に付き合えるようになりたいですね。

(2017.5.4 追記)

答えは異業種にあり!

業界内もしくは似たような業種では、発想が似てしまう上に「常識」に縛られてブレイクスルーが得られにくいです。解決の難しい問題こそ、異業種の発想や工程が参考になります。

異業種を参考にするためには、自分たちの工程の背景を詳細に把握することも必要です。この点、研究職などの学術系の人材は最適任です。理屈ばかりで付き合いにくいと感じることも多いかと思いますが、金銭的負担無しで情報提供を得られることも多いのも学術系の特徴です。お困りの際は是非ご検討ください。

FQMサポートは様々な研究者と密接なつながりがあります。もし自社でコンタクトをとることが難しいようでしたら、ご紹介させて頂くことも可能です。お気軽にご相談ください。
(追記、ここまで)

以上、小橋博士の考えるインターネット情報の品質管理への役立て方でした!

今日から始める品質管理

品質管理って何から始めたらいいの?理想の工場と現実があまりにも違うんだけど?
業務拡大に伴って、このような壁にぶつかる会社は非常に多いです。
かといって専門家を雇う余裕はない・・・では、どうしたらいいでしょうか?

改善点を見つける、記録する

知識がなくても品質管理の基本はできます。それは「改善点を見つける、記録する」という2つです。この2つの習慣を従業員が身に付けることが品質管理の第一歩となります。

まず改善点については
・やりにくい作業はないか?
・時間のかかる作業はないか?
・手間だ、と感じる作業はないか?
・コツが必要な作業はないか?
・普段掃除できていない場所はないか?
など、盛大な愚痴大会にならない程度に聞きだしてみましょう。そのような作業は改善の余地があります。上の質問で出てきた作業について、それぞれ
・やりやすくするにはどうしたらいいのか?
・時間短縮する方法はないか?
・手間を省くにはどうしたらいいのか?
・誰でもできるようにするにはどうしたらいいのか?
・掃除してみよう!
当事者以外も含めて考えてみましょう。赤の他人の方がいい意見を言えることもあるので、事務方も含めて考えてみるのもいいアイデアです。

改善案(掃除は実行案ですね!)が出てきたらとりあえず挑戦してみましょう!そして、ビフォーアフターの写真や実行の記録を付けていきます。

この繰り返しが工場に品質管理の基本的な考え方をすり込んでいきます。
是非めげずに繰り返してみてくださいね。

どうしても質問への回答が出ないようであれば、従業員の愚痴に耳を傾けるのも手です。大抵はそこに改善のヒントが隠されていますので。

解決案が出てこない場合は是非FQMサポートの無料相談をご利用ください。

仕入れの時に確認しておきたいこと

いざ原材料を使う瞬間に、品物があまりよくないことに気づいて戸惑ったことはありませんか?原因は納品時のチェックが出来ていないことがほとんどです。しかし、忙しい時には取引先が納品に来ても、ついつい「いつものところに置いておいて~!」と言ってしまう方も多いと思います。

このように、きちんと納品時に検品しないとトラブルの元にもなります。飲食店の場合は生鮮品を仕入れることが多く、仮に傷んでいたとしても納品後の保管が悪かったのか、納品時に傷んでいたのか、もめやすいのは、皆さんなら経験されていることだと思います。以前お話しした通り、納品の業者さんであっても、一旦前掛けを外せば潜在的にはお客様です。やはりもめごとは回避したいものです。

モノへのこだわりは相手にも伝わります

そこで、きちんと納品時に検品をするわけですが、悪い点はきちんと伝えましょう。
また、後日記事にしますが、飲食店のロスを減らすためには理論原価の計算が必須です。
できれば品質の確認だけでなく、重量の確認も目の前でするようにしてください。
重量当たりのコストパフォーマンスを意識していることが伝われば、お店の望む品質の中で、もっとも重量単価の安いもの、つまり、本当の意味で安いものが手に入りやすくなります。普段から重量を計る習慣がついていれば、野菜のサイズと重量で、仕込み後に実際に使える重量もすぐに頭に浮かびます。業務用のスーパーなどを利用した場合も、お店に帰ったときにきちんと重量の確認をしましょう。

仕入れ後は何を何個で合計何kg仕入れたのか、仕入帳に記載しておくことで、後々の店舗の改善に役立てることができます。
忙しいとは思いますが、やるかやらないかで結局原材料費が5~10%変わってしまうことが多いのです。
是非挑戦してみてください。

理論原価と実際原価

原価を計算しても机上の空論だ!と言われて困っている方へ。
今回は、理論原価と実際原価の比較です。飲食店の経理を念頭に書いた記事ですが、工場などでも同様の考え方・見方で原価を考える必要があります。

理論原価とは?

理論原価とは、お店の売上に対して本来かかるべき原材料費のことです。より詳細に把握したい場合は、一品当たりにかかる経費全てを含めてかまいません。とはいえ、原材料費以外で計算しやすいものは、お客様お一人当たりで提供する数が決まっている割りばしやお手拭き程度だと思います。野菜や肉など、価格変動のあるものは、平均kg単価を使用します。在庫について使用した繰り越し在庫については、その在庫を仕入れた金額を使って計算してください。月次で計算するケースを想定して、以下に例を示します。
単価=(先月在庫量xその仕入れ値+当月仕入れ額-当月末在庫量xその仕入れ値)÷(先月在庫+当月仕入れ量-当月在庫量)
これを原材料ごとに計算します。
次に、レシピと原材料単価から、メニューごとの平均原材料費を計算します。
最後に、当月のメニューごとの売上数に平均原材料費を掛け、全て足し合わせます。これが当月の理論原価になります。
平均単価を出す工程が少し複雑になりますが、仕入れの管理がしっかりできていて、エクセル等の表計算ソフトに情報入力が済んでいれば毎月シートをコピーして使用するだけで自動で計算が出来るようになります。

実際原価との比較

実際原価は当月に使った原材料費なので、計算は簡単です。在庫の処理はその在庫の仕入れ値を使って行ってください。
一般的に実際原価>理論原価となりやすいです。理由は様々なところでロスが出るからです。
・仕込みロス
・廃棄ロス
・ポーションオーバー
・食材持ち帰り
・まかない
などなどが原因です。原材料ごとに理論原価と実際原価の差が異なることもあります。その場合は日々使用量と在庫のチェックを行うことで、より詳細な原因の究明ができます。この理論原価と実際原価の差の原因の究明こそが、ロスの削減につながります。差の大きいところが削減しやすい部分ですので、集中的に管理してください。理論原価と実際原価の差を従業員に情報開示して、原因の推定と対策を同時に発表することで、目的意識を持った改善行動が促せます。ただし、食材持ち帰りについては例外です。従業員に窃盗の疑いをかけることになりますので、慎重に対応してください。一般的には食材がしっかり管理されている、ロスの原因を探られている、という会社の姿勢が伝わることで、持ち帰りは激減します。

ロス削減の目標は仕入れ額の5%以上

これまで、数字を使ったロス削減策を導入していなかった店舗では、削減目標は仕入れ額の5%以上です。
というのも、これが私たちの実績値だからです。みなさん努力されているにも関わらず、数字管理で徹底的にロス原因の究明を行うとこのくらいの削減は見込めます。仕入れから在庫の管理まで、労力はかかりますが、それに見合う以上の効果です。
是非挑戦してみてください。
エクセルの使用などで効率的な管理をしたいけど、なかなか難しい!という方向けに、店舗の事情に合わせたご支援も実施しております。
挑戦したい方は是非、お声かけください。

メニュー・商品リニューアルに必須!ABC分析とは?

メニュー・商品のリニューアルで必須なこと、それはお店・会社にプラスになる改定を行うことです。言葉にするのは簡単ですが、プラスになるかどうかはどう判断するのでしょう?その基準を明らかにしてくれるのがABC分析とクロスABC分析です。「これはよく出る」「これは面倒だからやめる」などと感覚に頼っていると、売上は維持できても利益率が下がったりと、思わぬ状況になりがちです。勝ち残るためには、苦手なことでも面倒がらずに挑戦していきましょう。

ABC分析とは?

さて、そもそもABC分析とはどんなものでしょうか?基本的な考え方は簡単です。ある基準を元に、上位から並べて、合計で7割を占めるグループをAグループ、7~9割を占めるグループをBグループ、残りをCグループとします。売上の多い順にメニューを並べて、それぞれの売上を足していきます。売上100万円のお店であれば、Aグループの売上合計は約70万です。Bグループは約20万で、AとB合わせて約90万です。また単月の分析ではぶれが大きいので、季節要因なども考慮しながら3か月程度をまとめて分析することをお勧めします。ここまでの分析でCグループが改定の対象になることはなんとなく感じて頂いていると思いますが、メニュー改定はそう単純ではありません。それに、ここまでであれば直感で「これは出てる、あれは出てない」と分類するのと大差ないですよね。直感とは異なるのはこの先の、クロスABC分析を行うことです。

クロスABC分析とは、売上以外にも別の基準でABC分析を行うことです。そして、2パターンのABC分析の結果をグループ分けします。もう一つの基準は、基本的には粗利高になります。そして、それぞれのメニューごとに売上のABCと粗利高のABCの記号を書きます。

分析の結果を検討しましょう
AAとなるメニューは優秀ですよね。磨きをかけることで更に利益に貢献します。販売数自体も多いなら、提供時間短縮の対象にも最適です。

CA(売上は低いが粗利は大きい)になったメニューは、売れればお店にとっては非常にうれしいメニューです。どうしたら販売数が伸びるのか、積極的に工夫をすることが望まれます。

AC(売上は大きいが粗利は小さい)になったメニューはお客様にとってはお値打ちの商品です。この場合の考え方は主に2通りになります。

・お店のコンセプト上、存在意義が薄く、粗利以外にも専用食材の存在・提供時間など、お店の負担になっている場合

売れてはいるものの、経営上は負担にしかなっていないです。思い切って削ることで、お店全体のサービス向上を図りましょう。

・意味のある商品の場合

集客用と位置付けてあるメニューならば、そのままにしておいても問題ありません。それでも売上Aに分類されるということは、数量は多く出ているはずです。ロスや提供時間の改善を行う候補にはなりますので、しっかり育てましょう。ただし、メニュー自体は必要でも、原価計算の間違いなどで意図せず粗利が低い場合は対応が必要です。適正な粗利が頂けるよう、値上げを検討してください。この対応は必須です。というのも、お店のコンセプトにない安売りを行ってしまうことは、客層の変化を起こすなど悪影響をまねくからです。

CC(売上も粗利も小さい)になったメニューは基本的にACと同じ対応です。意味がある商品であれば適切な告知が必要です。いわゆる松竹梅の松に当たる商品であれば、平均客単価の上昇に貢献します。その場合は、専用食材の排除など、過度なお店への負担を減らす検討が求められます。

以上のように、メニューのリニューアルだけでなく、オペレーションなどの改善対象の選択にもクロスABC分析は役立ちます。必ず経営の武器になりますので挑戦してください。

清掃用具も管理しよう!

清掃の管理は食品業界の基本ですね。よりうまく「清掃」を管理するにはどうしたらいいでしょうか?清潔さを維持するには、汚れたら掃除する、毎日できるだけ掃除するなどの曖昧で頑張りに頼ったやり方では必ず「ムラ」が発生します。

まとめると以下の3つがポイントです。

  • 用具の管理
  • マニュアルの作成
  • スケジュール管理

清掃用具も管理する

清掃用具を収納する場所は絶対決めます。そして、ほうき1本から洗剤に至るまで、置き場所を決めます。そして、掃除用具ひとつひとつと、その置き場所に、名前を書き込みましょう。誰が片づけても同じ場所に同じものが置かれる工夫が必要です。従業員の意見も聞いて、必要なものはしっかり揃えるようにします。

清掃は仕事の一部ですが、道具が見当たらない場合、最悪清掃されていないのに、したことにされるケースまであります。道具探しで時間を浪費して清掃不十分ということも起きがちです。清掃用具は掃除に必須ですので、道具もしっかり管理しましょう。

清掃マニュアルを作る

どの道具をどのように使って掃除するべきなのか、誰にも明確に分かるように、マニュアルを作りましょう。マニュアルを作るのは手間がかかりますが、様々な改革に積極的に取り組むことで、将来的には従業員も増えていくでしょう。その時に作っておいてよかったと思うのが、誰でも分かるマニュアルです。

気になったところを積極的に掃除できる環境は、従業員のやりがい・やる気を引き出すポイントのひとつです。いざ必要な時には作成が追い付かないのもマニュアルです。いつまでも、きれいな店舗・工場でゲストをおもてなししていくためには、不要と思える時期からコツコツと作っていくことが重要です。

また、作ったら作りっぱなし、というのはNGです。マニュアルの分かりやすさ、適切さについては常に意見を聞きながら改善をしてください。マニュアル置き場についても、事務所に「マニュアル集」として置いておくのはあまりよくありません。従業員であればすぐ見れる場所に、簡単な手順を書いたメモ程度のものを貼りつけておくのも立派なマニュアルの一部です。とにかく目標は掃除をやりやすくすることですので、従業員目線でマニュアルを整備していきましょう。

清掃カレンダー・チェック表を作る

汚れていくスピードは場所によって異なります。店内・工場内のすべての個所について、いつ掃除するべきなのか一目でわかるようにカレンダーを作りましょう。毎日する個所、曜日ごとにする個所、などに分けてもOKです。管理者を含む全従業員が一目でその日に掃除するべき箇所が分かることが大切です。加えて、実際に掃除できているのかどうか、全員が分かる必要があります。情報共有のためにもチェック表は作りましょう。

率先して掃除する習慣・文化を作る

ゲストに気持ちよく過ごしていただくためには、清潔感は必須です。ゲストのおもてなしに重要であることが新人従業員にも伝わるように、管理者・先輩従業員が率先して清掃する姿を見せるよう、しっかり取り組みましょう。

気づいた点・清掃の足りなかった点はすぐスケジュールに反映させる

始めから完璧なマニュアル、清掃スケジュールというものはできません。状況に合った清掃の方法・スケジュールは一生懸命継続することで見えてきます。日々改善できるように、気づいた点やスケジュール外で清掃を行った場所などは情報を集めて、よりよい清掃管理ができるようにしていきましょう。

人手不足と品質管理

人手不足に悩む企業は相変わらず多いようです。そんな問題に品質管理として貢献できる点はないでしょうか?そもそも本当の退職理由は何かから考えて行きます。(注意)この記事は頑張りたい品質管理担当者や、品質管理担当者に壁を破ってほしい経営者向けの記事です。一般的な枠組み内で解決したい方には向きません。

本当の退職理由は?

退職者が経営陣に申告する退職理由は、多くの場合表向きのモノです。嫌いな人に嫌いな理由を言いにくいのと同じですよね。では、本当の理由はなんでしょうか?あくまで私が調査した範囲ですが・・・

・待遇
・やりがい
・いじめ

が主な理由です。それぞれ考察していきます。

待遇

待遇についての問題は、不十分な賃金・不公平な賃金・長時間労働・労働環境に分類できます。長時間労働はまだしも、賃金面については品質管理の出番はないように見えますが・・・、実はあります。詳細は長くなるので省きますが、そもそも賃金面の問題の根っこには長時間労働や後述するやりがい、いじめの問題があります。

ということで、長時間労働対策として、少しでも効率があがるよう工程を改善することが品質管理としてできる待遇改善への貢献です。

また労働環境としては「着替えや荷物を置くためのバックヤードが不十分」というのも大きな理由に挙げられます。バックヤードについては異物混入の観点からもしっかり整備するべきです。品質管理と絡めたアンケートをとるなど、客観性と品質管理の視点の両方からデータをまとめて経営陣に交渉することで一定の成果が得られたケースもありますので、ご参考ください。

やりがい

やりがいを持っていただくためには、なによりお客様の称賛の声をしっかり伝えることです。そして、その声が少しでも増えるように品質向上の施策をうちつづけることです。

逆に、従業員目線ですら「よくないもの」を作っているようではやりがいは地に落ちます。

また、会社の方針に反しないのであれば、給料と直結した能力評価表を作成することもひとつの手段です。何をどこまでやったらいくら稼げるのか、明確にすることでやりがいがわきます。こちらは人事部単独ではなかなかやりにくいので、工程の難易度を公平に判断して評価の基準・ポイントの詳細を作成しましょう。いわゆる、人事評価表をきちんと作るべきです。

人事評価表と聞くと、いきなりハードルが高く感じるかもしれません。普段業務指導を行うポイントをメモしておいて、それをまとめて並べれば表になります。その下に○×や点数を付けてあげれば完成です。

このような評価基準を構築することで、新しい取り組みもスムーズに進行しやすくなります。

いじめ

いじめと品質管理もまったく関係がなさそうですが、ある程度は貢献できます。まず、いじめで多いのは新人いびりです。これの最大の問題は、仕事をしたくてもやり方をきちんと教えてもらえない、という点です。やり方も教えてもらえず、単に怒られてばかりなら、誰だって嫌になりますよね。

この点の対策はマニュアルの整備です。とはいっても、冊子で用意するだけではだめです。というのも、冊子は現場に持ち込めませんし、大抵詰まるのは覚えにくい作業だからです。記憶すべきものを見やすく掲示しておくことで大分改善します。

また、作業の教育を現場の作業員に極力させないことも方法の一つです。一定の品質を維持するためにも教育のシステムを構築することは多方面にいい影響を与えます。

まとめ
以上のように、品質管理を通じて人が辞めてしまう原因を減らすことができます。やめにくくなれば人手不足は自然と解消の方向に向かいます。是非、会社全体を盛り上げられる品質管理を目指してください。

開発費用はおいくら?

メニューをはじめ、何かを開発するときの費用対効果の検証をしているところは大手を除きほとんどありません。効果の検証はアンケートなども活用しないと難しいことと、そもそも開発費用自体、把握できていない場合がほとんどです。適正な開発ペースと値付け、目標品質を考えるためにも、メニュー開発費用について考えてみましょう。

まずは人件費・材料費から!

普段の原価率計算以上に詳細に把握することは現実的ではないですよね。ということで、人件費と材料費をきちんと出しましょう!
同時に何品も開発する場合は、人件費が出しにくい場合があるとは思います。その場合は使った時間を品目数で割ってもかまわないので、いったいいくら使ったのか、おおよそでも数字を出すことが大切です。

設備投資はしたのか?

開発するメニューによっては、新しい調理器具を導入する必要もありますよね。この場合は人件費・材料費だけでなく、設備投資も必要になります。この様なメニューの場合は設備投資額もきちんと分かりやすく記録しておくことが大切です。

新メニューの費用対効果は?

メニュー開発の方向性があっているのか、開発費用と新メニューの粗利を比較してみましょう。この際に、新メニューでしか使用しておらず、ロスになった食材分の金額は粗利から引きます。飲食店においてはこの額はほとんど発生しないはずですが、気合を入れすぎると思わぬロスが発生することもありますので、きちんと調べてください。新メニューの性格上、常連さんに飽きさせない等の役割もあるため、粗利が開発費用ととんとんであるならまずまず目的は果たしたと評価できますね。
とはいえ、全体の売上のうち、新メニューが占める割合が大きすぎる場合は注意が必要です。メニュー全体のリニューアルも選択肢に入れつつ、戦略を考え直す必要があります。

新メニューの開発だけがメニュー開発なのか?

結構見かけるのが、メニュー開発=新メニューの創出という思い込みです。
提供スピード改善のための調理法開発、看板メニューのブラッシュアップなども全てメニュー開発です。
これらの既存メニューの改善開発の場合は、単に粗利と比較すればいいわけではありません。開発目的を達成できたのか?その費用はいくらだったのか?適切に比較してください。

斬新なメニューは飽きやすい

これまで数百品ほどメニュー開発をしてきましたが、その経験上、斬新なメニューは飽きられやすいです。
圧力釜や電子レンジなど、比較的近年開発された調理法もありますが、それでも全世界で数億人が料理を毎日毎日しています。料理を楽しむ余裕のある人・プロの料理人に絞っても相当な人数でしょう。定番は、そのような毎日何百万何千万と繰り返される料理の中で生き残ってきたものです。斬新と感じられるものの多くは、既に誰かが試して生き残れなかったものがほとんどを占めるのも、上記事実を考えれば納得いただけるのではないでしょうか?そもそも斬新とは、言葉を変えると奇抜ともいえるのです。
一方で、斬新なメニューは情報も少なく、開発コストはかさみがちです。
もちろん、お客様にとってのインパクトも大きくなるメリットはあります。
往々にして自信作と言われるものは斬新=奇抜なものになりがちです。そのような料理に対する評価は「おもしろい」「おいしい」などポジティブなものが多くなりがちなのも要注意です。試作品の評価をしてもらう時には、言葉だけでなくたべっぷりなど、いつも以上に細部にわたって観察することが大切です。
料理人にとっては、斬新なメニュー開発が楽しいのも事実ですし、ヒットを夢見られるという点でも、やりがいを感じられるのは間違いないです。とはいえ、経営者としてはこのような傾向を、きちんと把握しておくことは必須だと考えます。