ISO審査の経験

すっかりご無沙汰しております。小橋博士です。

この1年半で多くのISOの審査経験、MSC/ASC CoCの審査経験を積ませて頂きました。経験を通じて見えてきたことですが、ISO14001やISO45001では、リスクの低減の為に業務効率を上げるという視点がほとんど見られないため、活動が頭打ちになりがちなようです。FSC認証の紙やグリーン電力を購入するなどお金のかかることよりも、お金をかけずに達成可能な目標を追い求めないと当然活動は頭打ちになりがちですよね。超大手ならまだしも、普通の中小企業には稼げないことをやる余裕なんてほとんどありませんので。ISO9001においても経営層とのコミュニケーションツールとしてもっと活用いただければいいのにと思うことも多いです。

審査はなんだかんだそれなりのお金がかかりますので、是非有効活用いただければと思います。

一般論ではなかなか書きにくいことが多いので、ISOの運用でお悩みの方は是非コメント等を入れて頂ければと思います。

以上、小橋博士でした!

授業員のニーズを分析してみましょう

皆さんこんにちは!小橋博士です。ISOの審査でいろいろな組織(会社)を回っていると必ず聞くのが人材不足です。そんな中、ハローワークに募集をかけると応募が殺到し、たった1日で締め切るほどの人気の会社に出会いました。逆に応募者に不思議な傾向が発生している会社もあります。それらの原因から、どんな会社でもできる人材獲得のための施策を探ってみました。

たった1日で従業員募集を打ち切るほどの人気企業

応募が殺到なんて、さぞ条件がいいに違いない、と思われる方も多いのではないでしょうか?詳細な職種は記載を避けますが、以下のような特徴があります。

・給与面の待遇はパートは最低賃金、社員もそれほど高くはない

・立ち仕事で単純作業のいわゆる工場勤務

・設備はどちらかというと古め

・同業他社は従業員確保が出来ずに外国人研修制度を利用していることから、業種に人気があるとは言えない

高所作業や力仕事、衛生関係など、人を極端に選ぶ仕事ではない、という点以外、ほとんどの会社で「うちと大差ない」と思えるのではないでしょうか?では、いったい何が違うというのでしょうか?

従業員目線での従業員満足

その会社の最大の特徴は「従業員目線での従業員満足」を追求していることです。初めの施策は「従業員の大半を占める女性が楽しめる懇親会」を実施したことでした。それまでは、男性の経営幹部が懇親会を企画・実施していましたが、参加率は5割を切っていました。ところが、30代・40代女性が楽しめるような企画を盛り込んだことで、現在の参加率は9割前後まで上昇したそうです。こちらは「完全自由参加」「費用は全額会社持ち」と強制性の低い条件で懇親会を行っていますし、参加率が低かったころからこちらの条件は変わらないことから、かなり高い満足度がうかがえます。

参加率上昇を受けて、従業員に対する全ての施策を従業員目線で考え確認するようになったそうです。この辺りから、パート従業員含めて「知り合いが働き口を探しているのだけど、雇ってもらえないか?」という相談・お願いが出始めたそうです。そして、募集をかければすぐに申し込みが殺到するほどの人気企業へと変貌していきました。

更にうれしい効果として、従業員満足を実感できるようになった頃には顧客からのクレームも減少していたそうです。やはり満足度は仕事ぶりにもあらわれるということですね。

もちろん、仕事はきつい部類に入りますので、相性もあります。残念ながら入社したものの退職されるケースも未だに散見されるそうですが、再募集にも直ぐに人が集まることから人材面での不安は全くない状態です。

応募者居住地のドーナツ化現象

一方で、従業員満足が低い状態が続いている会社の事例を紹介します。30年来地域密着で操業しているある会社では、従業員を募集してもなかなか応募が無く、やっと応募がきても地元からではなく遠方からの応募がほとんどになっています。傾向としては昔都市部の人口分布の特徴としてあげられたドーナツ化現象のようなことが起こっているのです。そして、ドーナツの輪はどんどん広がり採用コストもそれに比例して高くなっています。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?それは、人口の流動性が低いから、ではないかと思います。スーパーなどでは「商圏」という店舗に集客できる範囲を考えます。一方で、従業員採用については「商圏」のような発想をあまり見受けません。しかし、通勤可能範囲は人それぞれにありますので、このような発想で考えてみる必要があるようです。地方ではこの「商圏」内の居住者はほとんど変わらないですよね。ということは、会社の評判が悪くなれば商圏内での潜在的な応募者は減ったままになります。結果として、国内の平均的な雇用情勢だけでなく、自社の評判による影響も受けることになります。これらが複合して起こることで、応募者居住地のドーナツ化現象が起きると考えられ、この現象が起き始めている会社の従業員満足は危機的状況にあると推測されます。

従業員目線の施策で従業員満足を向上させましょう

これまでの記事で、従業員満足の測定方法として以下の2つがあげられます。

1.懇親会の参加率(満足度に比例)

2.応募者居住地と会社との距離(満足度に反比例)

以上の指標を参考に、従業員満足の向上を目指してはいかがでしょうか?必ずしも給与や福利厚生だけが満足度を上げるわけではありません。目配り・気配り・心配りでちょっとしたことで従業員満足の向上を目指してみてください。人材獲得だけでなく、品質向上から業績へもプラスの効果が見込めますよ!

以上、小橋博士でした。

機器の校正について

皆さんこんにちは!小橋博士です。

大分暑くなりました・・・熱中症にお気を付けください!

さて、本日は機器の校正についてです。
機器の校正は定期的に行っているし、記録も付けているから大丈夫!という会社様は多いです。しかし、pHメーターのように「変化に弱い標準物質」を用いている会社のほとんどで適切な校正が行われていません。いったいどういうことでしょうか?詳細をご説明します。

校正の手順の盲点

pHメーターの校正の手順は標準液に浸してオートで校正、を2~3種の標準液に対して行う、という会社が非常に多いです。機械が自動で指定されたpH値に補正を行うわけですね。
さて、これのどこに問題があるというのでしょうか?

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、pHの標準液は大気中の二酸化炭素などのガスをはじめ様々な影響を受けるため、一部の標準液では使用期限が印字されています。
まず、こちらを意識していない会社も非常に多く、審査先での指摘でも「え、そんなのあるんですか!?」という反応をされる方が非常に多いです。
そして、ガス等だけでなく、不適切な使用による汚染もありえます。

ということは・・・、実際は異なるpH値の液を用いてそれを指定の値として校正を行っているケースがある、ということです。
多くの測定機器は直接観測される電圧等の値を重量やpHなどの他の相関する値に対して読み替えを行います。
この読み替え自体に不適切な状態が発生すると校正の手順によっては気づかずに使用を続けることになります。

この状態の怖いところは、遡って測定値を再検証することができないことです。その理由は、気づいたときには使用した(汚染されているかもしれない)標準液が存在しないことです。
冷凍食品や缶詰など、長期保存可能な食品を製造しているメーカーでは思わぬリスク源となりえるのです。

同じはずのものが同じ値になることの確認をしましょう!

このような事態を避けるためにも、容易に汚染されるような標準物質を用いる際には新旧の標準物質で同じ値になることも確認しましょう。
そこまで確認して初めて旧標準物質で測定した値が正しく校正された状態で測定された、とみなされます。

そもそも、校正の意味は機器を適切な状態に調整する・状態を確認するためだけではありません。
それまでに行った測定が正しく行われたかの最終確認でもあります。
校正の手順書に校正のやり方のみを記載している会社も非常に多い状況ですが、校正がずれていた場合の手順についても一度考えてみてください。
機械を調整するだけではないですよ!過去のデータについてどのように取り扱い検証するかも大切な視点です。

暑いのに小難しい話ですみません・・・以上小橋博士でした!