理論原価と実際原価

原価を計算しても机上の空論だ!と言われて困っている方へ。
今回は、理論原価と実際原価の比較です。飲食店の経理を念頭に書いた記事ですが、工場などでも同様の考え方・見方で原価を考える必要があります。

理論原価とは?

理論原価とは、お店の売上に対して本来かかるべき原材料費のことです。より詳細に把握したい場合は、一品当たりにかかる経費全てを含めてかまいません。とはいえ、原材料費以外で計算しやすいものは、お客様お一人当たりで提供する数が決まっている割りばしやお手拭き程度だと思います。野菜や肉など、価格変動のあるものは、平均kg単価を使用します。在庫について使用した繰り越し在庫については、その在庫を仕入れた金額を使って計算してください。月次で計算するケースを想定して、以下に例を示します。
単価=(先月在庫量xその仕入れ値+当月仕入れ額-当月末在庫量xその仕入れ値)÷(先月在庫+当月仕入れ量-当月在庫量)
これを原材料ごとに計算します。
次に、レシピと原材料単価から、メニューごとの平均原材料費を計算します。
最後に、当月のメニューごとの売上数に平均原材料費を掛け、全て足し合わせます。これが当月の理論原価になります。
平均単価を出す工程が少し複雑になりますが、仕入れの管理がしっかりできていて、エクセル等の表計算ソフトに情報入力が済んでいれば毎月シートをコピーして使用するだけで自動で計算が出来るようになります。

実際原価との比較

実際原価は当月に使った原材料費なので、計算は簡単です。在庫の処理はその在庫の仕入れ値を使って行ってください。
一般的に実際原価>理論原価となりやすいです。理由は様々なところでロスが出るからです。
・仕込みロス
・廃棄ロス
・ポーションオーバー
・食材持ち帰り
・まかない
などなどが原因です。原材料ごとに理論原価と実際原価の差が異なることもあります。その場合は日々使用量と在庫のチェックを行うことで、より詳細な原因の究明ができます。この理論原価と実際原価の差の原因の究明こそが、ロスの削減につながります。差の大きいところが削減しやすい部分ですので、集中的に管理してください。理論原価と実際原価の差を従業員に情報開示して、原因の推定と対策を同時に発表することで、目的意識を持った改善行動が促せます。ただし、食材持ち帰りについては例外です。従業員に窃盗の疑いをかけることになりますので、慎重に対応してください。一般的には食材がしっかり管理されている、ロスの原因を探られている、という会社の姿勢が伝わることで、持ち帰りは激減します。

ロス削減の目標は仕入れ額の5%以上

これまで、数字を使ったロス削減策を導入していなかった店舗では、削減目標は仕入れ額の5%以上です。
というのも、これが私たちの実績値だからです。みなさん努力されているにも関わらず、数字管理で徹底的にロス原因の究明を行うとこのくらいの削減は見込めます。仕入れから在庫の管理まで、労力はかかりますが、それに見合う以上の効果です。
是非挑戦してみてください。
エクセルの使用などで効率的な管理をしたいけど、なかなか難しい!という方向けに、店舗の事情に合わせたご支援も実施しております。
挑戦したい方は是非、お声かけください。

投稿者: 小橋博士

FQMサポート代表 品質向上コンサルタント/農学博士 品質向上とコスト削減を同時に実現する新手法「グレーゾーン管理」の開発者 食品会社の経営経験有

「理論原価と実際原価」への1件のフィードバック

  1. 毎日の原価管理をエクセルで管理したいのですが、どのようなエクセル表が良いかまた、どのような管理方法がわかりやすいかお教えいただけませんか。

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