機器の校正について

皆さんこんにちは!小橋博士です。

大分暑くなりました・・・熱中症にお気を付けください!

さて、本日は機器の校正についてです。
機器の校正は定期的に行っているし、記録も付けているから大丈夫!という会社様は多いです。しかし、pHメーターのように「変化に弱い標準物質」を用いている会社のほとんどで適切な校正が行われていません。いったいどういうことでしょうか?詳細をご説明します。

校正の手順の盲点

pHメーターの校正の手順は標準液に浸してオートで校正、を2~3種の標準液に対して行う、という会社が非常に多いです。機械が自動で指定されたpH値に補正を行うわけですね。
さて、これのどこに問題があるというのでしょうか?

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、pHの標準液は大気中の二酸化炭素などのガスをはじめ様々な影響を受けるため、一部の標準液では使用期限が印字されています。
まず、こちらを意識していない会社も非常に多く、審査先での指摘でも「え、そんなのあるんですか!?」という反応をされる方が非常に多いです。
そして、ガス等だけでなく、不適切な使用による汚染もありえます。

ということは・・・、実際は異なるpH値の液を用いてそれを指定の値として校正を行っているケースがある、ということです。
多くの測定機器は直接観測される電圧等の値を重量やpHなどの他の相関する値に対して読み替えを行います。
この読み替え自体に不適切な状態が発生すると校正の手順によっては気づかずに使用を続けることになります。

この状態の怖いところは、遡って測定値を再検証することができないことです。その理由は、気づいたときには使用した(汚染されているかもしれない)標準液が存在しないことです。
冷凍食品や缶詰など、長期保存可能な食品を製造しているメーカーでは思わぬリスク源となりえるのです。

同じはずのものが同じ値になることの確認をしましょう!

このような事態を避けるためにも、容易に汚染されるような標準物質を用いる際には新旧の標準物質で同じ値になることも確認しましょう。
そこまで確認して初めて旧標準物質で測定した値が正しく校正された状態で測定された、とみなされます。

そもそも、校正の意味は機器を適切な状態に調整する・状態を確認するためだけではありません。
それまでに行った測定が正しく行われたかの最終確認でもあります。
校正の手順書に校正のやり方のみを記載している会社も非常に多い状況ですが、校正がずれていた場合の手順についても一度考えてみてください。
機械を調整するだけではないですよ!過去のデータについてどのように取り扱い検証するかも大切な視点です。

暑いのに小難しい話ですみません・・・以上小橋博士でした!