簡単なはずのことでトラブルが絶えない

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

品質管理をしていると、原因は簡単なはずなのに、トラブルが絶えない!ということがありますよね。基本的なことなので、教科書的に「手洗いが不十分!」とか「ルールが守れていない!」とか、指摘することは簡単です。しかし、品管の仕事はトラブルをなくすこと。では、どうしたらいいでしょうか?

責めても改善には1mmも近づかない

この問題の原因はこうのはず!あなたが原因だ!よく見る光景です。そしてこれで問題が解決した事例を私は知りません。仕事上のトラブルの場合、相手がミスを認めることはかなりレアなケースです。つまり、あなたが責めれば責めるほど、相手は予想もつかないような言い訳をしてくることになります。品質管理に携わる方なら、身に覚えがあるのではないでしょうか?

ここで分かることは、相手を責めることで得ることは少しもない、という現実です。

簡単なことこそ難しい

ここでもう一度、おかれている状況を考えてみましょう。簡単なことはそもそも本当に簡単なのでしょうか?人は非常に頻繁に基本=簡単と思い込んでいます。しかし、ここがそもそも間違いなのです。基本は非常に大切ですが、なぜ大切なのでしょうか?それは、簡単で誰でも数回は出来るのですが、続けることが難しいからです。なので、あえて「基本」と称して継続することを促しているのです。品質管理で言えば、手袋の扱いや手洗いなどがこれに該当します。

食品工場と家庭の台所は似て非なるものですが、似ているがゆえに職場での基本が守れない現実があります。基本が守れないのか!と怒るのは簡単です。しかし、微妙な違いであるが故の難しさを受け入れていかない限り、進歩はありません。

基本を維持することの難しさを現場の作業者の皆さんと共有して、怒るのではなく、困難な課題に挑戦していく心構えを共有してください。

簡単なことこそ難しい、この視点・感覚こそ、作業者の皆さんと問題意識を共有する上で必要不可欠なだけでなく、絶えないトラブル根絶の唯一の道筋です。

以上、小橋博士でした!

品質管理体制の構築ー3つの柱ー

こんにちは!小橋博士です。

今日は取引拡大に向けてかかせない、品質管理体制の構築はどうしたらいいのか?というお話です。取引を増やしたのに利益が上がらない!抜き打ち検査で相当なロスが出ている!など、もっとうまくやれる方法があるはずじゃないの?とお考えの社長様に是非読んでいただきたいです。

食品工場で管理されるべき品質

食品工場に求められる品質は以下のようなものがあります。
・衛生(1)
・重量・長さ・入り数など、契約や法律の上で守るべき品質(2)
・生産性(2)
・消費者が実感する品質(味や見た目)(3)

商品を個別に包装して第三者に販売委託をするには、こちらに挙げた順番がそのまま実現すべき優先順位となります。そして、後ろに付けた数字ごとに必要な人材が異なります。品質管理体制構築の3本柱ですね!

衛生管理はどうしたらいいのか?

衛生管理については直感・勘・商売上の経験ではどうにもなりません。
衛生管理のできる人材を確保して指導を仰ぐ以外方法はないです。適合するのは、衛生管理経験者・(管理)栄養士です。少しイレギュラーですが、衛生管理経験者ではなくても、食品衛生管理者の資格要件を満たしている方(医師・歯科医師・薬剤師・獣医師、大学で医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学のいずれかの学部を卒業した方、食品衛生管理者養成施設で教育を受けた方)であれば、十分に業務をこなす能力があります。

ただし、マニュアル等が整備された状態での管理業務と、何もないところから作り上げる能力は同じようで異なります。工場でのルールをきちんとくみ上げられるか、確認することが大切です。

工程管理はどうしたらいいのか?

上の品質一覧で(2)を付けた品質は、工程管理によって実現されます。こちらは工場長経験者やトヨタ式の生産管理経験者であれば大いに活躍してくれるはずです。さらに、改善の意識をもっている方であれば、肩書によらず活躍できると思います。

ただし、ある程度のところを超えるとそもそも問題解決が出来ない事態が発生します。その理由は科学的な知識がないと、食品の製造工程で発生する問題解決ができないからです。その場合は各種専門家派遣事業を利用して頂ければ、解決への道が開けるはずです。

商品開発はどうしたらいいのか?

(3)は商品開発の段階で実現すべき品質です。食品の商品開発は味覚や視覚等で伝わる品質と安全性すなわち衛生面での品質が求められます。衛生面は衛生管理担当者が行えますので、主に味覚・視覚、お得感などを考えられる方であれば商品開発はやっていけます。社長が衛生管理担当者の業務の一端として意識して手配すれば、極端な話誰でもOKです。

求められる性格は?

ここまでは主に能力面のお話でした。しかし、性格も非常に大切です。個人的には以下のような性格(視点)を持っている方を探して頂くことをお勧めいたします。

衛生管理者・・・安全性とコストのバランスを意識できる方が最も向いています。そして残念ながら、このような人材は少ないようです。立ち上げ時期はいろいろ入用なので、法令にのっとりつつ、創意工夫で改善できる方がうれしいですよね。

工程管理者・商品開発・・・工場の生産と試験のバランス感覚のある方が望ましいです。初めは試験したいことが山積みになりますが、それぞれにきちんと優先順位をつけられるかどうかがポイントです。

あとは全体に共通することですが、コミュニケーションが取れて作業者全員に敬意をもって接することが出来る方が望ましいです。

以上、自前で整えるとかなりハードルが高いですよね。特に人を雇うのはなかなか決断がいることだと思います。そんな場合は是非、ご相談ください。FQMサポートが必要な時に必要な分だけお手伝いをさせて頂きます。

小橋博士はなんと!
・衛生管理経験者・食品衛生管理者の要件を満たす農芸化学卒業
・工程管理経験者・改善実績も多数
・商品開発経験者・お取引先からおほめ頂いた商品を2つも開発しています
なにより、経営経験がありますので、コストも常に意識しています。
お困りの際は是非お声かけ頂ければと思います。

以上、小橋博士でした!

食品製造の品質管理のポイント

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

前回の記事は、改善案の実行には人のマネージメントが不可欠、という内容でした。今回の記事はそもそも改善案の立案に不可欠なポイントです!問題があることは認識していても、どのように改善への糸口をつかむのか、ここがわからないと始まらないですよね。
改善策立案と実行の二つが合わさることで、ようやく改善できます。品質管理は大変ですが、成功すれば喜びもひとしお!ということで、今回と前回の記事が皆さんの参考になれば幸いです。

食品製造業の特徴

食品製造業の特徴は、鍋釜一つあれば始められる、と言われるほどの敷居の低さにあります。食品製造業の創業者で製造ラインのエンジニアや食品関連の研究者出身の方は本当にごく少数です。これに起因して、工業化・大規模化の訓練を受けた人材が所属している割合も非常に少ないようです。

また、社会的な要請から、品質管理=衛生管理となりがちなことも特徴の一つです。随所で数値管理はしているのですが、そもそも統計的な品質管理と衛生管理は別物ですので、衛生管理が専門の方が統計的品質管理に挑戦しているという話はあまり聞きません。

以上から、食品製造業では、衛生管理担当者がいても、よほど大規模な工場でない限り、品質を管理し改善していく担当者がいることは非常にまれです。その結果として、ムリ・ムダ・ムラだけでなく、管理上の不備が放置されていることが多いようです。専門家がいないことが多いので、そもそも不備に気づけないという構造的な問題だと感じています。

品質管理のポイントは「測る」ことから!

管理上の不備とは、そもそもばらつきを計測するためのチェック作業がないことを指しています。例えば「パンの発酵がうまくいかない、いつもどおり湿度は70%で温度は30度なのに」という話があったとします。原因はなんでしょうか?

このような問題の原因を探るためには、確認していなかったことを確認して、うまくいくときといかないときの違いを見つけることです。そうです、とにかくばらついているかも?と思ったことを片っ端から測っていくことが品質管理への第一歩になります。

上の例だと
・酵母1gの中に生きているのはどのくらいいるのか?
・材料はしっかり混ざっているか?
・捏ねるときの温度変化はどうか?
・測定した湿度・温度はどこの温度なのか?ムラはないのか?(部屋の温度などは場所によって結構違います)
・原材料の成分は一緒なのか?(このケースだと小麦粉の成分、グルテンの含量などです)
などなど、いろいろ出てきます。それぞれについて、どのようにしたらばらつきを測定できるのかをみんなで考えましょう。思いつかないときは私はじめ専門家の意見を聞いてみるのも有効です。知らないことはいくら頭をひねっても出てこないので。

このようにして、地道に問題ごとに測定すべき事柄を蓄積していきましょう。原因となるばらつきが見つかれば、品質を安定させる「品質管理」への道が開けてくるはずです!ここまでやって、はじめて、稼げる品質管理になれます。道は険しいですがその分やりがいはあります。頑張っていきましょう!

以上、小橋博士でした。