原価を下げる方法~仕入れ価格編~

飲食店の方に、原価を下げる方法を聞かれることが多いのでまとめてみました。
工場でも通じる部分があると思います。原価を下げるためとはいえ、気づかい・心配りも必要な点がポイントになります。

原価を下げる方法のひとつとして、仕入れ価格を下げる方法があります。

具体的には
・複数の業者から相見積もりを取る
・取引業者と価格交渉をする
・生産者(農家が漁業者など)から直接仕入れる
・実質的な品質に無関係の傷・規格外品などのB級品を利用する
等の方法があります。

相見積で下げる

一番簡単なのは相見積もりでとにかく安い業者から仕入れることです。多くの指南書でも言われていることですので何も考えずに実行する方も多いようです。しかし、高い頻度で相見積もりばかりとっていると、最終的に質の悪い業者とばかり付き合うことになりかねません。加えて、相見積もりもタダではありません。相手からは無料で提供されるでしょうが、手配・比較のために、少なからず人件費等のコストが発生することは意識しておくべきです。

価格交渉で下げる

次に取引業者との価格交渉ですが、単に下げてくれ、とお願いするよりも効果的な方法があります。それは、お互いにとって取引コストが下がる方法を探して、浮いたコストを折半=値下げのモトにすることです。みなさん意識はしていないとおもいますが、よく知られているのは仕入れ量を増やした際の値引き交渉です。取引量が増えると相手の固定費率は下がりますので、その分を値下げのモトにしてもらっているわけです。他に着目すべき点は納品タイミングです。飲食店であれば大体開店の時間は一律になります。ということは、品物を納品してほしいタイミングも一緒になりがちです。ここに交渉の余地があります。簡単に言うと、忙しい時間帯を外しても対応するからその分値下げしてね、ということです。他にも、お互いにメリットがある提案はいくらでも出てきます。それを値下げという形で実現するためにも、普段から取引業者の方々とは親密になっておくことが大切です。重大なミスは指摘して注意すべきですが、普段から細かいことでぷりぷり怒っていては二人で新しいことに挑戦する気分にはなれないです。是非、取引先はお客様、との発想で気配りを忘れないようにしてください。
価格交渉では多くの場合、物流費をいかにカットするかがポイントになりがちな点も要注目です。

直接買い付けで下げる

3番目は生産者からの直接買い付けです。こちらも最近注目されている手法ですが、とにかく手間と時間がかかります。また生産者に起こるアクシデントに弱いという、デメリットがあります。信頼できる生産者を複数見つけて、お互いにメリットがあるように上手に付き合うことが大切です。

規格外品で下げる

最後に、B級品の使用です。こちらは簡単なようで簡単ではありません。というのも、買いやすいB級品は既に大手に抑えられているからです。飲食店以外にも食品工場・スーパーなどが注目しているランクなので、こちらも取引先との親密さが大切になります。

ショルダーネームで仕入れ先もファンにする!

飲食店をはじめたからには、何年も続けていく覚悟ではじめていらっしゃるはずです。仕入れ先と一緒に成長していくつもりで、工夫のある仕入れ価格の値下げを実現してください。一度実現した工夫は仕入れ価格削減に長期間貢献します。
仕入れにおいても、自店のコンセプトが魅力的であることは共感を呼んで協力者を作ることに貢献してくれます。
コンセプトは多くの場合、わかりにくく伝わりにくいので、ぜひショルダーネーム(ショルダーネームについては別の場所で記事を執筆しております)に気持ちを込めてください。
私も、商品開発をしていたときは、コンセプトをまとめて、ショルダーネーム付きの想定商品名を仕入れ先と共有していました。
そうすることで、自分の知らなかったようなコンセプトにマッチする材料の提供を非常に多く受けることができました。
優れたショルダーネームは仕入れ先もファンに変えて、単純な価格だけでなく、品質・希少性の高い原材料をお手ごろな価格で仕入れることにも役立ちます。是非、挑戦してください。売れる店舗コムでは、一人ではなかなか難しい客観的なショルダーネームづくりのお手伝いもしております。ワークショップも定期的に開催しておりますので、ぜひお問い合わせください。

投稿者: 小橋博士

FQMサポート代表 品質向上コンサルタント/農学博士 品質向上とコスト削減を同時に実現する新手法「グレーゾーン管理」の開発者 食品会社の経営経験有

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