大腸菌が検出された際のチェックポイント

みなさん、こんにちは!小橋博士です!

今日は大腸菌対策のお話です。

大腸菌対策なんて、手洗い徹底と加熱で対策出来るはず!だから大腸菌が出るのは作業員が点順を踏んでいないからだ!と思っているそこのあなた!半分正解で半分不正解です。

大腸菌が検出される直接的な原因の多くは手洗い・加熱が不十分だからで間違いはないのですが、それを指摘して状況は改善したでしょうか?相変わらず検出頻度は変わらないのではないでしょうか?

大腸菌が検出された場合にチェックすべきポイント

以前から指摘している通り、ルールを守らない人が悪い、というのはあまりいい発想ではありません。毎回大腸菌が検出されるようなレベルであれば、明らかに従業員のモラルの問題なのですが、たまにしか検出されない場合はモラルよりも、どのような時にルールが守られない(もしくは守りにくい)のかを発見しましょう。

そして、そのようなルールが守られない状況の発生をどうしたら抑制できるのか、考えてみてください。くれぐれも「犯人捜し」はやめましょう。理由は「簡単なはずのことでトラブルが絶えない」をご参照頂ければ幸いです。

チェックすべきはルールそのものや、工程上での約束事、仕事の仕方など、システム側であるべきです。

モラルではなくシステムで改善を!

このように、モラルではなくシステム側をチェックすると何かいいことがあるでしょうか?モラル側に原因を求めた場合のデメリットを回避できるだけでしょうか?いいえ、ちゃんとメリットもあります。

ルールが守れない状況は大抵作業員に過剰な負荷がかかっている=大変すぎるというということを意味しています。これをシステム側で改善するということは、すなわち、ボトルネックの解消=効率アップを意味しています。もちろん、その分解決方法を考え出すことは非常に大変ですが、達成したときには「稼げる品質管理」にまた一歩近づいたことになります。

食品工場での品質管理は、多くの工場で警察みたいなポジションになりがちです。しかし、いくら取り締まりをしたところで効果は薄く、生産性の向上にはほとんど寄与しません。大変であっても是非、ボトルネックを解消するクリエイティブな品質管理を目指してみてください!

どうしても解決方法が見つからない場合は、いつでもお力になりますので、お問い合わせいただければと思います。

以上、小橋博士でした!

品質管理部の売上貢献

みなさん、あけましておめでとうございます!小橋博士です。

品質管理部はいつも同じことをしていていいよね、とはもう言わせたくない!売上貢献をしていくにはどうしたらいいの?今回はそんな疑問への一つの答えを記事にまとめたいと思います。

品質管理部の営業活動とは?

品質管理部は常に社内で検査ばかり、ってそんなことはないですよね。会社の体制にもよりますが、クレーム対応でお客様と直接接したり、工場見学(視察)にいらっしゃった取引先(候補)のご案内をしたり、お客様と触れ合うことがあるはずです。

その中で、品質管理部が営業活動に参加できるのは取引先の工場視察です。普段はあまり指摘されないのですが、工場視察において非常にプラスの評価をされることがあります。それは「改善活動が継続的に行われているかどうか」という点です。

きちんと改善を行って、それをビフォーアフターで視覚的(つまり写真)で明確にする活動は品質管理部が出来る最高の営業活動です。

成果を見える化しよう!

対外的な営業活動を意識して成果を見える化すると社内にもいい影響で出てきます。その影響とは、今まで気になっていたけど言いにくかったこと、がいろいろなところから報告・相談されるようになるのです。

中には改善が難しいことも含まれますが、多くは「気づくことが難しい」ことだったりします。つまり、指摘さえしてもらえればすぐ改善していけるということです。このような感じでどんどん改善が進んでいくことになります。

ということで、初動はなかなか難しい面もあるとは思いますが、どんなに小さなことでもいいので改善したことをすぐわかるように掲示物や資料を作ってみてください!そしてそれをお客様はじめみなさんにアピールしていきましょう!

必ず「稼げる品質管理」に変わっていけるはずですよ!

どうしても初めの改善点が見つけられない、解決法が分からないという方は、是非メールでお問い合わせください。FQMサポートでは昨年も100件近い無料相談を受けて、半数以上を解決してきています。同一案件で2回のやりとりまでは無料ですのでお気軽にお問い合わせください。

以上、小橋博士でした!

食品製造の品質管理のポイント

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

前回の記事は、改善案の実行には人のマネージメントが不可欠、という内容でした。今回の記事はそもそも改善案の立案に不可欠なポイントです!問題があることは認識していても、どのように改善への糸口をつかむのか、ここがわからないと始まらないですよね。
改善策立案と実行の二つが合わさることで、ようやく改善できます。品質管理は大変ですが、成功すれば喜びもひとしお!ということで、今回と前回の記事が皆さんの参考になれば幸いです。

食品製造業の特徴

食品製造業の特徴は、鍋釜一つあれば始められる、と言われるほどの敷居の低さにあります。食品製造業の創業者で製造ラインのエンジニアや食品関連の研究者出身の方は本当にごく少数です。これに起因して、工業化・大規模化の訓練を受けた人材が所属している割合も非常に少ないようです。

また、社会的な要請から、品質管理=衛生管理となりがちなことも特徴の一つです。随所で数値管理はしているのですが、そもそも統計的な品質管理と衛生管理は別物ですので、衛生管理が専門の方が統計的品質管理に挑戦しているという話はあまり聞きません。

以上から、食品製造業では、衛生管理担当者がいても、よほど大規模な工場でない限り、品質を管理し改善していく担当者がいることは非常にまれです。その結果として、ムリ・ムダ・ムラだけでなく、管理上の不備が放置されていることが多いようです。専門家がいないことが多いので、そもそも不備に気づけないという構造的な問題だと感じています。

品質管理のポイントは「測る」ことから!

管理上の不備とは、そもそもばらつきを計測するためのチェック作業がないことを指しています。例えば「パンの発酵がうまくいかない、いつもどおり湿度は70%で温度は30度なのに」という話があったとします。原因はなんでしょうか?

このような問題の原因を探るためには、確認していなかったことを確認して、うまくいくときといかないときの違いを見つけることです。そうです、とにかくばらついているかも?と思ったことを片っ端から測っていくことが品質管理への第一歩になります。

上の例だと
・酵母1gの中に生きているのはどのくらいいるのか?
・材料はしっかり混ざっているか?
・捏ねるときの温度変化はどうか?
・測定した湿度・温度はどこの温度なのか?ムラはないのか?(部屋の温度などは場所によって結構違います)
・原材料の成分は一緒なのか?(このケースだと小麦粉の成分、グルテンの含量などです)
などなど、いろいろ出てきます。それぞれについて、どのようにしたらばらつきを測定できるのかをみんなで考えましょう。思いつかないときは私はじめ専門家の意見を聞いてみるのも有効です。知らないことはいくら頭をひねっても出てこないので。

このようにして、地道に問題ごとに測定すべき事柄を蓄積していきましょう。原因となるばらつきが見つかれば、品質を安定させる「品質管理」への道が開けてくるはずです!ここまでやって、はじめて、稼げる品質管理になれます。道は険しいですがその分やりがいはあります。頑張っていきましょう!

以上、小橋博士でした。

品質管理で大切なのは統計より現場の信頼

こんにちは!小橋博士です。

品質管理の方とお話しすると、「いくら言ってもちゃんとやってくれない」という、悲しい事態をよく耳にします。品質管理担当者と工場の方の意思疎通はなぜ測れないのでしょうか?今回は人の心理とマネージメントという視点で考えて行きます。

「正しいこと」は通用しない

改善案を実行する場合、大抵の場合、誰かの業務が増えます。大げさに言うと、誰かの犠牲のもとに、全体の利益を追求することになる、ともいえます。そして多くの場合、犠牲になる誰かにとって、被害>個人に分配される利益、です。

さらに、お願いに回っている品質管理担当者にとって、改善案の実行(と成功)は個人的な利益が大きいとも思われます。そうです、お願いされる相手にとっては「なんで私があなたのために犠牲にならないといけないのですか?」と思われるのです。

このように、いくら品質管理担当者がひたすら会社のことを思って統計的に「正しいこと」を言っても、個人的な信頼関係なくして改善案はうまくいきにくいのです(若い会社で誰も気づいていないことであればスムーズに行きますよ!でもそれは例外といえるくらい、改善案はスムーズに行かないのです)。

小さな改善実現で信頼を!

個人的信頼関係といっても、品質管理担当者になる方々は大抵生まじめで、元気で快活な営業さんのように飲みニケーションで信頼関係を築くのは難しい方が多いですよね。ではどのように信頼関係を構築したらいいのでしょうか?

それは、改善に関わる方全員が、提案者に関わることによってメリットを受けられるようにすることです。この際、会社の利益があがればいずれ還元される、という大きい話ではだめです。仕事が楽になった、仕事が楽しくなった、という目の前のことでなければ共感は得られません。

このように理想を掲げるのは楽ちんで、実行するのは難しいですよね。ですが、結局は心構えの問題です。みんなに気持ちよく仕事をしてほしい、そのためにはどうしたらいいのか?機会を逃さず現場の方とコミュニケーションをとって誰がどのような価値観を持って仕事をしているのか、見極めていくことが大切です。

そして、細かい改善をいとわず、ISO会議なども利用して作業の負担軽減に努めていきましょう。細かいことは、軋轢が生まれにくく、改善の実行も容易なことが多いです。そのようなところからコツコツ作業者の方の利益を実現して信頼を得ていくことが、数字に表れるような大きな改善の実行へのステップになります。

千里の道も一歩から!特に若い品質管理担当者の方には、焦らず作業者個人に目を向けた小さな改善に地道に取り組んでいっていただきたいです。
大きな改善への道筋は、なかなか遠いのですが地道に頑張りましょう。

以上、小橋博士でした!

冬の感染症が流行の兆し

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

今年もインフルエンザやノロウイルスの流行が始まりそうです。
既に東北地方では上記感染症の流行期に入ったとの情報がありました。

みなさんの職場では再啓発教育はお済でしょうか?

うがい手洗いはもちろん、タオル等の共用は避け、なるべく感染症に感染しないよう注意しましょう。

以上、小橋博士でした。

ダブルチェックのポイント

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

今日はダブルチェックのポイントについて記事にします。
・単純な複数回チェックはしない
・現場の負荷を減らすチェック方法を考える
が要旨になります。

複数回チェックは避けよう!

この理由は単純です。単に効果がほとんどないからです。
現在の生産システムでは、どれだけ大手であっても製品不具合を100%防ぐことは現実的ではありません。そして不具合が発生するたびに、取引先からは改善策の提示を求められます。この際、品質管理部門が思考停止してダブルチェックします!というのは実効性が低いことはみなさん肌で感じていらっしゃると思います。

そもそも、チェック担当はある程度信頼のおける方を選んでいるはずです。現場での評価も同様でしょう。このようなケースで同じことを2回チェックするような単純なダブルチェックは機能するでしょうか?「~さんがチェックしたし、実際ほとんど不具合なんて無いから大丈夫」と気が緩みがち・・・すなわち、単純なダブルチェックの効果は限りなく低いです。

加えて、そのようなタイミングでの直接的なチェックの導入は、現場にペナルティとしてやらされている感がでやすいようです。このようなペナルティ感のあるチェックの場合、現場はあまりまじめに続けてくれません。特に人手が足りない昨今の工場事情では、新しく決めたチェックをする代わりに、過去に導入したチェックがおろそかになりがちです。

既存の管理データを活用しよう!

多くの場合、既存の管理データの解釈で不具合発生の予兆が発見できます。生産管理データの解釈によって、チェック漏れの防止や不具合発生の予兆を発見できないか、議論してみてください。私がコンサルティングに加わった事案では、10件中9件は既存の生産管理データ等の解釈によって実質的なダブルチェックが行えました。こうすることで、現場の負担が減り、必要なチェックに集中しやすくなります。結果的に不具合発生を未然に防ぐことにつながりました。

解釈の追加は生産管理部門の腕の見せ所であるとともに、専門的知識を要求される部分でもあります。なかなか思うように行かない場合は是非FQMサポートの無料相談をご利用ください。多くの場合、無料相談+ミラサポの専門家派遣の範囲内で、金銭的ご負担を頂くことなく解決できます。

以上、小橋博士でした!

品質向上実験のポイント

みなさん、こんにちは!小橋博士です。※この記事は2016年10月31日に執筆されたものです。

品質管理であれば、これまで何度か(も?)品質向上のための実験を試みていると思います。この記事ではなんとなくうまくいかなかった方のために、私が気を付けているポイントをまとめたいと思います!

・品質向上のメリットを明確にして、関係者に伝える
ここでいうメリットは関係者個人それぞれについてのメリットです。非常に非協力的に思える人は、あなたが唱えるメリットに共感していない可能性が高いです。関係者それぞれにとって、何がメリットになるかよく対話をして推察しましょう。会社のメリットが個人のメリットとはなりません。改善後に、その改善策を維持するためにも全員が改善に共感してメリットを感じることが非常に重要です。

・変更するのは1点のみ
しばしば目にするのは、改善を焦るばかりに変更点をこれでもか!と複数盛り込んでしまう試験です。これでは何が関係あって何が関係なかったのかわからないばかりか、変更後の負担も大きくなりがちです。よほどの自信と変更点ごとの独立した観察計画がない限り、変更するのは1点のみにとどめる方が変な癖がつかず以降の実験もやりやすくなります。

・事前調査を徹底する
科学的な推論はもちろんですが、できれば簡単な実証実験を行い成功のめどをつけましょう。特にあなたが新任の場合や既に何度か失敗している場合には、現場の協力を得るために必須です。

科学的な推論は慣れないとなかなか難しいと思います。ですが、ここを外してあてずっぽうで実験を強行すると、今後の実験が行えなくなる確率が非常に高くなります。FQMサポートでは無料のメール相談も受け付けておりますので、自信がもてない、着眼点がわからないなどの悩みがありましたらお気軽にご相談ください。

以上、小橋博士でした!

離職率を抑える品質管理

みなさん、こんにちは!小橋博士です。※この記事は2016年8月8日に執筆されたものです。

暑い日が続いていますね。こんな時でも、食品工場は空調が効いて・・・いるところばかりではないですよね。冷蔵庫は夏に入ると涼しい気もしますが、実際は冬場より疲労が蓄積しやすいです。ラインによってはスポットクーラーもほとんど効かないようなところも多いのではないでしょうか?

そんなとき、気になるのは職場を去る仲間・・・。
もちろん暑さだけが原因ではないですよね。
入れ替えがあれば、新人教育のジョブも増え、品質管理担当のみなさんはいつも平穏だったらいいのに、と思っていないでしょうか?

人事の方は特にそう思っているようです。というのも、製造業は全般的に離職率が高く、また補充が効きにくい状況が続いているからです。

今日は、そういう状況に品質管理として協力できないか?というお話です。
離職理由の上位に上がる「人間関係」。実は品質管理は、これを多少なりとも改善できるポジションなんです。
というのも、人間関係のうち、結構な割合が「仕事が覚えられず、怒鳴られたりいびられたりする」のが原因なんです。裏返しで考えれば、仕事が分かりやすく迅速に行動できれば問題が軽減できるということです。
教育はライン担当の仕事です、というのも分かります。とはいえ、規格を決定するのは品質管理の仕事。
仕事の手順だって規格ですよね。

新人が手間取っているような作業を探して、現場の責任者と一緒により分かりやすいマニュアルを作成してください。このマニュアルは、現場用ですので、壁面に貼りつけておける程度の簡単なものが望ましいです。
覚えなくても指さし確認しながら作業が進められるようになれば、全体の作業性も向上します。
新人を怒る時間は、ベテランの時間の浪費でもあるんです。だから全体が改善します。

気持ちよく作業できる環境を整備して、品質管理の実績をアピールする機会を増やしていきましょう!

以上、小橋博士でした。

時間を計ろう!

みなさん、こんにちは!
小橋博士です。

しばらく更新が開いてしまいましたが、きちんと活動は続けています。
今日のテーマは「時間を計ろう!」です。タイトルまんまですね。

品質管理の仕事をしていて感じるのは「時折、経時変化が起こることを忘れている」のでは?ということです。沸騰させたお湯も、ちょっと時間が経てば温度はどんどん下がっていきます。約15分で雑菌は2倍に増えます。5分程度で表面は乾いてしまいます。
品質管理の担当者は、現場での作業から遠ざかってしまいがちです。するとこのような経時変化が起こることを失念してしまいがちなのです。それを防ぐためにも、品質管理上定めた操作については、しっかり時間を測定すべきです。そのうえで、必要ならば他の管理項目も付け加えるべきです。例えば熱湯での殺菌までに、煮沸後時間を要するなら、お湯の温度を記録すべき、というようなことです。

特に食品工場では、経時変化を受けるものがほとんどです。現在の管理を見直すためのヒントとして、様々な作業・工程の時間を計測してみてください。

以上、小橋博士でした!

(続)食中毒への啓もう活動

みなさん、こんにちは!小橋博士です。※この記事は2016年5月17日に執筆されたものです。

少し前のブログでカンピロバクターによる食中毒について、啓もう活動を!という記事を書きました。
今全国で開催されている肉フェスで残念ながらカンピロバクターが原因の食中毒が多発しています。
問題の出展者は再三にわたる指導も無視して何度も食中毒を出し続けたという異常事態です。

カンピロバクターによる食中毒はギランバレー症候群という運動麻痺を伴う症状に発展しかねません。詳細は以下のリンクをご覧ください。
http://idsc.nih.go.jp/iasr/20/231/dj2313.html

生食の可否と鮮度は実は無関係であるにも関わらず、鮮度信仰のようなものが根強いのは確かです。
食の安全・安心のために、私たちが普段から地道な啓もう活動を行っていくことは非常に大切なことだと思います。
以上、小橋博士でした!