こんにちは!小橋博士です。
品質管理の方とお話しすると、「いくら言ってもちゃんとやってくれない」という、悲しい事態をよく耳にします。品質管理担当者と工場の方の意思疎通はなぜ測れないのでしょうか?今回は人の心理とマネージメントという視点で考えて行きます。
「正しいこと」は通用しない
改善案を実行する場合、大抵の場合、誰かの業務が増えます。大げさに言うと、誰かの犠牲のもとに、全体の利益を追求することになる、ともいえます。そして多くの場合、犠牲になる誰かにとって、被害>個人に分配される利益、です。
さらに、お願いに回っている品質管理担当者にとって、改善案の実行(と成功)は個人的な利益が大きいとも思われます。そうです、お願いされる相手にとっては「なんで私があなたのために犠牲にならないといけないのですか?」と思われるのです。
このように、いくら品質管理担当者がひたすら会社のことを思って統計的に「正しいこと」を言っても、個人的な信頼関係なくして改善案はうまくいきにくいのです(若い会社で誰も気づいていないことであればスムーズに行きますよ!でもそれは例外といえるくらい、改善案はスムーズに行かないのです)。
小さな改善実現で信頼を!
個人的信頼関係といっても、品質管理担当者になる方々は大抵生まじめで、元気で快活な営業さんのように飲みニケーションで信頼関係を築くのは難しい方が多いですよね。ではどのように信頼関係を構築したらいいのでしょうか?
それは、改善に関わる方全員が、提案者に関わることによってメリットを受けられるようにすることです。この際、会社の利益があがればいずれ還元される、という大きい話ではだめです。仕事が楽になった、仕事が楽しくなった、という目の前のことでなければ共感は得られません。
このように理想を掲げるのは楽ちんで、実行するのは難しいですよね。ですが、結局は心構えの問題です。みんなに気持ちよく仕事をしてほしい、そのためにはどうしたらいいのか?機会を逃さず現場の方とコミュニケーションをとって誰がどのような価値観を持って仕事をしているのか、見極めていくことが大切です。
そして、細かい改善をいとわず、ISO会議なども利用して作業の負担軽減に努めていきましょう。細かいことは、軋轢が生まれにくく、改善の実行も容易なことが多いです。そのようなところからコツコツ作業者の方の利益を実現して信頼を得ていくことが、数字に表れるような大きな改善の実行へのステップになります。
千里の道も一歩から!特に若い品質管理担当者の方には、焦らず作業者個人に目を向けた小さな改善に地道に取り組んでいっていただきたいです。
大きな改善への道筋は、なかなか遠いのですが地道に頑張りましょう。
以上、小橋博士でした!