原価を下げる方法~メニュー編~

原価を下げるには、メニューに関する以下のことも関係があります。
・メニュー開発
・調理法の工夫
・平均原価を下げるための販促

本当の原価を知る

特に上2項目については、原材料の本当の原価を知ったうえで行うべきです。本当の原価とは、食材の使用できない部分を除去したあとのグラム単位の原価です。たとえばピーマンであれば、ヘタや種を除くと平均的に全体の85%しか利用できません。つまりピーマン100gの仕入れ値にたいして利用できるピーマンは100g当たり1/0.85=1.176・・・と18%弱割高になります。もちろん、サイズによってもこの利用可能な部分の割合は変わりますので、感覚がしっかりつかめるまで、積極的に仕込み前後の重量は計るべきです。

レシピを作り同じ量を使う工夫をする

上では一般的な単位である100gで書きましたが、実際のメニュー開発・レシピ作成・調理時の原価表(日々更新は無理でもメニュー開発時には原価表は作りましょう)には10g単位で書きます。というのも、実際に使うのはこの単位に近いからです。塩など計量スプーンで計るものはそちらの単位に合わせて記入します。野菜等の下ごしらえ済みのものも、ポーションオーバーを避けるために、計量用の入れ物を用意するか、目分量だけでなく毎回同量つかめるように秤を使って練習してください。この努力が原価を下げるだけでなく、お客様の満足度を高水準で維持します。

そのうえで、メニュー開発時は男性向け500g、女性向け400gを目安に作成します。こちらはあくまでも平均的な1食当たりの食事量なので、コンセプトに合うターゲットをきちんと想定してお店としての1食当たりのグラム数は決めてしまいます。お店のコンセプト上、規格品を使うのはふさわしくない、という特例を除いて、魚であっても重量のブレは極力避けるべきです。せっかくつかんだ常連様は、サイズの変動が分かってしまうし、お店の評価はそのお客様にとってもっとも好ましくないサイズにおいて行われることを思い出してください。

原価を意識した販促を行う

最後に販促についてです。お店全体での原価があがってしまう理由の一つに高原価率の商品がよく売れてしまう、ということもあります。こちらは普段からメニュー当たりの原価を意識していないと把握が遅れて後の祭りになるので、前述した原価表は必ず作成してください。忙しくても日々売上に占める原価率は出すべきです。そのうえで、原価率が高いものが出過ぎているようであれば、原価率の低いもので調整できるように販促を行います。思わぬ変化は大抵急な相場変動や気候変動が原因です。それらを踏まえて、低原価率のものの「お客様視点」での良さを探してください。一般的に野菜は相場が下がるときほど栄養豊富になりやすい、という実験データもあります。そのような時は大抵、旬の時期ですので、こちらを販促に使ってみてください。他には、飲料のセットメニューを期間限定で出す作戦もあります。相場が上がったから量を減らす、というのだけは絶対NGです。そうしてしまうと1食当たりの重量が減ってしまって満足感を感じていただけなくなります。これらの工夫の範疇を超えている場合は、メニュー改定で対応するべきです。販促についてはお店のコンセプトに合わせて行うことがもっとも効果的です。

ショルダーネームにマッチした改善を!

初来店のお客様は多少なりともショルダーネームにひかれて来店されています。改革の結果、ショルダーネームに謳っているイメージとかけ離れてしまっては次回の来店が望めません。改善を行う際は、ショルダーネームにマッチしているか、確認をしつつ行うようにしてください。
改善に行き詰ったときはショルダーネームの見直しを行うことも効果的です。そのようなときは、新鮮な視点でお店全体を振り返ることでブレイクスルーが生まれます。このケースでは外部の協力が非常に有効です。是非、FQMサポートの無料相談サービスをご利用ください。

原価を下げる方法~ロス・廃棄削減編~

原価を下げるにはロス・廃棄を減らす方法もあります。

ロスの中には
☆オーバーポーション(調理・盛付時の過剰使用)
☆従業員による消費(まかないや持ち帰り)
・顧客へのサービス品の提供
などがあります。

廃棄の中には
☆使用期限が切れたことによる廃棄
・そもそも利用できない部分の廃棄(野菜の皮など、下ごしらえ時に除去・廃棄するもの)
などがあります。

どのようなコンセプトのお店であったとしても、☆をつけた項目に関してはきちんと管理するべきです。

オーバーポーションはサービスとはなりません

オーバーポーションをサービスと混同されているケースが見受けられますが、お客様の立場から見ると分かりにくく、通常量の時に「量が減った」という印象をもたれて顧客離れを誘発しかねません。量も含めてお店の提供するサービスの品質にはどうしてもぶれが生じます。お客様の評価は品質の振れ幅の一番下で決まる、また振れ幅が大きいほど評価が下がるということは大手カフェチェーン様との共同調査で明らかになりました。つまり、お客様にお知らせしないオーバーポーションは顧客離れにつながります。厳しく管理してください。見落としがちなのはタレ類など、ついレシピに「適量」と書いてしまうような原材料です。味のブレにもつながるので、「赤色スプーンですりきり一杯」など、量をきちんと書くことが大切です。

従業員への原材料配布はモラル維持に注意

従業員による消費についても、きちんと管理するべきです。余りそうなときに持って帰らせたりするようにしてしまうと、「きゅうりが欲しいから、余るように仕向けよう」、というようなことが発生します。最悪なのは発注担当が意図的に多めに発注してしまうことです。こうなると本当に新鮮なうちに使える割合が減ります。つまりメニューの質が下がります。従業員による消費については、金銭的な負担だけでなくサービス低下までまねきかねないことは頭に入れておいてください。きちんとルールを決めるだけでなく、思った通りに運用できているか、常に目を光らせてください。
発注量・使用量が適正か、常に現場の意見・状況を確認している姿勢を見せることで、原材料が会社の所有物という意識の徹底が実現できます。

使用期限を意識

使用期限が切れたことによる廃棄は、お客様へのサービスと直結するため、お店のコンセプトに収まる範囲のルール改善で減らすべきです。使用期限が過ぎてからの報告を求めるだけでなく、原材料ごとに、残り何日になったら報告する、というグレーゾーンの管理を徹底しましょう。使用量の少ない食材に関しては、数量や販売日を限定にして使い切りを図ったり、そもそもお店のコンセプト実現に必要か?という点を検証して、メニュー自体を見直すことで廃棄を減らせます。多くのお店では実践されていると思いますが、先入先出の徹底も重要です。下ごしらえ済みのものなども、面倒がらずにきちんと処理日・使用期限を書くようにしましょう。

これらの改善には従業員の協力が不可欠です。また過剰な削減は顧客離れを引き起こしかねません。ひとつひとつについて、お店のコンセプトと合っているか、確認しながら決定することが必要です。そうすることで、従業員への説明にもコンセプトの意識が反映され、従業員から提案が上がる店舗に変わります。そして、最終的には売れ続ける店舗につながります。
コンセプトがわかりにくい場合は、ショルダーネームに集約して説明しましょう。鮮魚・活魚と入っているのに、鮮度管理がいい加減では看板に偽りあり、と誰もがすぐにわかります。お客様にどのように楽しんでいただきたいのか、従業員も共感できるショルダーネームを作ることで、原材料の扱い方から変わってきます。

原価を下げる方法~仕入れ価格編~

飲食店の方に、原価を下げる方法を聞かれることが多いのでまとめてみました。
工場でも通じる部分があると思います。原価を下げるためとはいえ、気づかい・心配りも必要な点がポイントになります。

原価を下げる方法のひとつとして、仕入れ価格を下げる方法があります。

具体的には
・複数の業者から相見積もりを取る
・取引業者と価格交渉をする
・生産者(農家が漁業者など)から直接仕入れる
・実質的な品質に無関係の傷・規格外品などのB級品を利用する
等の方法があります。

相見積で下げる

一番簡単なのは相見積もりでとにかく安い業者から仕入れることです。多くの指南書でも言われていることですので何も考えずに実行する方も多いようです。しかし、高い頻度で相見積もりばかりとっていると、最終的に質の悪い業者とばかり付き合うことになりかねません。加えて、相見積もりもタダではありません。相手からは無料で提供されるでしょうが、手配・比較のために、少なからず人件費等のコストが発生することは意識しておくべきです。

価格交渉で下げる

次に取引業者との価格交渉ですが、単に下げてくれ、とお願いするよりも効果的な方法があります。それは、お互いにとって取引コストが下がる方法を探して、浮いたコストを折半=値下げのモトにすることです。みなさん意識はしていないとおもいますが、よく知られているのは仕入れ量を増やした際の値引き交渉です。取引量が増えると相手の固定費率は下がりますので、その分を値下げのモトにしてもらっているわけです。他に着目すべき点は納品タイミングです。飲食店であれば大体開店の時間は一律になります。ということは、品物を納品してほしいタイミングも一緒になりがちです。ここに交渉の余地があります。簡単に言うと、忙しい時間帯を外しても対応するからその分値下げしてね、ということです。他にも、お互いにメリットがある提案はいくらでも出てきます。それを値下げという形で実現するためにも、普段から取引業者の方々とは親密になっておくことが大切です。重大なミスは指摘して注意すべきですが、普段から細かいことでぷりぷり怒っていては二人で新しいことに挑戦する気分にはなれないです。是非、取引先はお客様、との発想で気配りを忘れないようにしてください。
価格交渉では多くの場合、物流費をいかにカットするかがポイントになりがちな点も要注目です。

直接買い付けで下げる

3番目は生産者からの直接買い付けです。こちらも最近注目されている手法ですが、とにかく手間と時間がかかります。また生産者に起こるアクシデントに弱いという、デメリットがあります。信頼できる生産者を複数見つけて、お互いにメリットがあるように上手に付き合うことが大切です。

規格外品で下げる

最後に、B級品の使用です。こちらは簡単なようで簡単ではありません。というのも、買いやすいB級品は既に大手に抑えられているからです。飲食店以外にも食品工場・スーパーなどが注目しているランクなので、こちらも取引先との親密さが大切になります。

ショルダーネームで仕入れ先もファンにする!

飲食店をはじめたからには、何年も続けていく覚悟ではじめていらっしゃるはずです。仕入れ先と一緒に成長していくつもりで、工夫のある仕入れ価格の値下げを実現してください。一度実現した工夫は仕入れ価格削減に長期間貢献します。
仕入れにおいても、自店のコンセプトが魅力的であることは共感を呼んで協力者を作ることに貢献してくれます。
コンセプトは多くの場合、わかりにくく伝わりにくいので、ぜひショルダーネーム(ショルダーネームについては別の場所で記事を執筆しております)に気持ちを込めてください。
私も、商品開発をしていたときは、コンセプトをまとめて、ショルダーネーム付きの想定商品名を仕入れ先と共有していました。
そうすることで、自分の知らなかったようなコンセプトにマッチする材料の提供を非常に多く受けることができました。
優れたショルダーネームは仕入れ先もファンに変えて、単純な価格だけでなく、品質・希少性の高い原材料をお手ごろな価格で仕入れることにも役立ちます。是非、挑戦してください。売れる店舗コムでは、一人ではなかなか難しい客観的なショルダーネームづくりのお手伝いもしております。ワークショップも定期的に開催しておりますので、ぜひお問い合わせください。

ジョッキにそそぐビールの量の測り方

ビールを注ぐときは黄色の液体部分と白色の泡の部分があって、体積では計量が難しいですよね?
でもポーション管理はしっかりしないといけません。
ではどうやったら正確に測ることができるでしょうか?
(この記事は主に飲食店向けに書かれていますが、工場で液体を配合する際の参考にもなります。)

体積の測りにくいものは重量で計るべし

飲食店で取り扱うメニューのうち、ビールや固形物の多いシチューなどは体積を正確に測ることは難しいです。
泡や具材が飛び出てしまったりなど、原因はすぐにお分かりいただけると思います。
そのような事情がないものでも、お皿が傾けば目安のラインはあてにならないですし、お皿も料理もどちらも色が濃くて計量用の線が透けて見えないようだとポーションオーバーしているかどうかも分かりません。
そのようなものでも正確に測れるのは重さです。

ポーション管理の訓練では、是非確認に重量を使ってください。
きちんとトレーニングをしておくことで、「少なくないか?」というクレームを抑制できます。
また、お店のオペレーションの透明性も向上します。1杯当たりの誤差が少ないほど、閉店後のチェックでミスがあったかどうか、分かりやすくなります。誤差が1割だと10杯か11杯か、なんとも言い難いですが、誤差が5%なら、実際にそそがれた杯数は容易に想像がつきます。

ちなみに、どろっとした液体も正確に測ることは難しいです。タレなどが該当しますが、味の濃さを決定するものが正確に測れないというのも困りものですよね。人によって癖があり、カンロレードルなどではスタッフ間の差が生じるケースも多くあります。終業時に重量を計量して、平均で何g使用していたのか、他のスタッフ平均と比較してどうなのか?を知ってもらうことで、ポーションが正確になっていきます。

オペレーション中にすべての重量を計ることはあまり現実的ではありませんが、計量カップで正確に同じ分量を取るためには重量でのチェックは欠かせません。

ビールの注ぎ方から始まりましたが、ポーション管理の徹底のためにも容量(体積)と重量を結び付けて正確に測れるように訓練を行ってください。

言った言わないを避ける2つのポイント

たった2つのことに気を付けることで、「言った、言わない」という問題に遭遇する確率は激減します。一つは議事録等の記録をつけることですが、もうひとつはまさかのポイントです。最近話題の某ゴルフ場の規約の問題でも、言った言わないが取りざたされています。相手の肩書や地位がなんであれ、油断一つで深刻なトラブルになりかねない問題が発生してしまいます。そのような事態にならないように注意したい方は是非ご一読ください。

記録を付けよう

この問題を避けるにあたって、記録を付けることは非常に重要です。どのような案件(立ち話中のお願い)であっても、必ず確認事項とやるべきことを文章にして確認してください。

口頭でのやりとりは非常にいい加減なものです。微妙なニュアンスの違いは聞き洩らしやちょっとした油断でスルーしてしまいます。この問題点を排除するために、文章にすることは非常に重要です。

また、作成した文章は必ず関係者(指示者)にメール等で内容が正しいか、漏れがないか確認してもらってください。このように記録を付けた後に共有することで、初めて記録としての価値・意義が発生します。自分だけのためのメモには記録としての価値はまったくありません。それこそ言った言わない、君の勘違いで~~~~と問題が拡大する火種にしかなりませんので共有しなかった記録を証拠のように扱うことはくれぐれも回避してください。

期限をつけよう

言った言わないのトラブルが発生したときに、「証拠があるから、これを送りつけよう!」なんてやってしまうと変に話がこじれることが多いです。これを回避する秘訣は「確認を定期的にすること」なのですが、相手が上司や取引先の場合、定期的に確認することは難しいことが多いです。

そこで無理なく定期的な確認を実現するのが、やるべきことに期限をつけることです。記録の共有の際にこの期限を入れ込んでおくことで、相手が上司・取引先であっても

~~の件につきまして、進捗はいかがでしょうか?先日の御打合せの時に完了は〇月×日とさせて頂きましたが、期限が迫っております(過ぎました)。

~~の件につきまして、実施報告をさせて頂きます。

などのように、問合せや報告をすることができますよね。期限がないとこれが非常にやりにくくなります。このようなメールの効果は以前の決定事項を思い出させることにあります。記録として保存している文章の該当部分を切り貼りがもっとも効果的です。

それでもトラブったら?

経験上、ここまでしてトラブルになることは非常にまれです。それでも世の中にはいろいろな方がいるので、メールを読んでいなかった等の理由で逆切れ!?と思うような言いがかりに遭うこともあります。

まさにクレーマー・・・・、つまり、基本的な回避方法は「まずは謝ること」です。ですが、謝るポイントは確認が不十分でした、ということです

相手が勘違いした状態でいる、というのはまさに確認不足ですから、非を認めたとしてもある意味当然なのでOKです。ここを「お客様のご指摘の通りでございます」などのように受け流そうとすると、更なるトラブルを呼び込むことになります。というのも「ぼや~っと曖昧なことは、厳しく詰めればこちらの思い通りになる」という印象を相手に与えてしまうからです。

また、このような時に「何月何日のメールに添付した記録によると~」とやってしまってもよろしくありません。正論は時に相手を逆上させてしまいます。上にも書いたとおり、クレームを受けているわけですから、基本に忠実に謝罪することがベターです。

以上、言った言わないの回避のポイントは
・記録を取る
・期限をつけて、確認をとる
ということでした。みなさんが未然にトラブルを回避できることを願っております!

品質管理もセカンドオピニオンをもらおう!

利害関係にある場合、人は自分に都合のいい意見しか言わないですよね。品質管理はあまり利害関係で語られることは少ないですが、実は関係者のエゴがむき出しになっているケースが非常に多いです。このようなケースでは第三者から意見「セカンドオピニオン」がより正しい状況判断に役立ちます。正しく状況をつかまないと思わぬ無駄な出費に繋がっていることも・・・。具体的にどのような利害があるのか見ていきましょう。

取引先品質管理・保健所の視点
彼らが重視するのは事故が起こらないことです。また、ほとんど関心がないのは検査等にかかる費用です。結果的に、可能な限り検査をして欲しいという要望になりがちです。

もちろん会社にとって、事故が起こるのは当然困るのですが、検査の有効性を考えずに過剰・不要な検査を要求される事例も多くあります。

また、取引量についてはほぼ考慮して頂けないので、売上に見合わない検査になることもしばしばです。

社内品質管理担当者の視点
行動を伴わない評論家のような視点になっていることが多く見受けられます。また、普段の業務についても数はこなしても改善まで考えていることはほとんどありません。資材の購入先の検討程度はしますが、本質的なコスト削減に無関心であることもよくある事例です。

セカンドオピニオンで品質管理体制のバランスを取ろう!

経営者は衛生的な品質に明るくない場合が多く、これらの偏向的な意見をまとめることしかできません。バランスが取れればそれでもいいのですが、経営者にとってうれしくない偏りが存在しています。それは「経費」という視点です。

衛生管理には終わりはなく、いくら費用を投じようとも事故は0にはなりません。これは日本有数の大企業であっても毎年何件も回収事例や事故事例があることから明らかです。安全は重要ですが、いくらお金を費やしても事故が無くならない以上、どこかで目標を設定する必要があります。

また、自社の品質管理体制が効果的か、改善の余地はないか、などはなかなか自社内からは意見が出てきにくいのは皆さんの方がよくお分かりだと思います。

そこで、有用なのが、社外の取引関係にない専門家からのセカンドオピニオンの利用です。自社の検査体制は過不足無く適切か、改善点は見当たらないか、意見を聞いてみましょう。その際、経費削減について関心の高い専門家であれば、より経営者に好ましい視点での意見が得られるはずです。

FQMサポートでもセカンドオピニオンの提供は可能です。品質管理の改善点探しのヒントに、是非お試しください。

従業員はさぼってる?~その2~

指示したことが出来ていない・・・これはさぼりじゃないのか!?で始まった「従業員はさぼってる?~その1~」の続きです。

前回残ってしまった言い訳
・急な作業に時間を取られてしまった
・忘れていた
・無言、もしくは単に謝罪
・さぼり
を考察していきます。

急な作業に時間を取られた
このような言い訳の問題は、後回しするのに報告や相談が無い、ということです。しかし、この問題においても作業者に責任を求めるのは酷です。作業者側から見ると

・依頼をこなすために工程管理者等への根回しがされておらず時間が取れない
・重要性が理解できず、いつでもできそうな時でいいと感じる

品質管理上の依頼はどうしても付加的な業務という風に受け止められます。このような付加的な業務は、依頼する側がやってもらえる環境づくりに気を配ることが大切です。

作業者の評価につながるように、事前は当然のこと、事後には作業者の上司にも協力してもらった点についての報告・感謝は伝えるようにしましょう。できる環境、協力したことに対する会社としての評価が見える化されることで、このような言い訳に遭遇する事態は減っていきます。

忘れていた
忘れていた、というのも結構ありがちな事態です。このケースも上記の「急な仕事が入った」と同じように、やれる環境を作ることで半分は解決できます。

残りの半分は特別な作業のToDoリストを全作業員が確認できる形で整備することです。品質を向上させようという取り組みは、ほとんどの場合、イレギュラーな取り組みになるはずです。このような活動をきっちり進めるためには掲示板にきちんとスペースを確保してToDoリストを作成しましょう。

無言、謝罪
この場合、本当の原因は分かりません。しかし、品質管理上、意見や気持ちを伝えてくれないという事態そのものが非常に大きな問題です。

その1の「説明不足」に共通した問題点が根っこにありますが、そもそも個人を責めるべきものではなく、会社を改善することで作業者も利益を享受していくという価値観の共有が重要です。

このような場合は、是非改善活動に対する共感を得られるように話し合いをしてください。そして、共感できていない方がいるということは、工場の多くの方がまだまだ改善活動に共感していないということでもあります。

どのようにしたら共感を得られるのか、そのような視点での話し合いが大切です。間違っても説得してはダメですよ!人生はいろいろです。おそらく驚きの価値観に遭遇することも多いでしょう。それを全て包み込んでいけるような、改善の理念を熟成して、より多くの作業者の共感を得て行けるように努めてください。

さぼり
上記の「無言、謝罪」と紙一重な事案です。共感を得ることを模索しつつも、どうしてもダメなら配置換え等の対応をお願いせざるを得ない場合もあります。

以上、大抵の場合は根回し・環境作り不足が、お願いしたことが行われない原因です。仕事だからやるのが当然、良くなるんだからやるのが当然、などと思い込む前に自らを省みましょう。

なんでもやりやすいようにしていこう!この精神が品質管理をより貢献できる部門にする基本です。

以上、小橋博士でした!

従業員はさぼってる?~その1~

指示したことが出来ていない・・・これはさぼりじゃないのか!?リーダーになった多くの方が感じたことがある疑問・疑念ですよね。そしてそのまま追求・叱責に・・・というのもよく見る流れです。ですが、果たしてそれでいいのでしょうか?

怒る前に確認を!

指示していたことが出来ていない原因はなんでしょうか?
・能力的に不可能だった
・説明不足でやり方が分からなかった
・急な作業に時間を取られてしまった
・忘れていた
・無言、もしくは単に謝罪
・さぼり
どれも言い訳としてありがちで、そして一部は他人に責任転嫁しているようにもとれますよね。そしてただでさえイライラしてるのに怒りの炎に油を注ぐような言い訳です。しかし、これらの言い訳は全てペナルティに値するのでしょうか?

能力的に不可能
この言い訳については、きちんと確認をする必要があります。どの作業が能力的にできないのでしょうか?動作速度や操作が複雑すぎるなど、できない部分をきちんと把握する必要があります。その結果として

・実はできたのにできないと思い込んでいた
・本当に出来なかった

の2つのパターンが発生します。前者については、分かりやすく図解を多用した作業マニュアルを整備すべきだったと考えてください。そのうえで、マニュアル作成に助力をお願いするのがベターです。「あなたにも分かりやすく作るから、できたら分かるかどうか見てほしい」、こう伝えてモチベーションが下がった人は見たことがありません。

本当に出来なかった場合は、その工程の人員配置について再考の余地があります。

いずれにしても、この理由のケースでは相手を責めるよりも環境整備をすべきだったと考える方が後々の生産性は向上します。

説明不足
これの真の原因はなんでしょうか?
・ハイ分かりました、としか言えない雰囲気
・できそうならハイと言ってしまう性格
いずれにしても、出来ているはずのものが出来ていないと会社は困ります。会社の求めるものが、ハイというその場の気持ちよさではなく、正確な情報である、という価値観の共有を図ることが求められます。

見切り発車はせず、確認すべきことはきちんと確認する雰囲気を地道に作っていきましょう。

長くなるので本日はここまでです。
その2に続く

品質管理に役立つネットの情報

品質管理を行う(始める)上で役に立つ情報はインターネットから得られるでしょうか?答えは半分yesで半分noです。どうしてなのか、まとめていきます。

正確な部分を探そう!

インターネットで検索する場合、多くの方は「~~~すればOK!」という答えを探しています。記事を書く人は、それに応えて「~~~すればOK!」と記事をまとめてしまいます。ここが役立つ情報が得られるか?にnoと言わざるを得ない状況を生んでいます。

品質管理に役立つようなノウハウで、そのような記事が正確だったケースは政府系の記事を除いてほとんどありません。ケースバイケースなのに、分かりやすさだけを追求してしまって汎用性が著しく低い場合がほとんどです。さらに悪いのは二次的と思われる記事で、元の解釈が間違っているのでそもそも正しくないケースもあります。

上記のように不正確な記事・結論がまかり通っている状況でも、役立つ部分はあります。それは、問題解決のために使えるかもしれない方法論・考え方が見つかることです。

使えるのは方法論のピックアップ

ノーヒントで問題を解決するのと、ヒント有で解決に挑むのは天と地ほどの差があります。インターネットで解決したい事柄を検索したら、これさえやれば~~をうのみにしないで、その方法論を再検索してみましょう!

このように使えるかもしれない方法論をピックアップするのに、インターネットは非常に便利で強力なツールです。ピックアップした方法論の概略はネットで調べてもいいですが、最終的には学生が使うレベルの教科書を参考にしつつネットでかみ砕かれた情報が正しいか、検証する必要があることはお忘れなく。

新聞記者のように裏をとろう!

以上をまとめると、インターネットの情報はそのままでは使えないことがほとんどです。使う前にきちんと裏をとることが非常に重要です。もしうのみにして実行に移してしまうと、きちんと裏付けを取らない新聞記者の様に、いつかぼろが出て総すかん・・・なんてこともありえます。最悪大損害を出すことも!

このように注意と裏付けを取る手間は必要ですが、インターネットは非常に強力な検索ツールです。全否定するのでもなく、完全に肯定するのでもなく、上手に付き合えるようになりたいですね。

(2017.5.4 追記)

答えは異業種にあり!

業界内もしくは似たような業種では、発想が似てしまう上に「常識」に縛られてブレイクスルーが得られにくいです。解決の難しい問題こそ、異業種の発想や工程が参考になります。

異業種を参考にするためには、自分たちの工程の背景を詳細に把握することも必要です。この点、研究職などの学術系の人材は最適任です。理屈ばかりで付き合いにくいと感じることも多いかと思いますが、金銭的負担無しで情報提供を得られることも多いのも学術系の特徴です。お困りの際は是非ご検討ください。

FQMサポートは様々な研究者と密接なつながりがあります。もし自社でコンタクトをとることが難しいようでしたら、ご紹介させて頂くことも可能です。お気軽にご相談ください。
(追記、ここまで)

以上、小橋博士の考えるインターネット情報の品質管理への役立て方でした!

仕入れの時に確認しておきたいこと

いざ原材料を使う瞬間に、品物があまりよくないことに気づいて戸惑ったことはありませんか?原因は納品時のチェックが出来ていないことがほとんどです。しかし、忙しい時には取引先が納品に来ても、ついつい「いつものところに置いておいて~!」と言ってしまう方も多いと思います。

このように、きちんと納品時に検品しないとトラブルの元にもなります。飲食店の場合は生鮮品を仕入れることが多く、仮に傷んでいたとしても納品後の保管が悪かったのか、納品時に傷んでいたのか、もめやすいのは、皆さんなら経験されていることだと思います。以前お話しした通り、納品の業者さんであっても、一旦前掛けを外せば潜在的にはお客様です。やはりもめごとは回避したいものです。

モノへのこだわりは相手にも伝わります

そこで、きちんと納品時に検品をするわけですが、悪い点はきちんと伝えましょう。
また、後日記事にしますが、飲食店のロスを減らすためには理論原価の計算が必須です。
できれば品質の確認だけでなく、重量の確認も目の前でするようにしてください。
重量当たりのコストパフォーマンスを意識していることが伝われば、お店の望む品質の中で、もっとも重量単価の安いもの、つまり、本当の意味で安いものが手に入りやすくなります。普段から重量を計る習慣がついていれば、野菜のサイズと重量で、仕込み後に実際に使える重量もすぐに頭に浮かびます。業務用のスーパーなどを利用した場合も、お店に帰ったときにきちんと重量の確認をしましょう。

仕入れ後は何を何個で合計何kg仕入れたのか、仕入帳に記載しておくことで、後々の店舗の改善に役立てることができます。
忙しいとは思いますが、やるかやらないかで結局原材料費が5~10%変わってしまうことが多いのです。
是非挑戦してみてください。