低糖質の次は何?

商品開発をしていると、流行を先取りしたい!と感じることが多いですよね。今の食品業界ではスーパーフードや低糖質がキーワードになっていますが、スーパーフードはそろそろ弾切れ、低糖質は既にあふれてしまってさほど差別化が出来なくなってきています。

そこで今回は少し視点を変えて、新しい栄養学である時間栄養学を新メニューのコンセプトにするご提案です。
低糖質ほど強烈なパンチはありませんが、朝メニューや夜メニューで特徴のあるものを売り込む助けになると考えられます。

時間栄養学って何?

簡単に言ってしまうと、朝昼晩それぞれどんな献立がお勧めなのか、研究する学問です。時間栄養学を研究されている方には怒られそうですが、将来的に日本人の食事摂取基準に取り込まれる時にはそういう表現になるはずです。というのも、食事は朝昼晩がメインですので。
これまでも、朝ご飯はしっかり食べよう!みたいなことはありましたが、時間栄養学はもっと細かい話になります。
どれくらい新しくて、どれくらい信頼性があるのか、というと、2015年度に厚生労働省が栄養指導の基本書である「日本人の食事摂取基準(2015年版)」を発表しましたが、こちらに時間栄養学の考え方がようやく取り入れられ始めたところです(参考:時間栄養学研究会 ご挨拶)。策定検討会では論点に「時間栄養学」という単語も直接登場しているほどです(参照:第1回「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会論点整理)。
ということで、今後の食事指導に取り入れられていく考え方であるのはほぼ間違いないです。

具体的に何がお勧めなの?

時間栄養学はまだまだ発展中の学問ですので常に最新情報に耳をとがらせておく必要がありますが、2016年8月現在では以下のことがお勧めされています。

・朝食をきちんと食べること(朝食抜きは肥満の傾向を強めます。朝食を摂ることで学習・運動・やる気などのパフォーマンスがよくなる傾向があります。)

・夜に食べ過ぎない(摂取カロリーが夜に偏るほど、肥満の傾向が強くなります。)

・朝食でタンパク質を摂ること

今の時点では主に朝食メニューでいわゆる「重め」なものをお勧めする根拠になるのが時間栄養学、ということになりそうです。

また個別の栄養素でも研究が進んでおり、先日カゴメ株式会社から朝にトマトジュースを飲むとリコピン(抗酸化物質として脚光を集めたトマトのファイトケミカルですね!)の吸収がよい、というニュースリリースもありました(参照:株式会社カゴメニュースリリース

是非朝食メニューの開発と販促にお役立てください!

冷凍食品劣化の原因

冷凍食品が劣化する原因としてあげられるのは、冷凍庫内の平均温度だけだと考える方が大半だと思います。もちろん温度が上昇して半解凍状態にでもなれば、致命的ダメージは避けられません。

隠れた劣化原因は温度の変化

しかし、実は隠れた劣化原因があります。それは温度変化です。高くなるだけでなく、低くなっても劣化は生じます。品質保持期間中の冷凍焼けはこの温度変化による水分揮発の加速が原因だと考えられます。

冷凍機メーカーの説明と実際の使用感が異なる原因は、実はこの点にあります。

冷凍機メーカーの試験室はたいてい除湿が効いていて、さらに冷凍庫の開閉の頻度が圧倒的に少ないことがほとんどです。このおかげで温度変化の主因である「霜取り(デフロスト)」の頻度が異なります。

特に霜が付きやすい環境でデフロストを頻繁に行うようですと、冷凍機メーカーや冷凍食品メーカーのいうような品質保持期間は望めなくなります。

変化の兆候は霜の量でわかる

パッケージ内に霜がまったくない状況は現在のコールドチェーンでもあまり見かけません。そして、グレーズ処理という商品表面を氷でコーティングする手法で対策をしてあるので、解凍後の品質が正常であれば、その霜の量でも問題はありません。

ただ、庫内での劣化のスピードはまちまちです。劣化に伴って起こる現象は「パッケージ内の霜の増量」です。霜の増える速さが早くなってきたら、品質保持期間の再確認や機器の監視体制の確認が必要です。

飲食店や工場での有効な対策

監視とかはいいけど、実際どうしたらいいの?という疑問の答えは、冷凍食品といえども生鮮品と同じように早めに使い切る、これにつきます。冷凍庫のスペースも限りがありますし、品質劣化のリスクを取る理由もありません。

鮮度が維持できることが最大のメリットの冷凍食品ではありますが、可能な限り早めに使い切ることで、よりおいしく召し上がっていただけるのは間違いありません。また冷凍食品の様に長期間流通する食品の場合は、よりよい状態で出すことでクレームリスクの低減が図れます。

この記事は「新版 食品冷凍技術」を参考とし、研究職時代・冷凍ドーナツ開発時代の合わせて約20年の経験を元に作成しております。

菌が死なない、腐敗が早いのはなぜ?

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

きちんと4度で保管しているのに、足が速い。
65度で調理しているのに、生菌数が多い。

さて、問題(原因)はなんでしょうか?

機械類の表示を信じてはいけません!

日本で生活していると、機械類の表示は非常に信頼性が高く、無条件に信じてしまいがちです。
ところが、業務用の機械はそれほど信頼性が高くないことも多いです。
その一例が温度表示です。精度を±0.5度で謳っていても、実際に測定してみると庫内温度のばらつきは±5度、などという実例もありました。

特に若くて経験の浅い人ほど機械類の表示をうのみにする習慣がついていることが多いです。
実測して確かめる習慣をつけていきましょう!

温度表示は温度計の設置場所の温度

冷凍庫・冷蔵庫・(湿)温蔵庫、すべてに共通しているのは体積があることです。
一方で、温度計は点でしか測定できません。
メーカー側の温度の校正は温度計に対してのみ行われています。
つまり、表示温度は使用者の直感で感じる庫内温度を正確には表してはいないのです。

表示温度はどのくらいずれる可能性があるの?

私が扱ったことがある範囲では、保温庫(冷蔵庫のようなものをイメージしてください)で600L程度のものでも表示温度で3度、庫内温度のばらつきでさらに5度、合わせて8度も異なることもあります。こちらは温度変化がほぼなくなった状態での値ですので、断熱が悪いことも原因のひとつです。

フライ油やウォーターバスなど基本的に断熱が難しい機械にいたっては、場所による温度のずれが3度以内なら優秀に感じるくらいです。

実際の温度を知らないとどうなるのか?

明確に問題となりうるのは食中毒です。上記の通り、機器の不備・不具合のせいで表示と仕掛品等の実際の品温が8度ずれているとすると、65度に設定していたものが57度程度にしかならないことになります。57度といえば、食中毒の原因菌として有名なウエルシュ菌の限界生育温度に非常に近いです(参照:ファクトシート ウエルシュ菌食中毒 食品安全委員会 平成23年11月)。4度で保管していたつもりが実際の品温が10度を超えていた・・・というケースに至っては一般生菌による腐敗も起こりえます。

必ず実測しよう

冷蔵庫や温蔵庫は、食材の保管・鮮度保持期間を劇的に伸ばしてくれることや、ピークタイムの調理時間の短縮に貢献するなくてはならないものです。ですが、性能を過信すると思わぬ品質低下(というよりも事故)を起こすこともお分かりいただけたと思います。実際の調理現場では保存前の食材の温度や保存時間などもいろいろ変化していきます。計画した温度で保管ができているか、できれば実際のオペレーション中もしくはそれに近い状態での食材の温度変化を実測することが大切です。

その際にも、1点だけ測定して満足せず、庫内の複数の点で1週間通して計測して傾向を見るなど、変化の発生に敏感になることも大切です。

大腸菌が検出された際のチェックポイント

みなさん、こんにちは!小橋博士です!

今日は大腸菌対策のお話です。

大腸菌対策なんて、手洗い徹底と加熱で対策出来るはず!だから大腸菌が出るのは作業員が点順を踏んでいないからだ!と思っているそこのあなた!半分正解で半分不正解です。

大腸菌が検出される直接的な原因の多くは手洗い・加熱が不十分だからで間違いはないのですが、それを指摘して状況は改善したでしょうか?相変わらず検出頻度は変わらないのではないでしょうか?

大腸菌が検出された場合にチェックすべきポイント

以前から指摘している通り、ルールを守らない人が悪い、というのはあまりいい発想ではありません。毎回大腸菌が検出されるようなレベルであれば、明らかに従業員のモラルの問題なのですが、たまにしか検出されない場合はモラルよりも、どのような時にルールが守られない(もしくは守りにくい)のかを発見しましょう。

そして、そのようなルールが守られない状況の発生をどうしたら抑制できるのか、考えてみてください。くれぐれも「犯人捜し」はやめましょう。理由は「簡単なはずのことでトラブルが絶えない」をご参照頂ければ幸いです。

チェックすべきはルールそのものや、工程上での約束事、仕事の仕方など、システム側であるべきです。

モラルではなくシステムで改善を!

このように、モラルではなくシステム側をチェックすると何かいいことがあるでしょうか?モラル側に原因を求めた場合のデメリットを回避できるだけでしょうか?いいえ、ちゃんとメリットもあります。

ルールが守れない状況は大抵作業員に過剰な負荷がかかっている=大変すぎるというということを意味しています。これをシステム側で改善するということは、すなわち、ボトルネックの解消=効率アップを意味しています。もちろん、その分解決方法を考え出すことは非常に大変ですが、達成したときには「稼げる品質管理」にまた一歩近づいたことになります。

食品工場での品質管理は、多くの工場で警察みたいなポジションになりがちです。しかし、いくら取り締まりをしたところで効果は薄く、生産性の向上にはほとんど寄与しません。大変であっても是非、ボトルネックを解消するクリエイティブな品質管理を目指してみてください!

どうしても解決方法が見つからない場合は、いつでもお力になりますので、お問い合わせいただければと思います。

以上、小橋博士でした!

品質管理部の売上貢献

みなさん、あけましておめでとうございます!小橋博士です。

品質管理部はいつも同じことをしていていいよね、とはもう言わせたくない!売上貢献をしていくにはどうしたらいいの?今回はそんな疑問への一つの答えを記事にまとめたいと思います。

品質管理部の営業活動とは?

品質管理部は常に社内で検査ばかり、ってそんなことはないですよね。会社の体制にもよりますが、クレーム対応でお客様と直接接したり、工場見学(視察)にいらっしゃった取引先(候補)のご案内をしたり、お客様と触れ合うことがあるはずです。

その中で、品質管理部が営業活動に参加できるのは取引先の工場視察です。普段はあまり指摘されないのですが、工場視察において非常にプラスの評価をされることがあります。それは「改善活動が継続的に行われているかどうか」という点です。

きちんと改善を行って、それをビフォーアフターで視覚的(つまり写真)で明確にする活動は品質管理部が出来る最高の営業活動です。

成果を見える化しよう!

対外的な営業活動を意識して成果を見える化すると社内にもいい影響で出てきます。その影響とは、今まで気になっていたけど言いにくかったこと、がいろいろなところから報告・相談されるようになるのです。

中には改善が難しいことも含まれますが、多くは「気づくことが難しい」ことだったりします。つまり、指摘さえしてもらえればすぐ改善していけるということです。このような感じでどんどん改善が進んでいくことになります。

ということで、初動はなかなか難しい面もあるとは思いますが、どんなに小さなことでもいいので改善したことをすぐわかるように掲示物や資料を作ってみてください!そしてそれをお客様はじめみなさんにアピールしていきましょう!

必ず「稼げる品質管理」に変わっていけるはずですよ!

どうしても初めの改善点が見つけられない、解決法が分からないという方は、是非メールでお問い合わせください。FQMサポートでは昨年も100件近い無料相談を受けて、半数以上を解決してきています。同一案件で2回のやりとりまでは無料ですのでお気軽にお問い合わせください。

以上、小橋博士でした!