開発費用はおいくら?

メニューをはじめ、何かを開発するときの費用対効果の検証をしているところは大手を除きほとんどありません。効果の検証はアンケートなども活用しないと難しいことと、そもそも開発費用自体、把握できていない場合がほとんどです。適正な開発ペースと値付け、目標品質を考えるためにも、メニュー開発費用について考えてみましょう。

まずは人件費・材料費から!

普段の原価率計算以上に詳細に把握することは現実的ではないですよね。ということで、人件費と材料費をきちんと出しましょう!
同時に何品も開発する場合は、人件費が出しにくい場合があるとは思います。その場合は使った時間を品目数で割ってもかまわないので、いったいいくら使ったのか、おおよそでも数字を出すことが大切です。

設備投資はしたのか?

開発するメニューによっては、新しい調理器具を導入する必要もありますよね。この場合は人件費・材料費だけでなく、設備投資も必要になります。この様なメニューの場合は設備投資額もきちんと分かりやすく記録しておくことが大切です。

新メニューの費用対効果は?

メニュー開発の方向性があっているのか、開発費用と新メニューの粗利を比較してみましょう。この際に、新メニューでしか使用しておらず、ロスになった食材分の金額は粗利から引きます。飲食店においてはこの額はほとんど発生しないはずですが、気合を入れすぎると思わぬロスが発生することもありますので、きちんと調べてください。新メニューの性格上、常連さんに飽きさせない等の役割もあるため、粗利が開発費用ととんとんであるならまずまず目的は果たしたと評価できますね。
とはいえ、全体の売上のうち、新メニューが占める割合が大きすぎる場合は注意が必要です。メニュー全体のリニューアルも選択肢に入れつつ、戦略を考え直す必要があります。

新メニューの開発だけがメニュー開発なのか?

結構見かけるのが、メニュー開発=新メニューの創出という思い込みです。
提供スピード改善のための調理法開発、看板メニューのブラッシュアップなども全てメニュー開発です。
これらの既存メニューの改善開発の場合は、単に粗利と比較すればいいわけではありません。開発目的を達成できたのか?その費用はいくらだったのか?適切に比較してください。

斬新なメニューは飽きやすい

これまで数百品ほどメニュー開発をしてきましたが、その経験上、斬新なメニューは飽きられやすいです。
圧力釜や電子レンジなど、比較的近年開発された調理法もありますが、それでも全世界で数億人が料理を毎日毎日しています。料理を楽しむ余裕のある人・プロの料理人に絞っても相当な人数でしょう。定番は、そのような毎日何百万何千万と繰り返される料理の中で生き残ってきたものです。斬新と感じられるものの多くは、既に誰かが試して生き残れなかったものがほとんどを占めるのも、上記事実を考えれば納得いただけるのではないでしょうか?そもそも斬新とは、言葉を変えると奇抜ともいえるのです。
一方で、斬新なメニューは情報も少なく、開発コストはかさみがちです。
もちろん、お客様にとってのインパクトも大きくなるメリットはあります。
往々にして自信作と言われるものは斬新=奇抜なものになりがちです。そのような料理に対する評価は「おもしろい」「おいしい」などポジティブなものが多くなりがちなのも要注意です。試作品の評価をしてもらう時には、言葉だけでなくたべっぷりなど、いつも以上に細部にわたって観察することが大切です。
料理人にとっては、斬新なメニュー開発が楽しいのも事実ですし、ヒットを夢見られるという点でも、やりがいを感じられるのは間違いないです。とはいえ、経営者としてはこのような傾向を、きちんと把握しておくことは必須だと考えます。

投稿者: 小橋博士

FQMサポート代表 品質向上コンサルタント/農学博士 品質向上とコスト削減を同時に実現する新手法「グレーゾーン管理」の開発者 食品会社の経営経験有

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