人手不足と品質管理

人手不足に悩む企業は相変わらず多いようです。そんな問題に品質管理として貢献できる点はないでしょうか?そもそも本当の退職理由は何かから考えて行きます。(注意)この記事は頑張りたい品質管理担当者や、品質管理担当者に壁を破ってほしい経営者向けの記事です。一般的な枠組み内で解決したい方には向きません。

本当の退職理由は?

退職者が経営陣に申告する退職理由は、多くの場合表向きのモノです。嫌いな人に嫌いな理由を言いにくいのと同じですよね。では、本当の理由はなんでしょうか?あくまで私が調査した範囲ですが・・・

・待遇
・やりがい
・いじめ

が主な理由です。それぞれ考察していきます。

待遇

待遇についての問題は、不十分な賃金・不公平な賃金・長時間労働・労働環境に分類できます。長時間労働はまだしも、賃金面については品質管理の出番はないように見えますが・・・、実はあります。詳細は長くなるので省きますが、そもそも賃金面の問題の根っこには長時間労働や後述するやりがい、いじめの問題があります。

ということで、長時間労働対策として、少しでも効率があがるよう工程を改善することが品質管理としてできる待遇改善への貢献です。

また労働環境としては「着替えや荷物を置くためのバックヤードが不十分」というのも大きな理由に挙げられます。バックヤードについては異物混入の観点からもしっかり整備するべきです。品質管理と絡めたアンケートをとるなど、客観性と品質管理の視点の両方からデータをまとめて経営陣に交渉することで一定の成果が得られたケースもありますので、ご参考ください。

やりがい

やりがいを持っていただくためには、なによりお客様の称賛の声をしっかり伝えることです。そして、その声が少しでも増えるように品質向上の施策をうちつづけることです。

逆に、従業員目線ですら「よくないもの」を作っているようではやりがいは地に落ちます。

また、会社の方針に反しないのであれば、給料と直結した能力評価表を作成することもひとつの手段です。何をどこまでやったらいくら稼げるのか、明確にすることでやりがいがわきます。こちらは人事部単独ではなかなかやりにくいので、工程の難易度を公平に判断して評価の基準・ポイントの詳細を作成しましょう。いわゆる、人事評価表をきちんと作るべきです。

人事評価表と聞くと、いきなりハードルが高く感じるかもしれません。普段業務指導を行うポイントをメモしておいて、それをまとめて並べれば表になります。その下に○×や点数を付けてあげれば完成です。

このような評価基準を構築することで、新しい取り組みもスムーズに進行しやすくなります。

いじめ

いじめと品質管理もまったく関係がなさそうですが、ある程度は貢献できます。まず、いじめで多いのは新人いびりです。これの最大の問題は、仕事をしたくてもやり方をきちんと教えてもらえない、という点です。やり方も教えてもらえず、単に怒られてばかりなら、誰だって嫌になりますよね。

この点の対策はマニュアルの整備です。とはいっても、冊子で用意するだけではだめです。というのも、冊子は現場に持ち込めませんし、大抵詰まるのは覚えにくい作業だからです。記憶すべきものを見やすく掲示しておくことで大分改善します。

また、作業の教育を現場の作業員に極力させないことも方法の一つです。一定の品質を維持するためにも教育のシステムを構築することは多方面にいい影響を与えます。

まとめ
以上のように、品質管理を通じて人が辞めてしまう原因を減らすことができます。やめにくくなれば人手不足は自然と解消の方向に向かいます。是非、会社全体を盛り上げられる品質管理を目指してください。

投稿者: 小橋博士

FQMサポート代表 品質向上コンサルタント/農学博士 品質向上とコスト削減を同時に実現する新手法「グレーゾーン管理」の開発者 食品会社の経営経験有

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