問題解決につながる会議の5つのポイント

会議を開いてもなかなか問題解決に結びつかない、そんな品質管理担当者の相談をよく受けます。特に小規模の食品工場では関係者を集めることも難しいところが多いですよね。実は、実施自体が難しい会議でも成功させるためのポイントがあります。そこで今回は、問題解決につながる会議実現の5つのポイントを確認してみましょう!問題解決のためのポイントは先日記事にまとめてありますので、そちらもご参考ください(問題解決のための3つのステップ)。

議題をリストアップする

まずやるべきは、議題にしたいことのリストアップです。そして、議題ごとに目的、関係者を明確にします。ここでいう目的は大きく分けて4つ、「連絡・報告」、「意見調整」、「意思決定・承認」、「検討・議論」、に分類できます。

この中で、会議にしたほうがいいのは検討・議論です。というのも、誰かの発した何気ない一言が新たな問題を明確にしたり、解決のための新しい発想につながることがあるからです。

意見調整については、揉めそうかどうかで経営者などの上席者同席の下で行った方がいいこともあります。

その他の議題については、本当に会議で行う必要があるのか、個別に連絡報告、承認を行うのでは代用が効かないのかを検討しましょう。関係者の意見を聞く必要はあっても会議でする必要はない、と判断したものは次の項目の通り事前根回しをしましょう。

必要最小限の議題にすることで、会議軽視を防ぎ参加すべき人がきちんと参加する会議にすることができます。

リストから外した議題の根回しをする

上の項目で会議の議題から外した件は、会議の開催決定の前に関係者に周知したり承認を得ておきます。このメリットは

・問題解決への共感の獲得
・予想外の課題の発見
・会議時間の短縮による参加率向上
・会議の話題が逸れることの防止

を通じて、より精度の高い会議が実現できることです。特に会議をしても問題解決につながっていない会社では問題の放置癖がついていることが多いです。この放置癖が問題解決に本気になれない、会議軽視、に繋がっています。

問題解決への共感を得て、とにかく必要な人には会議に参加してもらえるようにしましょう。

議題の組合せを検討する

次にすることは議題の組合せを検討することです。目的は「自分以外のメンバーののべ参加時間の短縮」です。参加者が全ての議題に関係するように、また長時間にならないように議題は1~2個に絞りましょう。会議の回数が増えたとしても、場所を選ばず開催できること、会議に取られる時間が減ること、の2つのメリットで会議の質が向上します。

事前に議題、参加して欲しい理由、他の参加者を告知する

会議の前には必ず議題、その会議でその人に求めていること、他の参加者を連絡しましょう。きちんと目的を明確にしてあげることで、参加者の意識も変化します。

特に個人ごとに「なぜ参加してほしいのか?」を伝えておくことで、それまで単に批判するだけだった方も、建設的な意見を言ってくれるようになることが多いです。

やっぱり、求められると応えたくなるものですよね!

総括をきちんと文章にする

会議で決まったことは、いつまでに、誰が、何をするか、その確認をいつ、どうするか、をきちんと文章にしましょう。その文章については掲示や配布等、適切に共有することが大切です。

いかがですか?上記を実施しようとすると自分の負担が増えるのは間違いないです。しかし、自分は変えられても他人を変えるのは難しいですよね。なので、問題解決につながる会議にするためには、自分が頑張るしかない!のです。

そして、ここまで丁寧にやるとこれまで聞けなかったような建設的な意見がたくさん聞けるようになってきます。やはり会議に参加してほしいような経験豊かな方は、モノの見方が違います。是非その豊かな経験が活かせる体験をしてみてください!

問題解決のための3つのステップ

品質管理を担当していると避けて通れないのは問題解決です。問題解決に当たっては必ず3つのステップを意識してください。そうすることで、今まで解決できなかった問題も解決できるようになります。

1.目標を設定する

問題解決のステップなんだから、解決が目標でしょ?と考えたそこのあなた!正解なようで正解ではありません。なぜなら工場で発生する問題の多くは、完全に解決することが難しいからです。

まずは、そもそもなぜ解決したいのか?目的を明確にします。目的意識を持てば、どの程度の改善で満足できるのか目標も決まります。加えて、いつまでに解決すべきなのか期限も明確になります。

目的の明確化(なぜ解決したいのか)→対象と目標の設定(何がどのような状態になればいいか)→期限を決める(いつまでに実行するか)

ここのステップでのポイントは3つです。

1.関係者と「明文化して」共有する
きちんと明文化して確認することが大切です。ここで「目的なんて、会社の人間ならすぐわかるだろう」と横着すると、思わぬ誤解が残っていて問題解決が遅れる原因になります。また、貴重な意見が提案されるタイミングを逃すことも多いです。

2.初めの期限を短く設定する
問題解決が一回の実験(対策)で成功することは稀です。期限を決めるときは、最終的に解決しなければいけない期限の1/3程度の期限にしましょう。その期限に一旦成果(何がどの程度変化して、目標に対してどの程度改善したか?)を確認するステップが必要です。

3.責任者を決める
責任者がいないと、せっかく対策を実行したのに評価もされず、うやむやに・・・というのはよくある事例です。責任者を決めて、対策の進行を管理しましょう。

2.対策を実行する

何をどうしたいのか決まったら、どのような対策を実行したらいいのか検討しましょう。先日の記事「。今日から始める品質管理」を参考に、対策を探してみてください。

ポイントは、
・工程を増やさない
・やりやすくする
・誰でもできるようにする
など、とにかく現場の負担を減らす方向で考えることです。

あれをしたらましになるんじゃないか?そんな考えで検討を重ねていくと、結果的に労力ばかり増えて、潜在的な不具合のポイントが増えて逆効果になることもしばしばです。

対策とはシンプルにすること、そんな発想で知恵を絞ってください。

3.効果を継続的に検証する

対策が効果を発揮したとしても、それは一時的なものかもしれません。食品工場の環境・原材料の多くは季節的な影響を受けやすいです。きちんと責任者が1年を通じて効果が認められるか、定期的に検証してください。

いかがでしたか?たった3つのステップで、言われてみれば当たり前に感じると思います。ですが、きちんと意識して共有すること、期限を切って責任者が実行を管理すること、など、実は多くの会社で出来ていないことだったりします。

当たり前のことを当たり前にやる、簡単なようですがこれが難しいです。是非意識して問題解決につなげてください!

品質管理もセカンドオピニオンをもらおう!

利害関係にある場合、人は自分に都合のいい意見しか言わないですよね。品質管理はあまり利害関係で語られることは少ないですが、実は関係者のエゴがむき出しになっているケースが非常に多いです。このようなケースでは第三者から意見「セカンドオピニオン」がより正しい状況判断に役立ちます。正しく状況をつかまないと思わぬ無駄な出費に繋がっていることも・・・。具体的にどのような利害があるのか見ていきましょう。

取引先品質管理・保健所の視点
彼らが重視するのは事故が起こらないことです。また、ほとんど関心がないのは検査等にかかる費用です。結果的に、可能な限り検査をして欲しいという要望になりがちです。

もちろん会社にとって、事故が起こるのは当然困るのですが、検査の有効性を考えずに過剰・不要な検査を要求される事例も多くあります。

また、取引量についてはほぼ考慮して頂けないので、売上に見合わない検査になることもしばしばです。

社内品質管理担当者の視点
行動を伴わない評論家のような視点になっていることが多く見受けられます。また、普段の業務についても数はこなしても改善まで考えていることはほとんどありません。資材の購入先の検討程度はしますが、本質的なコスト削減に無関心であることもよくある事例です。

セカンドオピニオンで品質管理体制のバランスを取ろう!

経営者は衛生的な品質に明るくない場合が多く、これらの偏向的な意見をまとめることしかできません。バランスが取れればそれでもいいのですが、経営者にとってうれしくない偏りが存在しています。それは「経費」という視点です。

衛生管理には終わりはなく、いくら費用を投じようとも事故は0にはなりません。これは日本有数の大企業であっても毎年何件も回収事例や事故事例があることから明らかです。安全は重要ですが、いくらお金を費やしても事故が無くならない以上、どこかで目標を設定する必要があります。

また、自社の品質管理体制が効果的か、改善の余地はないか、などはなかなか自社内からは意見が出てきにくいのは皆さんの方がよくお分かりだと思います。

そこで、有用なのが、社外の取引関係にない専門家からのセカンドオピニオンの利用です。自社の検査体制は過不足無く適切か、改善点は見当たらないか、意見を聞いてみましょう。その際、経費削減について関心の高い専門家であれば、より経営者に好ましい視点での意見が得られるはずです。

FQMサポートでもセカンドオピニオンの提供は可能です。品質管理の改善点探しのヒントに、是非お試しください。

従業員はさぼってる?~その2~

指示したことが出来ていない・・・これはさぼりじゃないのか!?で始まった「従業員はさぼってる?~その1~」の続きです。

前回残ってしまった言い訳
・急な作業に時間を取られてしまった
・忘れていた
・無言、もしくは単に謝罪
・さぼり
を考察していきます。

急な作業に時間を取られた
このような言い訳の問題は、後回しするのに報告や相談が無い、ということです。しかし、この問題においても作業者に責任を求めるのは酷です。作業者側から見ると

・依頼をこなすために工程管理者等への根回しがされておらず時間が取れない
・重要性が理解できず、いつでもできそうな時でいいと感じる

品質管理上の依頼はどうしても付加的な業務という風に受け止められます。このような付加的な業務は、依頼する側がやってもらえる環境づくりに気を配ることが大切です。

作業者の評価につながるように、事前は当然のこと、事後には作業者の上司にも協力してもらった点についての報告・感謝は伝えるようにしましょう。できる環境、協力したことに対する会社としての評価が見える化されることで、このような言い訳に遭遇する事態は減っていきます。

忘れていた
忘れていた、というのも結構ありがちな事態です。このケースも上記の「急な仕事が入った」と同じように、やれる環境を作ることで半分は解決できます。

残りの半分は特別な作業のToDoリストを全作業員が確認できる形で整備することです。品質を向上させようという取り組みは、ほとんどの場合、イレギュラーな取り組みになるはずです。このような活動をきっちり進めるためには掲示板にきちんとスペースを確保してToDoリストを作成しましょう。

無言、謝罪
この場合、本当の原因は分かりません。しかし、品質管理上、意見や気持ちを伝えてくれないという事態そのものが非常に大きな問題です。

その1の「説明不足」に共通した問題点が根っこにありますが、そもそも個人を責めるべきものではなく、会社を改善することで作業者も利益を享受していくという価値観の共有が重要です。

このような場合は、是非改善活動に対する共感を得られるように話し合いをしてください。そして、共感できていない方がいるということは、工場の多くの方がまだまだ改善活動に共感していないということでもあります。

どのようにしたら共感を得られるのか、そのような視点での話し合いが大切です。間違っても説得してはダメですよ!人生はいろいろです。おそらく驚きの価値観に遭遇することも多いでしょう。それを全て包み込んでいけるような、改善の理念を熟成して、より多くの作業者の共感を得て行けるように努めてください。

さぼり
上記の「無言、謝罪」と紙一重な事案です。共感を得ることを模索しつつも、どうしてもダメなら配置換え等の対応をお願いせざるを得ない場合もあります。

以上、大抵の場合は根回し・環境作り不足が、お願いしたことが行われない原因です。仕事だからやるのが当然、良くなるんだからやるのが当然、などと思い込む前に自らを省みましょう。

なんでもやりやすいようにしていこう!この精神が品質管理をより貢献できる部門にする基本です。

以上、小橋博士でした!

従業員はさぼってる?~その1~

指示したことが出来ていない・・・これはさぼりじゃないのか!?リーダーになった多くの方が感じたことがある疑問・疑念ですよね。そしてそのまま追求・叱責に・・・というのもよく見る流れです。ですが、果たしてそれでいいのでしょうか?

怒る前に確認を!

指示していたことが出来ていない原因はなんでしょうか?
・能力的に不可能だった
・説明不足でやり方が分からなかった
・急な作業に時間を取られてしまった
・忘れていた
・無言、もしくは単に謝罪
・さぼり
どれも言い訳としてありがちで、そして一部は他人に責任転嫁しているようにもとれますよね。そしてただでさえイライラしてるのに怒りの炎に油を注ぐような言い訳です。しかし、これらの言い訳は全てペナルティに値するのでしょうか?

能力的に不可能
この言い訳については、きちんと確認をする必要があります。どの作業が能力的にできないのでしょうか?動作速度や操作が複雑すぎるなど、できない部分をきちんと把握する必要があります。その結果として

・実はできたのにできないと思い込んでいた
・本当に出来なかった

の2つのパターンが発生します。前者については、分かりやすく図解を多用した作業マニュアルを整備すべきだったと考えてください。そのうえで、マニュアル作成に助力をお願いするのがベターです。「あなたにも分かりやすく作るから、できたら分かるかどうか見てほしい」、こう伝えてモチベーションが下がった人は見たことがありません。

本当に出来なかった場合は、その工程の人員配置について再考の余地があります。

いずれにしても、この理由のケースでは相手を責めるよりも環境整備をすべきだったと考える方が後々の生産性は向上します。

説明不足
これの真の原因はなんでしょうか?
・ハイ分かりました、としか言えない雰囲気
・できそうならハイと言ってしまう性格
いずれにしても、出来ているはずのものが出来ていないと会社は困ります。会社の求めるものが、ハイというその場の気持ちよさではなく、正確な情報である、という価値観の共有を図ることが求められます。

見切り発車はせず、確認すべきことはきちんと確認する雰囲気を地道に作っていきましょう。

長くなるので本日はここまでです。
その2に続く

品質管理に役立つネットの情報

品質管理を行う(始める)上で役に立つ情報はインターネットから得られるでしょうか?答えは半分yesで半分noです。どうしてなのか、まとめていきます。

正確な部分を探そう!

インターネットで検索する場合、多くの方は「~~~すればOK!」という答えを探しています。記事を書く人は、それに応えて「~~~すればOK!」と記事をまとめてしまいます。ここが役立つ情報が得られるか?にnoと言わざるを得ない状況を生んでいます。

品質管理に役立つようなノウハウで、そのような記事が正確だったケースは政府系の記事を除いてほとんどありません。ケースバイケースなのに、分かりやすさだけを追求してしまって汎用性が著しく低い場合がほとんどです。さらに悪いのは二次的と思われる記事で、元の解釈が間違っているのでそもそも正しくないケースもあります。

上記のように不正確な記事・結論がまかり通っている状況でも、役立つ部分はあります。それは、問題解決のために使えるかもしれない方法論・考え方が見つかることです。

使えるのは方法論のピックアップ

ノーヒントで問題を解決するのと、ヒント有で解決に挑むのは天と地ほどの差があります。インターネットで解決したい事柄を検索したら、これさえやれば~~をうのみにしないで、その方法論を再検索してみましょう!

このように使えるかもしれない方法論をピックアップするのに、インターネットは非常に便利で強力なツールです。ピックアップした方法論の概略はネットで調べてもいいですが、最終的には学生が使うレベルの教科書を参考にしつつネットでかみ砕かれた情報が正しいか、検証する必要があることはお忘れなく。

新聞記者のように裏をとろう!

以上をまとめると、インターネットの情報はそのままでは使えないことがほとんどです。使う前にきちんと裏をとることが非常に重要です。もしうのみにして実行に移してしまうと、きちんと裏付けを取らない新聞記者の様に、いつかぼろが出て総すかん・・・なんてこともありえます。最悪大損害を出すことも!

このように注意と裏付けを取る手間は必要ですが、インターネットは非常に強力な検索ツールです。全否定するのでもなく、完全に肯定するのでもなく、上手に付き合えるようになりたいですね。

(2017.5.4 追記)

答えは異業種にあり!

業界内もしくは似たような業種では、発想が似てしまう上に「常識」に縛られてブレイクスルーが得られにくいです。解決の難しい問題こそ、異業種の発想や工程が参考になります。

異業種を参考にするためには、自分たちの工程の背景を詳細に把握することも必要です。この点、研究職などの学術系の人材は最適任です。理屈ばかりで付き合いにくいと感じることも多いかと思いますが、金銭的負担無しで情報提供を得られることも多いのも学術系の特徴です。お困りの際は是非ご検討ください。

FQMサポートは様々な研究者と密接なつながりがあります。もし自社でコンタクトをとることが難しいようでしたら、ご紹介させて頂くことも可能です。お気軽にご相談ください。
(追記、ここまで)

以上、小橋博士の考えるインターネット情報の品質管理への役立て方でした!

今日から始める品質管理

品質管理って何から始めたらいいの?理想の工場と現実があまりにも違うんだけど?
業務拡大に伴って、このような壁にぶつかる会社は非常に多いです。
かといって専門家を雇う余裕はない・・・では、どうしたらいいでしょうか?

改善点を見つける、記録する

知識がなくても品質管理の基本はできます。それは「改善点を見つける、記録する」という2つです。この2つの習慣を従業員が身に付けることが品質管理の第一歩となります。

まず改善点については
・やりにくい作業はないか?
・時間のかかる作業はないか?
・手間だ、と感じる作業はないか?
・コツが必要な作業はないか?
・普段掃除できていない場所はないか?
など、盛大な愚痴大会にならない程度に聞きだしてみましょう。そのような作業は改善の余地があります。上の質問で出てきた作業について、それぞれ
・やりやすくするにはどうしたらいいのか?
・時間短縮する方法はないか?
・手間を省くにはどうしたらいいのか?
・誰でもできるようにするにはどうしたらいいのか?
・掃除してみよう!
当事者以外も含めて考えてみましょう。赤の他人の方がいい意見を言えることもあるので、事務方も含めて考えてみるのもいいアイデアです。

改善案(掃除は実行案ですね!)が出てきたらとりあえず挑戦してみましょう!そして、ビフォーアフターの写真や実行の記録を付けていきます。

この繰り返しが工場に品質管理の基本的な考え方をすり込んでいきます。
是非めげずに繰り返してみてくださいね。

どうしても質問への回答が出ないようであれば、従業員の愚痴に耳を傾けるのも手です。大抵はそこに改善のヒントが隠されていますので。

解決案が出てこない場合は是非FQMサポートの無料相談をご利用ください。

仕入れの時に確認しておきたいこと

いざ原材料を使う瞬間に、品物があまりよくないことに気づいて戸惑ったことはありませんか?原因は納品時のチェックが出来ていないことがほとんどです。しかし、忙しい時には取引先が納品に来ても、ついつい「いつものところに置いておいて~!」と言ってしまう方も多いと思います。

このように、きちんと納品時に検品しないとトラブルの元にもなります。飲食店の場合は生鮮品を仕入れることが多く、仮に傷んでいたとしても納品後の保管が悪かったのか、納品時に傷んでいたのか、もめやすいのは、皆さんなら経験されていることだと思います。以前お話しした通り、納品の業者さんであっても、一旦前掛けを外せば潜在的にはお客様です。やはりもめごとは回避したいものです。

モノへのこだわりは相手にも伝わります

そこで、きちんと納品時に検品をするわけですが、悪い点はきちんと伝えましょう。
また、後日記事にしますが、飲食店のロスを減らすためには理論原価の計算が必須です。
できれば品質の確認だけでなく、重量の確認も目の前でするようにしてください。
重量当たりのコストパフォーマンスを意識していることが伝われば、お店の望む品質の中で、もっとも重量単価の安いもの、つまり、本当の意味で安いものが手に入りやすくなります。普段から重量を計る習慣がついていれば、野菜のサイズと重量で、仕込み後に実際に使える重量もすぐに頭に浮かびます。業務用のスーパーなどを利用した場合も、お店に帰ったときにきちんと重量の確認をしましょう。

仕入れ後は何を何個で合計何kg仕入れたのか、仕入帳に記載しておくことで、後々の店舗の改善に役立てることができます。
忙しいとは思いますが、やるかやらないかで結局原材料費が5~10%変わってしまうことが多いのです。
是非挑戦してみてください。

理論原価と実際原価

原価を計算しても机上の空論だ!と言われて困っている方へ。
今回は、理論原価と実際原価の比較です。飲食店の経理を念頭に書いた記事ですが、工場などでも同様の考え方・見方で原価を考える必要があります。

理論原価とは?

理論原価とは、お店の売上に対して本来かかるべき原材料費のことです。より詳細に把握したい場合は、一品当たりにかかる経費全てを含めてかまいません。とはいえ、原材料費以外で計算しやすいものは、お客様お一人当たりで提供する数が決まっている割りばしやお手拭き程度だと思います。野菜や肉など、価格変動のあるものは、平均kg単価を使用します。在庫について使用した繰り越し在庫については、その在庫を仕入れた金額を使って計算してください。月次で計算するケースを想定して、以下に例を示します。
単価=(先月在庫量xその仕入れ値+当月仕入れ額-当月末在庫量xその仕入れ値)÷(先月在庫+当月仕入れ量-当月在庫量)
これを原材料ごとに計算します。
次に、レシピと原材料単価から、メニューごとの平均原材料費を計算します。
最後に、当月のメニューごとの売上数に平均原材料費を掛け、全て足し合わせます。これが当月の理論原価になります。
平均単価を出す工程が少し複雑になりますが、仕入れの管理がしっかりできていて、エクセル等の表計算ソフトに情報入力が済んでいれば毎月シートをコピーして使用するだけで自動で計算が出来るようになります。

実際原価との比較

実際原価は当月に使った原材料費なので、計算は簡単です。在庫の処理はその在庫の仕入れ値を使って行ってください。
一般的に実際原価>理論原価となりやすいです。理由は様々なところでロスが出るからです。
・仕込みロス
・廃棄ロス
・ポーションオーバー
・食材持ち帰り
・まかない
などなどが原因です。原材料ごとに理論原価と実際原価の差が異なることもあります。その場合は日々使用量と在庫のチェックを行うことで、より詳細な原因の究明ができます。この理論原価と実際原価の差の原因の究明こそが、ロスの削減につながります。差の大きいところが削減しやすい部分ですので、集中的に管理してください。理論原価と実際原価の差を従業員に情報開示して、原因の推定と対策を同時に発表することで、目的意識を持った改善行動が促せます。ただし、食材持ち帰りについては例外です。従業員に窃盗の疑いをかけることになりますので、慎重に対応してください。一般的には食材がしっかり管理されている、ロスの原因を探られている、という会社の姿勢が伝わることで、持ち帰りは激減します。

ロス削減の目標は仕入れ額の5%以上

これまで、数字を使ったロス削減策を導入していなかった店舗では、削減目標は仕入れ額の5%以上です。
というのも、これが私たちの実績値だからです。みなさん努力されているにも関わらず、数字管理で徹底的にロス原因の究明を行うとこのくらいの削減は見込めます。仕入れから在庫の管理まで、労力はかかりますが、それに見合う以上の効果です。
是非挑戦してみてください。
エクセルの使用などで効率的な管理をしたいけど、なかなか難しい!という方向けに、店舗の事情に合わせたご支援も実施しております。
挑戦したい方は是非、お声かけください。

清掃用具も管理しよう!

清掃の管理は食品業界の基本ですね。よりうまく「清掃」を管理するにはどうしたらいいでしょうか?清潔さを維持するには、汚れたら掃除する、毎日できるだけ掃除するなどの曖昧で頑張りに頼ったやり方では必ず「ムラ」が発生します。

まとめると以下の3つがポイントです。

  • 用具の管理
  • マニュアルの作成
  • スケジュール管理

清掃用具も管理する

清掃用具を収納する場所は絶対決めます。そして、ほうき1本から洗剤に至るまで、置き場所を決めます。そして、掃除用具ひとつひとつと、その置き場所に、名前を書き込みましょう。誰が片づけても同じ場所に同じものが置かれる工夫が必要です。従業員の意見も聞いて、必要なものはしっかり揃えるようにします。

清掃は仕事の一部ですが、道具が見当たらない場合、最悪清掃されていないのに、したことにされるケースまであります。道具探しで時間を浪費して清掃不十分ということも起きがちです。清掃用具は掃除に必須ですので、道具もしっかり管理しましょう。

清掃マニュアルを作る

どの道具をどのように使って掃除するべきなのか、誰にも明確に分かるように、マニュアルを作りましょう。マニュアルを作るのは手間がかかりますが、様々な改革に積極的に取り組むことで、将来的には従業員も増えていくでしょう。その時に作っておいてよかったと思うのが、誰でも分かるマニュアルです。

気になったところを積極的に掃除できる環境は、従業員のやりがい・やる気を引き出すポイントのひとつです。いざ必要な時には作成が追い付かないのもマニュアルです。いつまでも、きれいな店舗・工場でゲストをおもてなししていくためには、不要と思える時期からコツコツと作っていくことが重要です。

また、作ったら作りっぱなし、というのはNGです。マニュアルの分かりやすさ、適切さについては常に意見を聞きながら改善をしてください。マニュアル置き場についても、事務所に「マニュアル集」として置いておくのはあまりよくありません。従業員であればすぐ見れる場所に、簡単な手順を書いたメモ程度のものを貼りつけておくのも立派なマニュアルの一部です。とにかく目標は掃除をやりやすくすることですので、従業員目線でマニュアルを整備していきましょう。

清掃カレンダー・チェック表を作る

汚れていくスピードは場所によって異なります。店内・工場内のすべての個所について、いつ掃除するべきなのか一目でわかるようにカレンダーを作りましょう。毎日する個所、曜日ごとにする個所、などに分けてもOKです。管理者を含む全従業員が一目でその日に掃除するべき箇所が分かることが大切です。加えて、実際に掃除できているのかどうか、全員が分かる必要があります。情報共有のためにもチェック表は作りましょう。

率先して掃除する習慣・文化を作る

ゲストに気持ちよく過ごしていただくためには、清潔感は必須です。ゲストのおもてなしに重要であることが新人従業員にも伝わるように、管理者・先輩従業員が率先して清掃する姿を見せるよう、しっかり取り組みましょう。

気づいた点・清掃の足りなかった点はすぐスケジュールに反映させる

始めから完璧なマニュアル、清掃スケジュールというものはできません。状況に合った清掃の方法・スケジュールは一生懸命継続することで見えてきます。日々改善できるように、気づいた点やスケジュール外で清掃を行った場所などは情報を集めて、よりよい清掃管理ができるようにしていきましょう。