日本食品標準成分表改定が発表されました

みなさん、こんにちは!小橋博士です。※この記事は2015年12月28日に執筆されたものです

先日文科省から日本食品標準成分表の改定について発表がありましたね。
ポイントは一部食品について、糖質の量が実測に切り替わったことだと思います。
従来は糖質以外の重量を算出して、残りが糖質と推定していました。
ネットで公開されているデータベースの更新は、2016年3月末の予定だそうです。興味のある方は今のうちに野菜の生と茹での糖質量を比較してみてください。実測すべき理由がよくわかると思います。

さて、これ以外にもひじきの鉄分が激減することもニュースになっています。
調理法で変わる・・・というのは何とも早という感じですが、分析のルールを読めば納得の結果。
鉄イオンがどこにくっついているのか気になるところですが、おそらく細胞壁でしょう。そうだとすると吸収率はステンレス釜で炊いたものも大差ないように思います。ネットでは吸収促進・阻害の話が氾濫していますが、キレーターと結合して血中に入ったとしても、体内で代謝できなければ意味がありません。ここら辺の話も近々「日本人の栄養摂取基準」で言及されるかもしれませんね。

情報の更新はビジネスチャンスです。とはいえ、内容が内容だけに、次を読んで行動していないと発表された時には勝負がついているという事態にもなりかねません。
おそらく次は2020年、低糖質についての関心の高さを考えると、こちら方面は特に進展があるように思います。
是非早めに行動してチャンスをつかみたいものですね。

また、この投稿が本年最後の投稿になると思います。
今年一年ありがとうございました。
新年あけましても、よろしくお願い致します。

以上、小橋博士でした。

札幌市でノロウイルスによる食中毒発生

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

札幌市で発生した食中毒の原因が新型のノロウイルスと断定されました。
こちらで基本の対策を申し上げるまでもないですが、従業員の皆様への注意喚起には事例の発生はいいタイミングだと思います。

是非この機会に食中毒防除の三原則の再確認、手洗い法の再確認をお願い致します。
ノロウイルス感染については、社内で集団感染した場合、多大な悪影響があります。
多少の欠勤があっても耐えられる仕組みづくりが必要ですね。
まだ感染疑いが発生したときの対応マニュアルがない会社様は、是非この機会に作成することをお勧めいたします。

以上、小橋博士でした!
※この記事は2015年12月3日に執筆されたものです。

測定の原理と目的はなんですか?

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

今日は測定についてのお話です。
品質管理の担当であれば、日々なんらかの測定をされていると思います。
それらの測定の原理と、そもそもなぜその測定をしているのか、把握されているでしょうか?
この測定に対する心構えが、経営者に陰口を叩かれてしまう品質監視と会社の改善につながる品質管理の分かれ目のひとつです。

まず、原理について正しく把握していなければ、より正確な測定につながるサンプルの準備が困難です。研究職時代も含めて、多くの測定者を見てきていますが、原理に無頓着な方はデータの質が悪い傾向にあります。質の悪いデータからは、直感的な結果は得られにくく、統計的な手法に頼らざるを得ないことが多くなります。統計手法を適正に運用できればリカバーは可能ですが、原理に無頓着な方で統計には造詣が深い、という方は出会ったことがありません。創業社長は勘が鋭い方が多く、質の悪いデータを適正でない統計手法で解析した結果などは「うさんくさい」の一言で片づけられてしまいます。
また、質の悪い測定をカバーするためには測定数が必要になります。経費面だけでなく、測定担当者の負担も増えてしまいます。
もちろん、原理については測定に関わる全ての器具についても同様に把握しておくべきです。

さて、原理も把握していいデータも得られている、だけではやはり経営陣の期待には応えにくいです。
そもそも経営陣は常に改善を求める人種(のはず)ですので。
目的が明確でないと、データ収集に終わりは訪れません。測定自体が目的になってしまっている品質管理担当の方も複数お会いしました。その方々は業務改善命令に対して「品質管理部は測定数を何割増やします!」という返答をして、経営陣にがっかりされることが多かったです。目的があって測定しているはずなのに、議論が完全に抜け落ちて測定数だけ増やす、というのは乱暴な議論です。
現状で品質が担保できているなら、測定数を増やす理由はありません。むしろ現在の測定数で十分か?過剰ならどこまで減らせるのか?減らした後に余力をどうするのか?という改善をにらんだストーリーを考察してみてはいかがでしょうか?きっといろいろいいことが起こると思いますよ。

測定にまつわるお悩みのご相談も受け付けております。
社名を出さず、個人的な相談でも大丈夫ですのでお気軽にメール等でご相談ください。

以上、小橋博士でした!

品質管理発の新商品開発

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

今日のテーマはタイトルそのまま!品質管理発の新商品開発についてです。
いつも長いので結論を先に書いておきますね!
・物の見方を変えることで付加価値が生まれます
・付加価値が生まれれば新商品の可能性があります
ということで、今までアピールしていなかった品質に焦点を当ててまとめることで、付加価値を生む、すなわち新商品開発につながります!

一番なじみのある例は賞味期限ですね。年単位で持つようになれば災害用の備蓄になれます。
そこに自社の製品を加えて考えてみてはどうでしょうか?どんな品質(特性)が隠れていますか?
食事制限のかかった方にならどうでしょうか?
アスリート用と考えた場合は?

品質管理で普段測定している品質も、見方・まとめ方を変えることで隠れた品質が見えてくることがあります。
ある程度利用シーンを想定していないとメリットを訴えることが難しいかもしれませんが、普段から営業部の方とコミュニケーションをとっていればお互いにいい発見があるかもしれませんね!

会社によっては品質管理の仕事から外れすぎてしまうかもしれませんが、きっと提案できるチャンスはあるはずです!
アクティブな品質管理になることで、もっと仕事は楽しくなりますよ~。

FQMサポートでは品質管理を見直すことでいろいろな付加価値創出・コスト削減を進めるお手伝いをさせて頂いております。こんなのできないの~?というお悩み・ご相談、是非お送りください!

以上、小橋博士でした。

付加価値について

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

今日は普段の品質管理とは少し違うお話、付加価値の訴求力についてです。
メーカーであれば付加価値を高めていくのは誰しも意識をされていると思います。

しかし、ここは日本!ちょっとやそっとでは付加価値と認めては頂けません。
また、忘れてはいけないのは「その付加価値をお客様に訴えることができるのか?」という点です。

以前の仕事で店頭で販売するためのドーナツにある高価な国産素材を使いたいという依頼を頂きました。
その素材を使うだけで利益率を圧迫せざるを得ないほどの高級品です。
商品の販売方法から、おそらく国産の高価な素材を使っていることは謳えないだろうと懸念は伝えていました。
そうなんです、法律とか規制とか関係なく、パッケージやネームプレート、販売時の煩雑さから必ずしも「国産~~~~を用いたドーナツ」のように謳えないこともあるのです!
結果的に店頭ではアピールの機会がなく、おそらくほとんどの方は国産の高級素材を使っていることに気づくこともなかったと思います。希少な素材を召し上がっていただいていることをお伝えできていれば、プラスアルファの幸福感を感じて頂けたんじゃないかなぁと思い、ちょっと残念でした。

このように、きちんとプレゼンテーションすれば多くの方が認めてくれる付加価値があったとしても、それを伝える手段がなければイマイチな結果になってしまいます。

メーカー、特に素材メーカーからの提案が通りにくい理由の一つに「販売時のイメージが湧かない」つまり、付加価値の訴求の仕方が不明瞭である、というのがよくあげられます。ざっくり「これはいいはずだ!」ではなく、やはり販売時のイメージまで練って、どのような付加価値であればより喜んでいただけるのか?という視点があると、普段の品質管理のお仕事にも張り合いが増していくと思います。

以上、小橋博士でした。

統計調査の前提にご注意を!

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

今日はお問い合わせいただいた中でちらほら散見する事例「統計」についてです。
具体的な内容は今推敲中ですが、一言注意点を・・・。

一見統計的に処理しているように見える結果でも、処理方法が適切でなければ結果が変わります。
また、元にしているデータ自体が偏っている場合、処理方法が適切でも結果は異なります。

意見が割れている例として、血圧が高いと死亡率が上がるという医者と下がるという医者がいるというのもあります。こちらについてはデータが偏っているせいではないか?という指摘がなされています。

どうも人によって主張が異なる、という場合は処理方法やデータの偏りにご注意ください。
また、アンケートによって消費者の嗜好を調査する場合も、質問の内容によっては(というより、かなり注意して質問を設定しないと)データの偏りが生じることが知られています。
統計的に~~~~ということが明らかになりました!というのは非常に説得力があるゆえに、注意が必要ですよね。

以上小橋博士でした。

日本製品の最大の特徴とは?

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

突然ですが、みなさんは日本製品の最大の強みはなんだと思いますか?
私は博士ですので、ここはぜひとも品質!といいたいところです。
ですがちょっと振り返ってみましょう。

他と比べて圧倒的な品質だから売れた、という商品を皆さんはご存知ですか?
日本最強の小売店、強みは何でしょうか?
日本企業において、長らく重用されたのは文系?理系?どちらでしょうか?

このように考えると、品質が最大の強み・・・とは言い難くなってきます。
よりよい品質の商品を作ることはもちろん大切です。
ですが、やはりマーケティングと歩調を合わせてこそ、品質改善は効果をより発揮します。

以前の記事でも書きましたが、やはり会社の他の部門とコミュニケーションを密にとることは大切です。
品質管理部門が持っている、品質向上のデータは、会社がどれだけ頑張っているのかの客観的な証拠です。
是非、マーケティングに活かしてもらい、日々ご努力をされている工場の皆様のやりがい・喜びにつながるようにしていきませんか?

いいものを作り続ければわかってもらえる、という面も確かにあります。
ですが、いいものであれば、より早く・より大勢の方にお知らせして試して頂くためにもマーケティング的センスや営業部等とのコミュニケーションが大切だと思います。

最後、少しくどくなってしまいましたが、大切なことなので!
以上、小橋博士でした。

品質管理目標~工程ごとの品質基準の最適化~

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

今日は品質基準のお話です。
みなさんの工場でも工程ごとに色・形・重さなどの基準が存在していると思います。
この中で重さは基本的に誰が測っても同じ、且つ、10g以上12g以下が合格、という基準で判断に迷う従業員はまずいらっしゃらないと思います。では色・形はどうでしょうか?
色の場合は色彩空間であらわされ、訓練すれば識別可能になると思いますが、全従業員に徹底するのはなかなか難しいですよね。さらに、色ムラもあるため、何%がどの範囲に入っていればいいのか、正確に判定する基準を作って誰にでもすぐ分かるように掲示することはかなり難しいです。
形はもっと質が悪いです。チョコレートのように、判別が容易と思われるものもありますが、一般的な食品ではそうもいきません。イケメンとブサメンの境目や判断基準を誰でも分かるように明確にすることが難しいのに似ていますよね。どうしても曖昧な部分が残ります。
食感・味等についても同様に、なかなか人間が判断するのは難しいです。

中小の工場では、そのような基準を作業員が判定しているケースが非常に多いです。すると、合否のあやふやな個体は各工程で人の手を止める要因になってしまいがちです。詳細はここでは申し上げられないのですが、結果として、専業の判定員を上流の工程に配置して、そこでの基準を従来より厳しくすることによってロスは同程度に抑えつつ、全体の作業時間の短縮につながったケースもあります。

中小の工場での品質基準は、どうしても場当たり的に積み上げられて言ってしまうケースが多いです。品質基準があることで、実際に人と物がどのように動いているのか、観察してみてください。気持ちよく作業して頂くためのヒントが隠れているかもしれませんよ?

また、全工程で同様のチェックをするよりも、基準の与える影響がより明確になります。より多くの製品(仕掛品)を基準内にするにはどうしたらいいのか?を考えるうえでも役に立ちます。

以上、小橋博士でした!

品質向上目標~リードタイムの短縮~

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

今日は製造開始から出荷までのリードタイムの短縮のお話です。
え!?それって製造部とか他の部門の仕事じゃないの?と思った方。基本的にはその通りです。ただ、品質管理部門が協力できることもあります。品質管理は工程の品質を一定以上に保つことがお仕事ですよね。ある意味では、作業のやり方を制限してしまうのです。この制限を緩くしてあげられれば・・・選択肢が増えてより(時間的な意味で)最適な工程を組み上げやすくなります。

時間が短くなれば人件費が浮く、という利点は直感的にお分かり頂けると思います。しかし、日配など時間の制約が厳しいご商売をされている工場ではより深刻な問題があります。それは物流の問題です。厳しい受注スケジュールの場合、当日発注(受注)で当日配送、というケースもあります。日配の場合は消費期限が5日以下ですので、基本的に製品を作り置きすることはできません(もしくは予測生産→過剰分は廃棄か直売所等融通の利く販路で販売)。また、物流についても~~~への便は何時発しか確保できない、というケースも多いです。特に近年は物流業界の発言力が強くなっていることもあり、以前のようにごり押しで便を確保、ということもほぼ不可能になっています。ということは・・・~~~が○○分で出荷できるようになれば、販路広がるのに!というケースが存在するのです!こちらについては具体的に何分短縮できれば販路が広がるのか、営業部と打合せをする必要があります。

品質管理として協力できる具体的な内容は、主に仕掛品の前倒し生産の可否やルール作りです。営業部からのヒアリングして、検討対象の商品をピックアップしたら、工程を見直してみてください。作業のどこかを前もってやっておくことはできないでしょうか?例えば、サンドイッチであれば、具材をストックできないか?というような視点です。パーツごとに賞味期限を調べていくと糸口が見えてきます。

賞味期限は製品全体の生菌数等で決定されるため、往々にして全体まとめてホモジナイズして検査されていると思います。しかし、きんぴらごぼうであれば、にんじんとごぼうにたれ、どの原材料が賞味期限を制限しているのでしょうか?分解して検査することで新しい可能性が見えてくることもあります。

リードタイムの短縮については他にも品質管理の視点から支援することはできると思いますが、メジャーな方法はやはり、普段から行っている生菌検査の結果を活用することです。合否判定だけでなく、いろいろな可能性を考えることでやりがいもアップしますし、結果がともなえば、給料だってアップするかもしれませんよね!

以上、小橋博士でした。

品質向上目標~賞味期限の改善~ その3

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

本日は賞味期限に関わる残りの要因を考察していきます。

まずは「化学的に成分が劣化する」件についてです。
問題となる成分は主に油脂と色素です。それぞれ対策が異なります。油脂は脱酸素剤や酸化防止剤・酸素バリアフィルム等の利用によって防ぐことができます。色素の劣化は主に遮光することで防ぐことができます。揚げ物を取り扱っている方なら油脂についてはいうまでもないですが、慣れていない方は「蝋のような臭い」がした場合は油脂の酸化を疑ってください。一番簡単なテストはせんべい缶に製品と封を開けたホッカイロを入れてビニルテープ等で密封します。そして「蝋のような臭い」がし始める日数が延長されるかどうか確認することです。油脂を抽出してAVやPOVを検査することで化学的にも劣化が証明できます。油脂は酸化の度合いが酷い場合は食中毒を引き起こすのでご注意ください。

最後に構造が変化することで品質が劣化するものについてです。
主に問題になるのはデンプンとタンパク質の構造の変化でそれぞれ食感が損なわれます。
デンプンについては老化の比較的遅いタピオカでんぷんの使用によってある程度抑制出来ます。市販の老化を遅くするとうたっている添加剤はいろいろ試してみましたが、糖分が多い製品の場合はあまり効果がありません。砂糖に老化促進の効果があり、添加剤では焼け石に水だったとおもわれます。タンパク質の変性はpHや塩濃度(特にマグネシウムイオンや亜鉛イオン)などによって引き起こされます。こちらについては食塩やアミノ酸の添加などである程度防ぐことができる場合もあります。

他にも原材料に含まれる酵素によって成分が変化したりなどが考えられます。
これまでの回で挙げた原因以外の要素は個別に判断する必要がありますので、原因が特定できない場合はお問い合わせいただければ幸いです!

以上、小橋博士でした。