飲食店にとって、料理の最適な提供温度は何度でしょうか?多くのお店では、料理ごとに美味しく感じる温度を意識しながら提供されています。基本的にお客様は料理を冷ますことはできても温めることはできません。なので、もっともおいしい温度より上に設定して提供することが一般的です。
ですが、お客様のニーズはどうなのでしょうか?少し考えてみましょう。
食事にかかる時間を重視する人の存在
料理を提供するまでの時間が大事だ、というのは飲食業界に携わっていれば常識ですね。実際に日本政策金融公庫の調査などでもそれは裏付けられています(お店選びの基準調査はこちら)。このように、ランチタイムは料理の提供時間を重視する方が非常に多いため、リサーチでも項目として漏れていますが、実態は「食事にかかる合計時間」で判断していると推察されますその推測を裏付けるように生活情報リサーチサイトのTEPORE様の調査でもおよそ1割の方が外食を使う理由として手早く食事を済ませたいから、という理由をあげています(TEPORE 「外食」について)。
急いでいるときに熱いものが出てきたら?
一方で、お店の側は提供時間には気を遣うものの、やはり美味しいものを食べてもらいたい気持ちが強いようです。直接裏付けるデータはないのですが、一部例外を除いて基本的に熱め~適温での提供を受けることが多いですよね。ですが、その気持ちに行き過ぎを感じる場合もあります。汁物などでは特にそうですが、熱い状態であればタイミング次第で調整できるでしょう?と言わんばかりに激熱の状態で提供されるお店も身近に結構あります。チェーン店でもありますよね。
激熱の味噌汁・・・急いでいても残すのは抵抗を感じるのではないでしょうか?実際に、少し古いデータですが、生活情報リサーチサイトのアンケート調査でおよそ65%以上の方が食べ残しをすることに抵抗感を感じているそうです(参照:TEPORE 大人の食学 食べ残し)。
さて、ここで少し考えていただきたいのですが、あなたのお店のお客様は短時間で食事を済まされる方の割合はどの程度でしょうか?
それらのお客様は熱めに提供している汁物を残す割合は、他のお客様と違いませんか?
もし特定の行動(ここでは急いで食べる)を取る方が食べ残しをされるということは、そのサービスに改善点があるということですよね。
それも、残すことに後ろめたさを感じる日本人相手ならなおさらです。
うまい!はやい!やすい!のように、時間に追われる働くオトコ達を応援するお店で、まさかの激熱落とし穴・・・などということが無いように、利用シーンはよく考えて提供温度を決定して頂ければと思います。
さて、こうして振り返ると、麺の硬さ・味の濃さを選べるラーメン店はあっても、提供温度を選べるお店はあまり見かけません。もしかしたら新しい差別化のポイントになるかもしれませんね。