飲食店経営の方に、何度か価格決定のポイントのお問い合わせを頂きましたのでまとめておきます。
お客様の気になるポイント
お客様が気になる価格のポイントの1つは最高額と最低額であることが知られています。たまたま入ったラーメン店などでも、特製ラーメンの金額と最小構成のラーメンの金額は意外と覚えていますよね?でも、間の価格のラーメンの値段は意外と出てきにくいものです。
2つ目は看板メニューの値段です。こちらはしっかり記憶に残ります。さすが看板メニューといったところでしょうか。価格も特別扱いされます。
3つ目はメニュー数の多い価格帯です。メニューを選ぶときにたくさん目にするので、お店の実質的な価格帯として認識されやすいです。
逆に特に意味がないのは細かい価格設定です。例えば580円、640円、660円、680円、780円などのラインナップがあったとして、お客様は真ん中3つを価格で選ぶでしょうか?少しでも安く提供したい、という気持ちは分かりますが、そのコンセプトは580円のメニューで実現してあるのではないでしょうか?分かりやすい価格で食べたいものを選びやすくする心遣いも必要だと思います。端数にはこだわらず、分かりやすさ優先で680円にまとめて、580円、680円、780円の3種類にするべきです。
複数の料理を提供する業種業態ではお会計も重要!
個別のメニューの料金だけでなく、実際にいくら支払ったのか、も当然強く記憶に残ります。原材料の値上がりによる価格変更の際には、お客様の支払額への影響も考慮するといいでしょう。
では実際にどう決めたらいいの?
十円単位については、よく知られたマジックプライスを導入することをお勧めします。日本では縁起の影響で苦労につながる9よりも末広がりの8を選んできましたが、若者向けのお店では特に気にする必要はないです。~90円とすることで、少しでもお店のコンセプトを強化する原資にさせて頂くべきです。高齢者の中にはまだ気にされる方がいるようです。ターゲットによっては~80円としておく方が無難と言えます。とはいえ、串揚げなど単価が安いものはこの限りではありません。その場合は平均的な食事量男性で450gを参考に、予算で決定する方法が分かりやすいです。平均的な注文パターン・原価を想定して、適正な利益率が確保できるようにしましょう。
同種のメニュー内の価格差は最高価格を最低価格の2倍以内に収めるべきだと言われています。あまりにかけ離れた価格はコンセプトがぶれているとも考えられます。本当にそのメニューが必要か、コンセプトに立ち返って吟味しなおしてみてください。この2倍以内にとらわれず、できるだけ価格帯は広がらないようにしましょう。あまり広い価格帯では、お客様がお店を安いのか標準的なのか、高めなのか、評価がしにくくなり敷居があがってしまいます。
最後に、価格は一度決定すると値上げは難しくなります。原価と利益率だけを考えずに、高めの値付けをしましょう。その代わりに、サービス・品質でお店のコンセプトを実現していく!というつもりで決定する方が、のちのち修正が効きやすいです。くれぐれも安売りは注意です。