衛生管理のレベルアップを図るうえで難しいのは、交差感染とアレルゲンのコンタミに対する教育と徹底です。品質管理担当の経歴が長い方でも、指摘されれば知ってはいるものの、きちんと理解しておられる方は少ないようです。
交差感染とアレルゲンのコンタミって何?
交差感染は主に食中毒菌、コンタミについては主にアレルゲンについて使われる言葉ですが、共通するのは「意図しない混入」であることです。よくあるのは
・違う作業に移る前に行う洗浄が不十分
・作業の途中で生もの・アレルゲンに触ってしまったまま、別の作業を継続
の2点です。食品だと想像しにくいのですが、病原菌等を含む生ものやアレルゲンを含む原材料・仕掛品を青いインクだと思ってください。両者を含まないものは白いインクだとします。青いインクを触った手で白いインクを扱う作業をしたらどうなるでしょうか?青が微量とはいえ、混ざりそうですよね?このような状況が交差感染やアレルゲンのコンタミが発生する状況です。
白色の商品として売りだしたのに、青が混ざったような色だったら、お客様はどう思うでしょうか?クレームの原因になりますよね。交差感染やアレルゲンのコンタミの場合は見た目では分かりませんが、「病気の発症」という形で表れてしまいます。
地道な教育とラインの見直しを!
交差感染とコンタミは非常に大きな問題ですが、食品工場での最大の問題は「ということで、交差感染やコンタミを発生させないように気を付けて作業してください」で終わってしまうところです。
なぜ問題なのでしょうか?
上に例として挙げたインクの事例のように、目に見えるものなら報告がきます。しかし、病原菌もアレルゲンも目には見えません。また、基本的に作業者の知識・意識は欠乏しがちです。実感がないものは話としては聞けても、対応するのは難しいのです。これが、いくら教育を繰り返しても交差感染・コンタミの頻度が減らない理由です。
このような事情から、最大の対策は交差感染・コンタミが発生しないライン運営です。教育においても、最大の力点は「交差感染等を防ぐルールが守りにくかったら報告すること」です。
ここでも、作業者の努力やモラルに依存することはあまり得策ではありません。品質管理のレベルアップのためには、仕組みそのものを改善していくことがもっとも有効です。
それでも交差感染やコンタミが起こってしまうんです!みんな気を付けているはずなのに・・・というお悩みをお持ちの担当者様は是非、メールでお問い合わせください。工場を拝見すればすぐに原因特定できますので。
以上、小橋博士でした。