品質向上目標~賞味期限の改善~ その3

みなさん、こんにちは!小橋博士です。

本日は賞味期限に関わる残りの要因を考察していきます。

まずは「化学的に成分が劣化する」件についてです。
問題となる成分は主に油脂と色素です。それぞれ対策が異なります。油脂は脱酸素剤や酸化防止剤・酸素バリアフィルム等の利用によって防ぐことができます。色素の劣化は主に遮光することで防ぐことができます。揚げ物を取り扱っている方なら油脂についてはいうまでもないですが、慣れていない方は「蝋のような臭い」がした場合は油脂の酸化を疑ってください。一番簡単なテストはせんべい缶に製品と封を開けたホッカイロを入れてビニルテープ等で密封します。そして「蝋のような臭い」がし始める日数が延長されるかどうか確認することです。油脂を抽出してAVやPOVを検査することで化学的にも劣化が証明できます。油脂は酸化の度合いが酷い場合は食中毒を引き起こすのでご注意ください。

最後に構造が変化することで品質が劣化するものについてです。
主に問題になるのはデンプンとタンパク質の構造の変化でそれぞれ食感が損なわれます。
デンプンについては老化の比較的遅いタピオカでんぷんの使用によってある程度抑制出来ます。市販の老化を遅くするとうたっている添加剤はいろいろ試してみましたが、糖分が多い製品の場合はあまり効果がありません。砂糖に老化促進の効果があり、添加剤では焼け石に水だったとおもわれます。タンパク質の変性はpHや塩濃度(特にマグネシウムイオンや亜鉛イオン)などによって引き起こされます。こちらについては食塩やアミノ酸の添加などである程度防ぐことができる場合もあります。

他にも原材料に含まれる酵素によって成分が変化したりなどが考えられます。
これまでの回で挙げた原因以外の要素は個別に判断する必要がありますので、原因が特定できない場合はお問い合わせいただければ幸いです!

以上、小橋博士でした。

投稿者: 小橋博士

FQMサポート代表 品質向上コンサルタント/農学博士 品質向上とコスト削減を同時に実現する新手法「グレーゾーン管理」の開発者 食品会社の経営経験有

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