みなさんこんにちは!小橋博士です。
話が長くなりそうなので結論から書くと、ライン従事者とのなにげないコミュニケーションから情報を拾うことは大切です。ということです。特にコツに関する話には実際に従事して観察しないとわからない情報が埋まっていることが多いです!
以下本題
品質管理担当者はおそらく現場のレベルでは科学的知見を多くお持ちだと思います。職人さんとお話をしていると「職人さんは、なぜそんなことが気になったのか?」という疑問を感じることが多くあります。そこから見えてくるのが作業の実態だったりします。
例えばある職人さんは「冷えた液卵から先に入れるのと、水を先に入れるのでは最終品温が変わる」と言っていました。そこにポイントがあるという主張です。ですが物理的には非常に違和感を感じます。作業標準では投入後速やかに混ぜることになっているので温度分布によって最終温度が明らかに変わることは考えづらいです。
そこで「もしかして、投入後すぐに混ぜてないのでは?」と尋ねたところ、見事正解でした。そのラインは、製品の切り替えが多いときは1時間で3回もあるために、限られた人員でこなすにはそういう段取りにせざるを得なかった、とのことです。当然品質はバラツキが大きく、後工程に負担のしわ寄せがいっていました。
このケースでは、人員配置を変更して作業標準を守れる環境にすることでバラつきを解消し、結果的に生産性が向上しました。職人さんにはビフォアアフターを確認して頂き、後工程の従事者からの「いいね!」を直接伝えて頂きました。その結果、「釜に入れたらすぐ混ぜる」という作業標準への評価が変わり、より最適な段取りに変わりました。
上記は意味のある作業標準であったためこのような結果になりましたが、そもそも作業標準が適切なのか?というチェックも重要です。製品の品質に差がでないような厳しい標準が存在すると、結果的に作業標準自体が「理想論」となって軽視されるようになります。現場の方とコミュニケーションをとりつつ、実態にあった作業標準を一緒にバランスよく構築していく、これが作業標準の徹底と品質向上につながっていくと痛感しております。