冷凍食品劣化の原因

冷凍食品が劣化する原因としてあげられるのは、冷凍庫内の平均温度だけだと考える方が大半だと思います。もちろん温度が上昇して半解凍状態にでもなれば、致命的ダメージは避けられません。

隠れた劣化原因は温度の変化

しかし、実は隠れた劣化原因があります。それは温度変化です。高くなるだけでなく、低くなっても劣化は生じます。品質保持期間中の冷凍焼けはこの温度変化による水分揮発の加速が原因だと考えられます。

冷凍機メーカーの説明と実際の使用感が異なる原因は、実はこの点にあります。

冷凍機メーカーの試験室はたいてい除湿が効いていて、さらに冷凍庫の開閉の頻度が圧倒的に少ないことがほとんどです。このおかげで温度変化の主因である「霜取り(デフロスト)」の頻度が異なります。

特に霜が付きやすい環境でデフロストを頻繁に行うようですと、冷凍機メーカーや冷凍食品メーカーのいうような品質保持期間は望めなくなります。

変化の兆候は霜の量でわかる

パッケージ内に霜がまったくない状況は現在のコールドチェーンでもあまり見かけません。そして、グレーズ処理という商品表面を氷でコーティングする手法で対策をしてあるので、解凍後の品質が正常であれば、その霜の量でも問題はありません。

ただ、庫内での劣化のスピードはまちまちです。劣化に伴って起こる現象は「パッケージ内の霜の増量」です。霜の増える速さが早くなってきたら、品質保持期間の再確認や機器の監視体制の確認が必要です。

飲食店や工場での有効な対策

監視とかはいいけど、実際どうしたらいいの?という疑問の答えは、冷凍食品といえども生鮮品と同じように早めに使い切る、これにつきます。冷凍庫のスペースも限りがありますし、品質劣化のリスクを取る理由もありません。

鮮度が維持できることが最大のメリットの冷凍食品ではありますが、可能な限り早めに使い切ることで、よりおいしく召し上がっていただけるのは間違いありません。また冷凍食品の様に長期間流通する食品の場合は、よりよい状態で出すことでクレームリスクの低減が図れます。

この記事は「新版 食品冷凍技術」を参考とし、研究職時代・冷凍ドーナツ開発時代の合わせて約20年の経験を元に作成しております。

投稿者: 小橋博士

FQMサポート代表 品質向上コンサルタント/農学博士 品質向上とコスト削減を同時に実現する新手法「グレーゾーン管理」の開発者 食品会社の経営経験有

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